1977年11月後半Ⅲ
11月27日(日)
寝過ぎてしまった。三時間のつもりだったのに。起きてからも二時間ぐらいは夢心地。これだけ寝たのに、夜が明けてからも眠気がきた。別棟にある風呂に入って覚まそうと勝手の外に出たら、お袋がすでの残り水を使って洗濯している。
10時頃、おにぎりを食ったせいで、好物だった昼飯が旨く感じられなかった。
「新婚さんいらっしゃい」で16歳の新妻が出た。旦那はかわいくて仕方ないと平気でのろけやがる。まだ高校生なので性欲はできる限り抑えねばと旦那が開けっ広げに言う。ヤれない俺らに対する当て付けか、嘗めとんのか!
やっぱり年下の女は良い。大事にしたくなる。俺は自分の未来に全く希望が持てない。
11月28日(月)
19歳になる日が近付きつつある。誕生日は、何とクリスマスイブの12月24日だ(笑
小学生のときは、誕生日の紅白饅頭がいち早く貰え、級友より一足先に年上になれる4月生まれの友廣が羨ましかったが、今だったら3月生まれが理想的だ。ぎりぎりまで人より1歳若いままでいられるから。
そう言えば、鷲崎さん(高校生三年のときの同級生の女子)は3月生まれだと文集(日隈が音頭を取って作った31ホームルームの卒業文集)に書いていた。
今日こそ寝る時間をきっちり明け方5時に持ってくる。そのために三度に分けて十分寝て、勉強開始が13時を過ぎた。
確かに眠たいときに寝るのは理想的だが、起きて直ぐ勉強しだすと、残る眠気のために嫌気を催す。ちょこちょこ寝て夜通し起きていて、昼間も勉強し続けるのだから、終わりがあらへん。こんな勉強の仕方はいくら俺でも嫌になる。地獄だ、まさに。
11月29日(火)
見事に眠気に負けた。それというのも、単に布団を敷いて、1時前に就寝しないならいいと思っていたからだろう。22時からコタツ台に頭を凭れて寝てしまっていた。そして、3時に布団に入って寝た。
今日はこれから先を占うためにも貴重な日だ。10時頃、気分が悪くなって外に出た。力任せにバットを振ったら手首を捩じってしまった。
スケジュールを変えて、眠気の来る22時頃に文法、そして瞑想確認を入れた。お陰でうとうとはしたが、一応予定通りできた。もう後二ヵ月しかないから、今日の調子を絶対維持する、堅持する。そして合格へ。
雨が降ったが、お袋が広いビニールを貰って来たので、それをバイクに被せた。バックミラーのところは穴を開けた。
11月30日(水)
福山書店で少女漫画をぺらぺら捲っていたら、ある漫画に出会った。カエルが人間の女に恋して、その女の彼氏と自分を比べ、どうして俺がカエルで奴が人間なんだろうと嘆いている。
この漫画のナンセンス感にムカついた。かえるはかえるとしかツカイにならないのは自然界の摂理だ。異生物間で互いに見比べて自分の姿を卑下していたら地球の生命は成り立たない。
ムカデ・ゲジゲジ・毛虫が人間の感覚で自分を見てしまったら、その気味悪さに卒倒して自死してしまうではないか(笑
他の生物にも同じことが言える。
鳥には人間にはない空を飛べるという特殊能力があるし、昆虫も飛べる。モグラは地中に潜れるし、蟻は地中に巣を作れる。魚は人間より早く泳げるし、四つ足の動物は人間より早く走れる。作者がカエルに言わせた言葉はこの世の支配者としての人間のエゴに他ならない。
人には知能があるが故に他の生物と比べてその存在を蔑ろにする。そういう俺も、残酷なガキの頃には、カエルの口に花火のダイナマイトを押し込んで爆発させて遊んでいる友達を見て笑っていた。鮒掬いに邪魔な牛カエルのオタマジャクシを用水路の石垣にぶつけて殺したりもしていた。
他人のせいにする訳ではないが、ガキには分別がない。親父や大人は、命を簡単に奪う俺を血反吐を吐くまでぶん殴って欲しかった。今の俺ならそうするが。
人間は他の生物を保護する必要はないから干渉するな、生存を脅かすな、侵すな。
ある種がある程度進歩し落ち着いたら、それ以上広がらないで良い方法を見つけねばならない。と言っても、おかしなことに人間だけは絶えず生存圏を拡大しないことには生きていけない。人間が増えると、それ以外の生物は押し出され、追い出されてしまう。いうまでもなく個体数は減少する一方で、ついには絶滅するしかなくなる。
さて人間はどうなるか?他の生物が消えてしまえば人間も消えざるを得なくなるだろう。そして、地球にまた新しい秩序が生まれるという仕組みになってるのさ。




