最終防衛ライン ケセラン・ハルト④
「少佐、敵が射程に入ります。準備が出来次第、出撃願います。続いてクリスもお願いします。二人とも無事帰って来て下さいね」
オペレーターであるエルザが出撃の合図と共に二人に言葉をかけていた。
「当然帰って来るさ。留守の間頼んだ」
「エルザ帰ったらまたお話しましょう」
二人はエルザの言葉に応えると勢いよく出撃して行く。
「どうかご無事で」
移動基地に残されたヴェルザードが静かに戦場を見つめて呟く。
戦場に立つと、肉眼で確認出来る程に世界連合軍が迫っていた。
「リオ戦況はどうなっている?」
フェリクスが通信を繋げてリオに問いかける。
「凄い数が来てる。ラフィン軍も今は十分やれてるけど、多分今来てるのは先遣隊だと思う。本隊が本腰を入れてきたらと思うとゾッとするよ」
「了解した。リオは少し下がった位置から鷹の目で見た状況を的確に伝えてくれ。ライデル、ガルシア、ジェーン、リオの護衛を頼んだ。俺は劣勢になっている隊のフォローに入る。クリス一緒に来てくれ。キャスパーは小隊を率いて続け」
「了解」
即座に指示を出し、フェリクスは戦場へと駆け出して行った。
リオの護衛についたガルシアはニヤリと笑っていた。
それを見ていたジェーンが冷たい視線を向ける。
「何笑ってんのよ?そんなに新型が嬉しい訳?」
ジェーンの言葉の通り、フェリクス達の隊にもクリスタル内蔵バトルスーツが支給され、ガルシアとレスターにそれが行き渡っていた。
「はは、俺にも魔法が使えるんだぜ。少しはテンションも上がるさ。やばくなったらお前も守ってやるぜ、ジェーン」
笑いながら言うガルシアに、ジェーンは苦笑しため息をつく。
「ありがたいけど、私達が守るのはリオだよ。それに私にはクリスタルなんかなくても、こいつがある」
そう言ってジェーンは銃を掲げる。
その様子を見ていたリオも笑って間に入る。
「へへ、頼もしい限りだ。ひょっとしたらここのメンツで敵小隊をいくつか潰せるんじゃないか?」
「ふふ、それは言えてるわね。でも勝手な事したら鬼の副官にまた怒られるわよ」
「確かに」
リオ達は依然として、軽妙なやり取りを繰り広げていた。
一方、敵からの銃弾や魔法が飛び交う中、フェリクスとクリスは、余裕を持って駆け巡っていた。劣勢になっていた隊に追いつくとクリスが援護に入り、フェリクスが斬り込む。そうして敵部隊を跳ね返すと、リオの指示に従い他の劣勢になっている部隊の元へと移動して行く。暫くフェリクスとクリスがそうして戦場を駆け巡っていた時、リオから突然通信が入った。
「少佐、クリス、まずいぞ、遂に本隊が出て来る。しかもこっちに向かって来てるのはセントラルボーデンの魔法兵団だ」
緊張感のあるリオの声に、フェリクスはあえて明るく返す。
「はは、よりによって最悪だな、おい。バラバラに応戦してたら全滅する。各小隊を集めて応戦するぞ」
フェリクスが指示を飛ばすと各小隊も素早く反応し集結を始める。
小隊が集まり編隊を組む頃、全員の視線の先にはセントラルボーデンの魔法兵団が迫っていた。互いが互いを視界に捉え、歩みを止める。双方の間で異様な緊張感が支配していく。




