表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/131

グランディアス⑤


「よし、このまま左右に展開している敵部隊にも攻撃を仕掛ける。リオ効率的なポイントを教えてくれ」


「了解!少佐達から見て右の部隊が押し込まれてる。そのまま右に移動して敵部隊を横から叩く事が出来たら、逆に先行した敵部隊を孤立させる事が出来るかも」


「よし、上出来だ!!」


 リオから的確な指示を受け移動を開始しようとしたその時、ヴェルザードから通信が入る。


「少佐、至急お戻り下さい。事態が急転しました。第十四独立機動隊全員帰還せよ!」


「な!? ヴェルザード何があった?」


 全体的に見ても防衛戦は上手くいっており、フェリクス達に至っては世界連合軍を押し戻す勢いだった。それだけにフェリクスは困惑した表情を浮かべる。


「少佐がお戻りになってから説明します。ひとまずお戻り下さい」


 普段通り冷静に話すヴェルザードの言葉から僅かに焦りのような物を感じたフェリクスは、指示に従い速やかに反転すると全員を引き連れ、後方で待機するヴェルザード達の元へと帰還して行く。


「ヴェルザード、どうした?何があった?」


 戻ったフェリクスは急いでヴェルザードの元へと駆け付けると、彼は力強い敬礼で迎えていた。


「少佐、局面が変わりました……我々は踊らされていたんです。奴らの狙いはここじゃありません」


「な、何を言っている?どういう事だ?」


 困惑するフェリクスとは裏腹に、冷静な対応でヴェルザードが語り出す。


「奴らの狙いはグランディアスではなく、サダハラの方だったんです。こちらに三万の軍勢が現れたので我々はこちらが本命だと思い込みました。ですが現在サダハラは十五万の世界連合軍に攻め込まれているようです」


「十五万だと?サダハラに集結していたラフィン軍は確か二万だったはず。数が違い過ぎるだろ」


 驚きの声を上げるフェリクスだったが、ヴェルザードは冷静に続けた。


「本部から既にサダハラ及びグランディアスは諦めケセラン・ハルトでの決戦に備えよとの命令が下されています。いくらグランディアスを守っても最終防衛ラインであるケセラン・ハルトを突破されたら元も子もありません。ひとまず速やかにケセラン・ハルトまで撤退しましょう」


 冷静に伝えるヴェルザードだったが、横で聞いていたリオが口を挟んだ。

 

「十五万の軍勢が集結し攻め込まれるまで、こっちは気付きもしなかったのかよ?」


「あっちは森林地帯も多く、上手くカモフラージュされたんだろう。それにこちらの偵察部隊や情報網も思っている以上に寸断されているのかもしれん」


 ヴェルザードが拳を握り締めながら推測していた。フェリクスは仕方なく撤退命令を受け入れ、隊全体にケセラン・ハルトまで撤退する事を伝える。


 フェリクスは撤収する前にグランディアスの司令室を訪れた。


「カイル大佐。我々はここを発ちケセラン・ハルトへ向かいます。お力になれず申し訳ありません」


「フェリクス少佐。仕方ない。寧ろ今までよくやってくれた。おかげで君達が出発するまでは十分もちそうだ」


 フェリクスが深刻な眼差しを向けると、カイルは柔和な表情を浮かべていた。フェリクスは背筋を正し敬礼をし踵を返す。


「……フェリクス少佐、我々の分も頼んだ」


 部屋を後にしようとしたフェリクスに、後ろからカイルが声を掛ける。

 慌てて振り返ると司令室全員が笑顔で敬礼をしてフェリクスを見送っていた。フェリクスは無言で頷くと再び敬礼をし一礼した後、歩み出す。


 グランディアスを放棄しケセラン・ハルトまで撤退する事になった。だが全員が一気に撤退する訳にもいかず、残って敵を足止めする者が必要になる。残った彼等を待ち受ける運命が過酷である事は誰の目から見ても明らかだった。


 その後グランディアスに二千程の兵士を残し、フェリクス達を含めた残りの者達はケセラン・ハルトに向けて出発して行く。


 丸一日車両に揺られてフェリクス達はケセラン・ハルトへと無事辿り着いた。そして休む間もなく司令室へと向かう。


「第十四独立機動隊フェリクス・シーガー少佐、只今ケセラン・ハルトに到着しました」


「ご苦労少佐。早速ですまないが君達の部隊も防衛ラインに加わってもらう。君達は本来独立機動隊として単独行動も多かったと思うが、今回はサダハラから帰還したイアン・コール将軍と合流してE-4ブロックの防衛戦にあたってもらいたい」


 イアン・コール将軍とは、第八遊撃隊、別名ジャッカル隊を率いて次々とセントラルボーデン軍を各地で壊滅させていった人物であり、その獰猛な戦術は敵味方なく恐れられていた。


「了解しました」


 短い言葉を残し、部屋を出ようとしたフェリクスに司令官が後ろから声を掛ける。


「ああそれと、先程グランディアスが陥落したらしい」


 フェリクスの脳裏に、力強いカイルの笑顔や活気のあった司令室の様子が思い起こされる。


「……そうですか。残念です」


 一度足を止めたフェリクスはそう言い残し、静かに拳を握り締めると部屋を後にした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ