五幕目 契約をしよう
奴隷契約と身請けです。
「真ですか。二人はともかく。龍人にもありますが。あの三人は命令に従うはずがありません。壊れるはずの無い魔道具さえ壊すのですよ」
中松さんは予想通り反対する。
「和風・真風・琥珀・炎は反抗するの」
五人は正座をする。和風が中心となった。
「寿 凪様に。忠誠を誓います。誠心誠意御仕えします」
深々と御辞儀を五人がする。
「「えっ」」
女将さんがひっくり返った。
中松さんは、口をあんぐりと開いたまま、固まった。
町田は湯呑みを落とす。
笹は羨ましそうな表情をした。
「女将さん。中松さん。手続きをお願いします」
「はい」
二人は慌てて手続きを開始する。
「あの子達の着物は小袖と野袴の両方と下駄が値段に入っています。どちらに着替えさせますか」
女将さんが息を切らして質問。
「宿に泊まるだけなので小袖を」
「それでよろしいんで」
「はい」
「奴隷魔道具の首輪はどれにしますか」
「えっと」
「白が目印としてのみ。黄から居場所が魔道具で解ります。赤が命令に反抗するたびに首が締まります。黒が精神に働きかけ主人に惚れさせます。全ての魔道具が、主人に殺意を考えると締まり、殺意を無くせば止まります。そして呪文で首が締まります。主人が秘め事と決めた、話しを漏らせば首が締まります。この場合は終わらせられる、主人に隠れて行われる事が多い為、命に関わります」
女将さん一息つく。
「正式な手順以外で外そうとすると締まります。解放は奴隷商でできます。三人には赤か黒にした方が無難ですよ」
女将さんが心配そうに自分に問い掛けらる。
「戦闘に参加して貰うからはぐれた時の為に、五人共黄色でお願いします」
「大丈夫でしょうか」
「大丈夫だよね」
「凪様が持たれていらしゃる、殿方の色香にほだされました。反抗はいたしません」
和風打ち合わせ通り。
「いろか」
中松さん絶句。
「凪様の色香が解らないとは、ガキですね」
迷霧打ち合わせに無いよ。
「色香ね~」
女将さん釈然としてない。
「赤か黒にしてほしいのですが」
大丈夫だよ。中松さん。多分ね。
「呪文は必要ですか」
自分が女将さんに聴く。
「御公儀の・・」
「解りました。決めます」
「首輪輪の代金が一つ一両です。五つで五両。居場所を写す魔道具が一両です。併せて六両になります」
不満そうな中松さんが百七十六両を用意する。
「遺言書はどうします。解放のみなら店で作れます。正式なら藩の公文所で立ち会い人が一人必要です」
中松さんを見ると頷く。
「公文所で作ります」
護り人の札を渡す。
五人の書類に墨と筆でサインする。習字は苦手。字が下手だから。家業で書かなければならい時は逃げていた。だって下手くそだもの。
呪文を紙に書く。開始は全員用と個人用。 終了は全員共通。
登録が終われば、目の前で燃やされる。
「変わった呪文ですね。南蛮人の名前ですか」
女将さんは訝しみ、自分に問い掛けた。
「めったに無いのにしただけです」
「声を登録しますから、そこまで珍しい言葉でなくともお気遣い無用ですよ」
「あらま」
「失礼します」
番等に連れられ、五人全員が黒い襟の小袖に着替えきた。町娘風の柄なのか地味な色柄。裾が短い。動きやすい為か。
五人共風呂敷包みを抱えている。
「風呂敷の中は野袴です」
炎が答える。
「これより奴隷魔道具の登録を行います」
首輪型の魔道具が彼女達の首に巻かれている。全体が黒い、宝石のような石が付いている黄色だ。その石に針で自分の指に傷を付けて血を付ける。一瞬だけ石が輝いた。
五人が部屋に入る前には、呪文と声の登録は終っていたが、奴隷の目の前で紙を燃やすのが終了の儀式らしい。
呪文を書いた紙が蝋燭の火で燃え尽きるのを確認する。
「五人は。寿 凪様の所有奴隷となりました。五人に命令できるのは寿 凪様のみです」
札を返却される。魔道力を込めると五人の名前が浮かび上がった。苗字は奴隷身分は剥奪される。
面談の時の誓いで苗字を名乗ったのは、彼女達がけじめと考えたから名乗ったそうだ。
書類らしき紙と薄いクリーム缶ぐらいの黄色の石が渡された。
居場所を写す魔道具だ。
使い方は魔道力を込めると名が浮かび上がった。
五人は近くいるから効果が良く解らなかった。
見送りの女将さんや番等、奉公人の顔が晴れやかだ。
三人娘はどれだけ手を焼かしたのか気になる。
三人娘が女将さんの前に立つ。何するつもりですか。
「女将さん。今まで大変迷惑をおかけしました。公儀の命により引き取っただけですのに、言いがかりの罪と公儀の沙汰に憤慨の余り御迷惑をおかけしました。凪様に引き合わせていただきありがとうございます」
和風が話終えると、頭を下げ琥珀と真風も頭下げた。
女将さんは目を白黒させていた。
引き続き炎と迷霧を挨拶に行かす。
越後屋総出の見送りを受けて、九人で越後屋を後した。
町田の案内で、人通りの少ない裏道を行く。
エルフで絶世の美女和風が目立ち過ぎる為。五人共美少女だし。
「宿は丹波屋です。部屋は六人一緒にします」
「えっ。中松さん。何をおしゃてますか」
自分は少し慌てた。
「凪様と当然御一緒かと、お嫌ですか。凪様」
和風と迷霧が涙目で打ったえてくる。女の子の涙は反則です。
「知らなかったから」
自分が中松さんに、抗議を送るが、中松さんは平然と答える。
「説明不足でしたか。主人の中には、畳や板張りの床や布団無しで寝かす方、布団を使わしても主人と一緒が一般的です。一緒の場合は若い女に限られますが」
「若い乙女に布団無しは、お肌に悪いからよろしいのでは」
「なら、二人一組が無難かと」
「無難ならそうしましょう」
「凪様はどの娘と一緒されます」
「中松さん。叉説明不足ですか」
「そのようで。おなごにされましたので、そのつもりかと」
「女性の方に慣れるからです」
「言葉使いは、気をつけていただきたいです。女性とは」
「女です。気をつけます」
「慣れいる」
五人の殺気が。
「主人に殺気を向けて首が締まらないの」
自分が五人に聴く。
「殺気ではありません。嫉妬です。移り気の多いの殿方の行いに、一々首が締まっていたら体がもちません。仕掛けは知りませんが、殺意の無い嫉妬には動きません。それで女に慣れてるのは」
迷霧よ、あれで殺意が無いの。是非、仕掛けが知りたい。
迷霧 嫉妬深い子。
「向こうでは女が大半を占める習い事をしていたから。薙刀」
自分が、五人に話す。
「薙刀が使えますか」
琥珀が質問。
「基本は長巻術だけど、修行の一環として師匠に勧められて。薙刀は人数が少ないし、男はもっと少ない。自分が居た高校の部は、珍しい大所帯で六十人以上だったけど男は一人だけ。中学校は珍しくあったかな。中、高・大と十年間で、男は常に自分一人だった。完全に競技化」
「こうこう?ちゅうがく?きょうぎか?」
迷霧は可愛い子。
「高校と中学校は藩校かな。怪我をしない様に防具を付け。蹴鞠みたいに点数を競う事。日本は七十年以上戦が無い為」
「七十年も戦が無い・・」 炎は愕然。
「日本はね。侍が天下をとっていた百五十年前。天下太平が二百五十年続いた」
「「二百五十年」」
全員合唱です。
「丹波屋です」
町田が教えてくれた。
六人一部屋で泊まる事になる。
旅籠 丹波屋だ。
改定しました。
御指導ありがとうございます。
長巻術は、お買い物の回で解説する予定です。武具は、魔道武具と一部を除いて、日本か中国で使用させた物です。
創作か改良して有る武具は、作中か後書きで解説します。
凪の日本のウンチクは、武具や食品、神社等は全て実際です。
(但し、陰陽道は除きます)
凪が、知らんかった。と言う言葉は、昔の日本で使用させた、古語です。
此れからも宜しくお願い致します。




