救援④
街の中心部では建物を包囲していたセントラルボーデン兵達とフェリクス達が激しい攻防を繰り広げていた。
先陣を切って飛び込んだフェリクスに、敵の攻撃が集中する。
風を切り、迫る銃弾を手にした剣で弾き、躱す。
それでも空気を飲み込みながら炎が迫り、雷撃が周囲からほとばしる。
「くそっ、思ったよりきついな」
フェリクスは苦笑しながら剣を放り投げると、迫っていた雷撃は剣へと吸い寄せられた。
剣を避雷針代わりにし武器を失ったフェリクスへ火球が迫る。フェリクスは身をよじりながら躱すが、火球がかすめ、焦げた匂いが鼻につく。
そんな中、ジェーンから通信が入った。
「少佐、ようやく屋上の制圧完了しました」
「よし、そこから狙撃してくれ。建物に近付けない」
「了解しました」
通信を終えた直後、屋上から銃声が響いた。
銃声が響く度、セントラルボーデン兵が一人、また一人と倒れていく。
突然の狙撃にセントラルボーデン兵達が慌てると、フェリクスはその隙を見逃さなかった。
狙撃を気にし、屋上を見上げた兵士をナイフで切りつけ、地に伏せる。
屋上からの狙撃と地上のフェリクス達の挟撃で、敵陣形は一気に崩壊し、撤退を余儀なくされた。
敵が退くのを確認したフェリクスが建物内に侵入する。
そこには身を潜めながら僅かに抵抗していたライデル達の姿があった。
「ライデル大尉、助けに来たぞ」
フェリクスの声に、ライデルは立ち上がり静かに敬礼する。
「フェリクス少佐。お久しぶりです。まさか貴方が来てくれるとは……ありがとうございます」
そう言って笑みを見せるライデルだったが、数ヶ月前に見せていた快活な笑顔とは程遠い、まさに振り絞るような、そんな笑顔だった。
「ライデル、すまないが時間がない。すぐに出発だ」
フェリクスの声を聞き、ライデル隊の他の隊員達も立ち上がる。
その惨状を見て、フェリクスは思わず息を飲んだ。
数ヶ月前、共に敵補給基地を襲撃した時は三十人弱いた隊員達は十人にも満たず、全員が何処かを負傷していた。
エリート部隊と称された面影は既になく、隊員達の表情には悲愴感が漂っていた。
「……これで全員か?」
「はい。他の奴らはもう……」
そう言って目を伏せるライデルの肩を、フェリクスが優しく叩く。
重い空気が漂う中、突然無線機から焦る様なリオの声が響いた。
「少佐!奴ら体勢を立て直してる。ライデル隊を救出できたんなら早く行こう」
リオからの通信を受け、フェリクス達は建物の外に出る。そこでジェーン達と合流を果たし、一斉に街の出入口に隠した車両を目指し走り出す。
車両まで戻るとリオが女性兵士を抱きかかえながら待っていた。
リオに上着を着せられ俯きながら立つ女性兵士を見て、すぐに状況を理解したフェリクス達は何も言わずに車両に乗り込んでいく。
「待ってたぜ、早く」
急かすリオを見つめ、フェリクスは軽くリオを撫でた。
「よくやった。さぁ行くぞ」
フェリクスの声と共に車両は急発進し、荒れた荒野を疾走して行く。
「キャリー……生きてたんだな」
車内では俯く女性兵士をライデル達が抱き締め声を掛けていた。
まだ重い空気が漂う中、リオが静かに口を開く。
「まだ安心出来ないよ。奴ら追って来てる……車両は五台。こっちの三倍はいるんじゃないか?」
苦笑しながら告げるリオ。隊員達が銃を握り締める中、フェリクスが静かに立ち上がる。




