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15 種明かし

柔音ほどじゃないけど連我も頭いいと言うか考えが柔軟です。

そんな連我の種明かし説明回。

「随分と舐めてくれるじゃありませんか。

俺の弟から逃げ切って出てくる人が出ると思わなかったよ…よろしい、君たちもまとめて、

『ショーの1部』にしてあげよう」


ピエロはそう宣言する。

と、先程引っ込んでいったサーカスセットや火の輪くぐりのセットが出現する。


「初め、そこの弓野郎だけを倒す決闘ショーをやる予定でした。しかし!!君のような頭の冴える冒険者くんがいるともなればそれはもはや決闘ではない!!

ならば私の華麗な逃走ショーとするべきでしょう」


そう言い、遊具のうんていのように軽々と天井のパイプからパイプを移動し逃げる。


「くそっ…あぁも変な動きされると打ちづらいな…」

瞬飛が連射するがかすめるばかりだ。

連我も羽の矢で応戦するが当たらない。


そしてそのままサーカステント上の小窓のヘリに着地する。

「さて、皆さんお疲れ様でした。See you next time!」


ピエロはテントを滑り降り着地する。

人質は逃がしたがまた別の場所で開けばいい。

勝ち誇った表情で一歩踏み出す―…


グニャリ


足裏に何かを踏んだ感覚。

見ればそれはツタだった。


「…ツタ…?ここは未開拓の地だ、

私(わたくし)がここに来たときはこんなもの―…」


その時、ピエロは気がつく。

テントに生い茂るツタ。

地面を割って伸びる根。

それは、はるか彼方から伸びてきていた。

そして地面から飛び出したツタの1つがピエロの足に絡まる。


「なんだこれは、一体何が―…」


「やっと気がついたか」


声のする方を見れば、連我と木三が立っていた。


「連我の提案で、近くのユグド村の木を操って成長させ引っ張ってきたんだ」


「こうもしないと攻撃せずに逃げる敵にはどうにもならねぇからな。

俺の能力が発動しなかった理由

それはお前の能力が端からカードの能力とは関係がないからだ。

恐らく柔音の推理がただしければ関与してるのは―3人。」


ピエロは目を見開く。


「表情でわかるぜ、正解だろ?

まずお前の能力が見てる人を洗脳状態にして感情を高ぶらせる力と、お前の自信に比例する身体能力の向上だ。

そしてお前の中にいた奴がカードの能力と

遊園地の力、

更にあの紫の空間を作り出したのがもう1人。

炎の虎も恐らくそいつ。

つまりあの人質カードはお前の中の自称幽霊さんのもんだ。

成程、中に入ってみないとコピーできないわけだ。

つまり、お前には攻撃手段が存在しない」


「だ、だったらなんだ!それがわかっても何も―…」


「1つ、弱い攻撃を打ってみる

2つ、相手がどう対処するのか、周囲にサポートはいるのか、目線の移動は、手を出す?足を出す?一つ一つをしっかりと確認する

3つ、大まかに作戦を立てる。

今後の教訓だ、柔音式最強戦術、覚えておけ」


そして連我、木三は口を揃え言う。

「ただし、生きていればな」


「『ピエロ』の能力を使いたい!!」

瞬間、ピエロだけが切り取られスキャンされたように見える―…あった、闇の心臓。

初めに気絶すれば死ぬと宣言したのはこのためだろう。

連我はツタにすっかり抑えられて身動きの取れなくなったピエロに距離を詰める。

そして、胸元にコンクリの鋭い欠片を突き立てた―。


突如、ピエロの目の前にもう1人出てくる。

それは紫の空間にいた男だった。


「さて、遊園地男とご対面だが、言うなればこいつは悪霊だ。

そうだ、お前に説明するともうそのピエロの悪は浄化済だ。お前が取り付くことはできねぇぞ?」


男は唇を噛み締め言った。

「1度ならず2度までも…俺の邪魔をしやがって―…」


そう言いながら、大空へ飛んで逃げようとする。

幽霊のため、やはり一応飛べるのか。


「瞬飛さん、行けますか?」


木三がテントの中へ声をかける。


「あぁ、これでも俺は一応冒勇隊遠距離No.1と呼ばれていてな。

冒険者トップが外すわけには行かない距離だ」


《地獄刺(ヘルショット)》


放たれた一本の矢は、飛び去る霊の真ん中を貫いた。

声も上げず、霊は蒸発するように消えた。


「…当たるとこを見ると、亡霊じゃなく動く死体だな」


連我は、そう言うと木三達の元へ歩いた。


「で、残り1体はどうする」


「それなんだが俺に心当たりがある。

冒勇隊でも早急討伐になっている九尾と名乗る女だ。

聞いていた能力特徴が酷似している。

彼女は逃げ足が速いしこの辺りには居ないだろうな」


「…なら、客に怪我人が居ないか見に行くか」


そう言い、テントの中へ確認しにもどった。



◇◆◇

その頃、とある建物内にて。


「タイムさん、ただいま戻りましたよ。

妾しか戻れませんでしたが。」


そう言ったのは黒に彼岸花の模様の着物を着、

後ろには名の通り9の狐の尻尾がある女性だった。

九尾―能力〚幻覚〛。

対象に幻覚を見せたり、

無限に広がる空間に居るような感覚にさせられる。

厳密に言えばもう一つの世界である亜空間と接続し、亜空間と現実の区別をつけさせなくする能力である為

亜空間内を移動すれば安全に逃げることも可能。


「あれは…予想外に化け物ですわよ。

正直勝てるビジョンが見えませんもの」



「奴のコピーでやられぬよう複数人で待ち構えたが…

能力がチート級の連我に加え

一緒にいる柔音という奴が頭脳チート級か…

冒勇隊ともこれ以上接触されれば本格的にあの方の野望を阻む存在になりかねん…

フハイ、近くの町に被害を出して構わん。

奴らに行動させる前に全てを葬り去れ」


すると、側にいた青年がニヤリと笑い応えた。


「はい、楽しみです!」


◆◇◆


そのころ連我達は、客全員の無事を確認した後

強乃に再び全員エネルギーチャージしてもらい、

一通り治癒をかけてテントの外へ出て話し合っていた。


「柔音、大丈夫か?」


「うん、ちょっとフラフラするし頭痛いけどなんとか。

それよりあの大きなリュック持ち上げる力残ってなくてあの紫の空間においてきちゃった…

客の荷物はなんとか無事だったけどショックだよ…」


「ま、恐らくあの空間を開く敵はまだ残ってるからいつか帰ってくるさ…!」


「話してるとこ悪いな。

ところであんたらはこれからどうするとか決めてるんか?」


励ましていると、弾が会話に入ってくる。

どうやら弾達は意見がまとまったらしい。


「俺らは今ユグド村ってとこ目指してたから

このまま向かうよ。そっちは?」


「お、まじか。

実はワイらもユグド村行くんや。

この依頼したんがユグド村の人やからな。

解決しましたって言いに行かな…!」


「弓の人はどうするの?」


柔音が何気なく聞く。


「俺はあのピエロを冒勇隊に連れていく。

戦果も報告しないとだしね」

それを聞いて柔音がピクリと動く。


「ぼうゆ…え、もしかして冒勇隊所属なの…

じゃないか、所属なんですか!?」


「うん、そういやさっきの戦闘中君は聞いていないっけ」


「え、いやいやそうですけど冒勇隊ってホントに…」


「なんや?この人すごい人なんか?」


「凄いも何も冒険者のトップの人達だよっ!

ただ政府は敵って言って隠すから知られてないけど…」


「…柔音、知ってるのか?」


「何かで読んだか聞いた程度なの。

あんまり知らないけど凄い人のはずだよ!」


「…彼女の言う通り冒勇隊は政府非公認の冒険者トップのギルドみたいなもんさ。

ただそれは名前上で、

実際やってるのは普通の冒険者が快適に過ごせるよう、

例えばあのピエロみたいな犯罪に触れるレベルの敵を排除する仕事さ。

………殺人も視野に入れ、ね。

だから政府は隠したがってる。

俺等を認めるのは冒険者は思想が違う奴を殺していいと認めるものだからだ。」


「なんでそこまでしてそんな仕事を?」


「…話せば長くなるけどいいなら…」


「…興味あるんで聞いてもいいですか?」


「私も聞きたいです!」


「…そう言うなら。

俺も昔の話あたりはあんまり詳しくないんだけど、

400年前?に大規模な戦争が起き…


「たぶん412年前」

柔音が訂正する。


「あ、ごめんよ。

なにせ大きな戦争が起きた。

理由はさらに遡って430年前、当時の天皇の子が能力と言うものを持って生まれ、その超常的な力により国民が理不尽な押さえつけをされていた。

その力は当時位を持った政治家達の子にも徐々に発言し、言うなれば人類、この日本国民は進化を遂げた。

しかしそれにより過度な搾取が行われ、不満が募っていった。

そんなある日、庶民の間にも能力持ちの子が生まれるようになった。

そうしてその子たちが大人になるとともに抗う力を持ち、

ついに412年前、2250年に人々が搾取に対する不満を能力を行使して政府にぶつけた。

結果能力戦争が起き、大概の都市が消滅。

数々の山ができたり消えたりと終結した頃には

かつての面影がなくなり、取り返しがつかなくなってた。」


「…それでできたのが冒険者って職業。

かつての地図が役に立たなくなったこの日本で、

また前のような暮らしができるように

地形を日々冒険で把握していってる、んだよね」

我慢できなくなったのか途中から何故か柔音が話す。

…多分久々に知識解放できて楽しいんだろうな。


「…詳しいな…

ま、そうだ。

今はかつてのトップは座を降ろされ新たな政府が確立された。

国をいち早く立て直すため、成人が15に引き下げられて冒険者が職業として認められ、人気を博した。

…が、それで納得いかないのがかつての政治家やその後ろについていた人達だ。

彼らは自分たちが立場を降ろされたことに納得しておらず、

新たな政府の邪魔をしようと組織を結成し地図埋めで立て直しに貢献する冒険者の抹殺を狙っている。

…戦争で戦いの楽しさを見いだした愚かな狂人を使ってな。

そこでこのままでは冒険者が危ないと、対抗として冒勇隊を結成したんだ。

…ほとんどが組織に村を焼かれたり仲間を殺されたりなどで復讐したい者たちによって。

今俺らは実力者で本部群というチームを作り、

組織そのものの崩壊を狙っている。

今回も情報を追ってきたんだ。

…が、組織の滅亡とはつまり殺し合いに勝つことになる。

冒険者と元権力者の殺し合いを政府が認めるわけにはいかず、存在を隠蔽してるのさ」


「…なるほど…」

予想外に大きな話だった。

まさか知らないところでこんな戦いがおきてたなんて。


「…じゃあ、瞬飛さん?も実力者なんだ…!」


柔音はなぜだか満足そうだ―…本でも一冊呼んだ気分なのか。


「…ってことで注意喚起。

最近何故かこの周辺で組織の人間が増えている。

…それを倒しまくってる奴がいるみたいだが、

目つけられたら終わりだから避けるように!」


…と、連我と柔音を見ながら言う。

悪かったな、倒しまくって。


「…さ、なんか凄いもんに巻き込まれちまったけど、俺らは先にユグド村に戻るわー」

木三がそう伝えに来る。

そして去り際に連我にだけ耳打ちする。


「たしかにお前の言う通り柔音さん天使、

激しく同意する!!」


…どうやら俺は知らず知らずのうちにライバルを増やしてしまったようだ。

連我さん、もう目つけられてますよ…

次回、全員集合っ!

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