24 絶対平均
新7教は“あの方”(=本作品のラスボス)直属の幹部です。
こんな序盤で出すべきではない。
「僕の邪魔をするんじゃない!お前らに用はないんだよ凡夫ども!」
「凡夫とは舐められたものだな…仮にも冒勇隊の上位戦力なのだが。
『注意信号、落石注意』ッ!」
その瞬間、ノルマの上に大岩が出現しドスンと落下する。
周囲に砂ぼこりが立つなかその岩を砕いてノルマが出てくる。
「いきなり殺意しかない攻撃とか正気?お前の思考は普通じゃない、狂ってんじゃないのぉ?」
「大人しく引いてくれれば攻撃はしない。
俺らの目的はその2人が殺されるのを防ぐことだからさ。」
「それが無理なんだよ!!こいつらは俺を煽り勝負を仕掛け攻撃をした!それは立派に僕も反撃をする理由になり当然普通一般的で正常な思考なわけ。
その時点でこいつらを殺すことはもはやしなければいけないこと、ノルマなんだよね。
その仕事を阻害されている現状!!
ノルマが終わらない、こんなこと普通じゃないこの完璧で尊大な僕が!凡人一般人の抱える悩みと同じ物を背負うなんてありえない!
だから引くわけには行かないわけ。」
「お主…ノルマ…そう言ったか…お主の能力…既に把握済みだ…それでも…やると…?」
「へぇ、そっか。ま、僕の能力は分かってからが絶望だからさ。」
能力、『絶対平均』—…僕の視界に捉えられる範囲の人物を対象に攻撃力、体力、運動神経全ての平均を出す。
そしてその対象全員がその平均能力になる。
普段普通の生活をする一般人は当然冒険者等の人々よりステータス面で劣る。
つまり一般人目線は身体が突然強化され、
冒険者目線は逆にデバフのように弱くなる。
いつも通り動くだけでもその強化された力に耐えきれず一般人の体はボロボロになり、
いつもなら避けられる攻撃だろうと弱くなった冒険者では対処できない。
ここまでが冒勇隊にある情報。
そしてこれはまだ知られていないが—…発動した本人であるノルマ自信は、その全ての平均×2の能力を得る。
ちなみに今のステータスは、
ノルマが弾、硬介、強乃、避難所の人々の平均×2。
弾と硬介は2人と強乃、避難所の人々の平均値。
遅れてきた冒勇隊はいつも通りだ。
「つまり、お前が今無理した所で軍配は一切のデバフのないこっちに上がる。
それに一度解除して再発動してもこの近隣にもう住民はいない。
鍛えている者だけでは当然平均は上がるからあまりデバフにならない。
素直に引くのが賢明だぜノルマ。
第1俺の落石攻撃だけでかなり消耗してるじゃないか。」
「そうかい。僕の能力の全貌を知らないからこそできる発言だね。
一般的というか、浅いんだよねほんとにさ。
いいかい、僕の能力は本当は—…」
「はーい、そこまでーっ!そんな話しまくっちゃめっ!」
「ついてこないでくださいと言ったでしょう面倒が増える…冒勇隊の顔を見るとか言って、ノルマさんをからかいに来ただけなんでしょう?」
「ばれたぁ?まぁ良いんだけどさ、帰ろ!」
突然ノルマと冒勇隊の間に二人組が現れる。
1人は闇のモヤのようなものを纏ったスーツの男性で、その整ったミルキーな色の髪や四角い眼鏡、話し方からも礼儀を感じる。
もう1人は薄い虹色をしたパーカーの小さな女の子で、胸下あたりの長さの透き通るような水色の髪をおさげにしている。
「なんで戻らなきゃいけない!?僕はまだノルマが終わってないんだよ!!
第1この僕が誰かの言いなりになる理由も契約もないだろう?普通脇役は脇役らしく引っ込んどくべきだろ何人目の邪魔だよ!!」
「お言葉ですがこれはタイム様の意見で、あの方の命令なので」
「…そうかい、分かったよ。
タイムの奴ってのが気に入らないけどあの方の命令なら聞く他ない。
ノルマを達成できないのは最悪だけど今日はここで撤退するよ。」
そう言いクルリと背を向ける。
「…普通なら追いたいが今はそこの2人の治療や町の見回り優先、約束通り大人しく見逃すとしよう」
この状況についていけていない示が困惑しながらも言う。
「へー、冒勇隊って意外と優しいんだねー。
私あんまり出てきたことなかったからわかんなかった。
そこの侍の人を除いてさ。」
と、唐突に謎の少女が指を指す。
「むぅ…なんの言いがかりですかな…?お嬢さん…
冒勇隊は見逃す考え故…ここは追うなど」
「そーゆーのはいいからさ。その刀に手を添えるのとか鎧の隙間から見える目とかでわかるから。
お兄さん、私達を1人で追おうって考えてたよね?」
「佐切…お前…」
示達すら気がついていなかった。
その細かな動作に気がつくのは只者ではない雰囲気を感じる。
「すまない、示殿…拙者、こうも数年に一度あるかどうかのやつらが見せる尻尾、何度も逃すのは我慢ならぬ故…」
ダン、と地面を蹴り直後目にも止まらぬ速さで抜刀し
1番近くにいたその謎の少女に斬りかかる。
「今宵、抜刀いたす!」
が、少女は一切動じずほのかに微笑み、キン、と受け止める。
なんと彼女のパーカーの紐の片方が目にも止まらぬ速さで振り下ろされた剣を受け止めていた。
そして誰も気づいていないが、パーカーのもう一方の紐の先端が佐切の手元に当てられる。
「あれぇ?斬り掛かっちゃうんだ。
てっきり引き下がると思ったのになぁ。
お兄さん、佐切っていうんだ。さっきそう呼ばれてたもんね。
じゃ、その有り余った元気、存分に献上してねっ!
お疲れさまでしたっ!」
次の瞬間、佐切の体はパリン、と割れるように消え、破片が少女の胸元に吸い込まれるように消える。
「おい、佐切を何処へやった!!」
それを見ていた示が攻撃耐性を取るが—両刃と瞬飛に止められる。
「やめておこう。彼女の能力も名前も思い当たる節がない。
だがデータのない幹部の枠は数個—恐らくその1人、多分—…」
「新7教 第4教徒プラグだよ!そんな推測しなくても教えてあげる!
けどどこぞのお喋りさんとは違うから能力は言えないな〜…まあ、佐切お兄さんは生きてるよ!会えることはないけどねっ!じゃあね〜
ほら、ワープくん何やってるの!帰るよ!」
「では、失礼いたします。先ほどの侍と違い残った方はきちんとご自身の制御ができているようで何より。
何卒よろしくお願いします」
そう言い手をスッと構えるとワープ、見かけはブラックホールのように禍々しいが—が出現しプラグを飲み込む。続いて癇癪が抑えきれず手がピクピクと震えているノルマを飲み込み、最後に深く礼をするとワープ本人もそのワープホールに呑まれ消える。
ワープホールは直後スッと小さくなり、後にはメンバーの1人欠けた冒勇隊と倒れる弾、硬介だけが残された。
◇◆◇
場面は変わり連我一行。
「作戦が読まれてる…?」
予想外の事態に慌てる連我。
その時物陰にいた柔音はちらりとフハイが建物の上を見たのを見逃さなかった。
「やばい、伏せて!!」
柔音が矛盾コンビと連我に呼びかけた瞬間、建物を壊し何本もの植物が現れる。
それらは四方八方から連我達めがけ突き刺さる。
「柔音、大丈夫か!!」
砂ぼこりで見えないが、遠くから連我の声が聞こえる。
近くにいた矛盾コンビも盾が前で盾を構えることで攻撃をしのいでいた。
「そう、避けるのか…そっかぁ…もっと絶望の顔を見せてほしいよね…
この町の支配者なんだって、こんな簡単に町1つ動かせるんだって愉悦に浸らせてくれよぉ!」
砂ぼこりがはけるとともに、柔音は驚愕した。
フハイの体に植物が巻き付き、一体となりまるで巨大生物のようになっていた。
「おい、まじかよ…」
目の前でそれを目撃した連我も、ただ苦笑いするしか無かった。
ちなみにノルマはSNSのコメント欄にたまにいる世界が自分中心に回ってると思ってそうな見下したような話し方してくる奴から思いつきました。
ただのクズであります。
元々新7教というかこの敵組織自体戦争から間違った正義や極論すぎる平和を求めるようになった人たちの集まりなわけでして。
そんなノルマさんの思う正義は
自分が特別で他は凡人と考え、それを共通認識と力の差で植え付けることによって全員が自らを見習い同じ志になれば意見の食い違いや争いは起きないよね?というものです。作者だけどこいつキャラ的に好きで性格嫌い。




