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浪人日記  作者: クスクリ
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1977年11月後半Ⅱ

 11月21日(月)

 昨日一日犠牲にしたのに何の効果もなかった。その上、身体が怠く悪寒を感じる。夜中9時から12時までパー。外は雨が降っているので眠気覚ましにバイクを飛ばすこともできない。もう従容として死に赴くか、だが諦めるのはちょっと。

 今日は三男の哲美の誕生日で、お袋が豆飯(赤飯のこと)を炊いていた。風呂に入って部屋に戻るときに、残しておいてくれるように言っておいた。Aコープでサラダとスパゲッティーを買って来ていたが、豆飯には合わないな。

 親父がパチンコでチョコレートをゲットして来ていて、俺が冷蔵庫に入れておいた。哲(哲美のことを省略して哲と呼んでいた)が食わせろと言ってきたので、誕生日でもあることだし全部やった。


 11月22日(火)

 新宿警察を見るために、16時から一時間取っている。あまり眠くなかったが、先のことを考えて18時から21時まで寝た。お陰で明日の朝、9時まで、勉強、快調だった。それから風呂に入る。8時頃、風呂を沸かしに窓から出ようとしていたら、新幹線宿舎の住人が家族ぐるみで車を押してエンジンを掛けようとしていた。奥さんが俺に挨拶してくれた。朝のいい運動になったことだろう。

 今日は昨日と違って、間もなく眠りに落ちることができた。クソ面白くないハチャメチャな夢でも俺にとっては無くては困る唯一の娯楽だ。


 11月23日(水)

 やってしまった、寝過ごしてしまった。13時、今日は水曜日、Aコープはそういつも閉まっていないだろうとお袋が言うので、寒い中、バイクを走らせた。勉強は14時からしかできなかった。

 今日はバレーボールがあるため、例のもの(新宿警察か?水曜ロードショーか?)はないので、時間をとる必要はない。まぁいいだろう。

 眠くなるのが早かった。古典をしているときにはもううとうとしていた。15時にはコタツの中でダウン。夢の世界へ。やっぱり眠いのが一番苦しい。勉強する気力を無くさせる。だが、打ち勝たねば成功は覚束ない。

 今日の晩飯は焼肉、バレーボール、女子に比べて男子は迫力があって凄いの一言。


 11月24日(木)

 明け方4時からはどうしても眠ることができず、7時間で終わり。それから24時間以上起きていた。この頃、18時からどうしても眠くなる。

 朝10時、新聞を読みに居間に行く。1時間くらい一心不乱に目を通したつもりだが、日頃、書物に馴染んでいないせいか、難しい二字熟語に、スムーズに読み進められない。高校のとき、難解語を目にしたらちゃんと国語辞典を引いて覚えておかねばならなかった。今年は無理だが、大学に受かったらちゃんと学習して、一端の教養人にならねば。そして、語彙力を増して難易度の高い論文が書けるようになる。


 11月25日(金)

 13時からやり始めた勉強、不意に嫌気のようなものが差した。この気分は禁物だ。Aコープのレジのところで下川のおんちゃんに会った。

「こげなところに突っ立っとって恥ずかしかね」と言ってやった。

 足らなかったときのために、ハンバーグパンを一つ買った。だが、お袋の金だから、300円以上は掛けないようにしなければ。

 今日は珍しく、18時頃からの眠気が来ず、21時頃まで凌げたが、後のために三時間ほど寝た。その後、数時間、目が覚めず苦労した。雨が降っていたのでバイクを取り込んだ。


 11月26日(土)

 11頃、飯を買って福山書店へ。ミスターダンディーに東京ローズのことが載っていた。てっきり、コロンビアローズのことかと思った。

 日本は第二次大戦時、米兵向けのラジオ放送を行い、ホームシックを起こさせて士気を低下させようと試みたとのこと。東京ローズの声が非常に魅惑的で米兵の心を掴んだらしい。彼女は日系二世で英語がネイティブレベルだったことは言うまでもない。アメリカの市民権を持っていたから反逆罪に当たるとのこと。  

 俺がもし彼女の立場でも日本を支持するだろう。日本人の血が流れているのだから。実際、この地球上に民族としてのアメリカ人というものは存在しないのだから。

 暗号が解読されているのも分からなかった日本にしては中々の名作戦を思い付いたものだ。

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