救援③
リオは一人隊から離れると、街の路地裏へと歩いて行く。
その人気がなくなった路地裏ではセントラルボーデン兵数人が女性ラフィン兵士一人を囲んいた。怯える女性兵士の悲痛な叫びと、男達の下卑た笑いが交差していた。
リオの視線は鋭く氷の様に冷たく変化し、奥歯を噛み締めると、ゆっくりと歩き近付いて行く。
「よお、お楽しみかい?あたいも混ぜてくれよ」
リオの声に数名の兵士が振り向き、一瞬困惑した様な表情を見せたが、すぐに口角を釣り上げ下卑た笑みを浮かべた。
「なんだ、お前?一緒に可愛がってやろうか」
一人の男が笑いながら銃口を向ける。
その瞬間、リオは踏み込み、一瞬で男の眼前へと詰め寄った。
男は驚き銃を握り直すが、その時にはもう、リオのナイフが喉元に突き立てられた後だった。
「ああ、駄目だ。全然あたいのタイプじゃないや」
倒れ、喉から溢れ出る血を止めようと、もがき苦しむ男を見下しながら冷たく告げる。
それを見ていた男達が一斉に銃を構えた。
「野郎、何を――」
男達が叫び、引き金に指を掛けたが、リオは既に銃を放っていた。
路地裏に三発の乾いた銃声が響き渡る。
スピードで勝るリオに不意をつかれた時点で、男達の命運は決まっていたようなものだった。
一人の男は額を一発で撃ち抜かれ、もう一人の男は胸と腹に銃弾を受け倒れた。
瞬く間に三人の男を地に伏せたリオは返り血を浴びて、立ち尽くしていた。
「お前達が屑で助かる。余計な感情を抱かなくてすむからな」
そう言って残った二人に鋭い眼光を向けると、一人はその腕に炎を灯した。
リオは眉をひそめると、軽く舌打ちをした。
「消し炭にしてやる!」
男が叫び腕を振り上げたが、リオは既に男の傍らに立っていた。
「ウィザードだが、スピードは並以下か。助かったぜ」
リオが呟くと男の首から勢いよく、鮮血が飛び散る。
返り血で全身を赤く染めたリオが残りの一人を睨んだ。
男は後退りし、涙を浮かべながら必死に訴えた。
「違う、俺は何もしちゃいない。ただの見張りなんだ。あの女に聞けばわかる」
情けない声で必死に弁明する男にリオは近付き、笑みを浮かべる。
「そうかい、仕方ないよな」
リオの言葉を聞き、男が引きつった笑みを浮かべた瞬間、銃声が二発鳴り響く。
「ぎゃああああ」
男が撃ち抜かれた両膝を抱えのたうち回る。
リオは銃を手にしながら、女性兵士の元へと歩み寄った。
「あんたの手で終わらせるかい?」
リオが銃を差し出すと女性は銃を手に取り、のたうち回る男に向けて引き金を引いた。
乾いた銃声が響くと、のたうち回っていた男は頭を撃ち抜かれ横たわっていた。
それを見た女性は銃を握り締める。
「うわあああ」
女性は倒れた男達に向かって銃を乱射する。
既に息絶えていた男達の体に銃弾が命中する度、微かに体が跳ねる。
銃を撃ち尽くし、再び路地裏には静寂が訪れる。
女性の荒れた呼吸が風に乗り、静かに溶ける。
「……まぁ、気分は晴れないだろうけど、しないよりかはマシかもな」
リオがゆっくりと歩み寄ると、女性はリオを掴み、堰を切ったようにリオの胸で泣いていた。
「……そろそろ戻らねぇと」
リオは振り向き、空を見上げる。
街の中心部からは銃声や轟音が響き渡っていた。




