救援②
フェリクス達を乗せた車両が荒野を疾走していく。
砂を巻き上げ、荒れた悪路を車両が走り抜けると激しく跳ね、フェリクス達は体を揺さぶられていた。
「ラングレーから東に数キロか。アバウト過ぎるぜ」
揺れる車内でガルシアがぼやく。
そんなガルシアにジェーンが冷めた視線を向けていた。
「文句言ってないでちゃんと準備しときなよ」
「わかってるよ」
車両ではやや緊張感を欠いた会話が繰り広げられる中、リオは俯き鷹の目を使い、捜索を続けていた。
「どうだリオ?あまり無理するなよ」
横に座るフェリクスが声をかけると、リオは愛想笑いを浮かべる。
「へへ、心配してくれるのかよ?大丈夫だ」
そう言って強がるリオの額には汗がかなり滲んでいた。
フェリクスは思わずリオの頭を軽く撫でる。
ここまでリオはずっと鷹の目を使いっぱなしだ。疲労が色濃く出ている。早くライデル達を見つけなければ――。
焦るフェリクスだったが、その時、リオが突然何かに気づいた。
「少佐、戦闘だ。ここから更に東に行った小さな街で市街戦になってやがる」
「本当か?ライデル達か?」
フェリクスが尋ねるがリオは首を振る。
「わからねぇ。ただセントラルボーデンの奴らが街の建物を包囲してやがる。相手は建物内に入ってるせいでここからは見えないんだ」
「了解した。十分だ。向かうぞ」
車内に緊張が走った。
やがてフェリクス達は小さな街に辿り着いた。
長引く戦争の影響か、人気はなく崩落した建物が目につく。
街の入り口付近に車両を隠し、フェリクス達は街に降り立つ。街の中心部からは銃声と爆発音が聞こえていた。フェリクス達は銃声のする方へ慎重に徒歩で進んで行く。
「気を付けな、既に建物はセントラルボーデンの奴らに包囲されてる。敵は三十人規模だぜ」
リオが鷹の目を使いながら告げると、フェリクスは笑みを浮かべた。
「こっちは十人だ。なんとかなるかな」
フェリクスの言葉を聞き、隊員達は全員が小さく頷く。
フェリクス達が静かに近付き様子を窺っていると、リオの表情が突然険しくなり鋭い視線を向けた。
「少佐、そっちは任せていいかい?あたいは別行動を取らせてもらう」
リオの言葉にガルシアが噛み付いた。
「何言ってんだ?今は作戦行動中だぞ!」
だが、すぐにフェリクスが割って入る。
「まぁ、待て。リオ、何か理由はあるんだろうが、それなら行く前に敵の配置だけは教えてくれ」
「OK。敵は建物をぐるりと囲んでやがる。向かいの建物の屋上にスナイパーらしき奴ら二人と、恐らくウィザードと思われる奴が一人いる。全体にウィザードらしき奴らは全部で五人。後は武装したソルジャーだ」
リオの言葉を聞き、フェリクスはゆっくりと頷きリオを見つめた。
「上等だ。あとはこっちでやる。ジェーン、ブレイド向かいの建物の屋上、制圧して来てくれ。作戦開始は五分後、合わせられるか?」
「もちろんです」
ジェーンとブレイドは力強く言い切ると駆け出して行く。
「よし、残りは俺に続け」
全員頷き緊張感が漂う。
銃を握り締めるフェリクスにリオがそっと歩み寄った。
「また先頭切る気かよ。まぁ慣れたけど気を付けなよ」
「ああ、だがお前もだ」
互いに笑みを浮かべ拳を合わせるとリオも一人駆け出して行った。




