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グランディアス②


 グランディアス基地に着いたフェリクス達第十四独立機動隊。隊員達は兵舎へと移動し、フェリクスはヴェルザードを引き連れグランディアス司令室へと向かった。


 エレベーターに乗り最上階まで上がり、司令室へと向かう。

 司令室の扉をくぐると、そこは広いフロアになっており、巨大なモニターがいくつも並んでいた。

 十数人のオペレーターが忙しくキーボードを叩きながら通信を行っていた。


 その様子を椅子に座りながら、静かに見つめる将校の元へと、フェリクスとヴェルザードが歩み寄る。


「失礼します。第十四独立機動隊フェリクス・シーガー少佐です。カイル大佐でお間違いないでしょうか?」


 フェリクスが声をかけると将校は柔和な笑みを浮かべて振り返った。


「おお、フェリクス少佐待っていたよ。私がこのグランディアスを預かるカイル・ラーハルトだ。よろしくな」


 立派な口髭をたくわえたカイルが、にこやかに手を差し出す。フェリクスは一礼しながら差し出された手を握り、握手を交わした。


「知っているとは思うが今、世界連合がここグランディアスかサダハラのどちらかに、大規模侵攻をかけると噂されている。今情報を精査しているところだが、君達をはじめ、精鋭部隊がここグランディアスにもサダハラにも集結している。世界連合といえどもそう簡単に手は出せんさ」


 自信に満ちた笑みを浮かべるカイルにフェリクスも笑みを浮かべて頷いた。


「ええ、心強いですよ。我々も全力を尽くします」


「期待しているよ少佐。そう言えば将軍から少佐に研究室を提供するよう要請を受けている。既に用意はしてあるから好きに使ってくれ」


「そうなんですか?わかりました。ありがとうございます」


 フェリクスは背筋を正して敬礼すると、踵を返して司令室を後にした。


 研究室か……何がなんでもあのクリスタルを使えるようにしろって事か――。


 フェリクスは一人頷くと、横を歩くヴェルザードに視線を向けた。


「俺は暫く研究室に籠る。その間、隊の事は任せた。何かあったらすぐに知らせてくれ」


「了解しました」


 ヴェルザードは力強い言葉を残し、颯爽と歩いて行った。


 フェリクスが自身のバトルスーツを取りに戻ると、そこには椅子に腰掛けクリスが待っていた。


「おかえり」


 クリスが笑みを浮かべて声をかける。

 フェリクスも笑みを浮かべて頷くと、バトルスーツを手にした。


「暫く研究室に籠る事になりそうだ。その間、大丈夫か?」


 フェリクスの言葉を聞き、クリスは苦笑いを浮かべる。


「子供じゃないんだから大丈夫よ。まぁ皆貴方と私の関係わかってるから気を使ってくれてるみたいだけど。まぁ寂しくなったらそっちに行くわよ」


 そう言って笑うクリスを引き寄せ、抱きしめる。

 

「悪いな」


 声をかけフェリクスは研究室へと向かった。

 研究室に入るとバトルスーツを台に乗せ、クリスタルを取り出す。

 相変わらずクリスタルは微かな光を放っている。

 しかし最近は初級魔法である光熱矢(レイアロー)程度なら使用しても幻覚等に襲われる事はなくなっていた。


「幻覚も不気味だが、急に何も起こらなくなっても気味悪いよな。なんなんだ?クリスタルの力が弱まってるのか?それとも俺の体の方か?」


 フェリクスが独り言を呟きながら微かに首を傾げる。


「……俺の体、乗っ取ったりするなよ」


 フェリクスが一人笑いながらクリスタルに話しかけていた。


――

 二日後。

 フェリクスが研究室に籠り二日が経過した。


 リオが一人基地内を歩いていると、視線の先でクリスが一人、休憩室に腰掛けているのを見つけた。

 そっと後ろから近付き声をかける。

 

「暇そうだな。一人かい?」


 驚いたような表情をしてクリスが振り返るが、すぐに笑顔を作った。


「リオ。ご覧の通り結構暇を持て余してるかな」


 リオも笑みを浮かべて隣に腰を下ろす。


「へへ、少佐はまだ研究室に?」


「ええ、彼、一つの事に集中すると他が見えなくなるみたいね」


 笑いながら言うクリスだったが、どこか寂しげな雰囲気を感じた。


「まぁ何事にも一途なんだろうな。少佐らしいけど」


「はは、確かに」


 そう言って少し遠くを見つめるクリスを見て、リオは微かに笑みを浮かべた。


 こうして何気ない仕草にでも華がある。女のあたいから見てもやっぱりクリスは美人だよな――。


 リオが笑みを浮かべて見つめていると、その視線に気付いたクリスが首を傾げる。


「何?」


「いや、もうウチの隊には慣れたかい?まぁあたいも途中参加だから偉そうには言えないけどさ」


 リオがそう言って笑うと、クリスも僅かに口角を上げた。


「ええ、だいぶ慣れたわよ。ちょっと前までセントラルボーデンの兵士だったから冷たい目で見られる覚悟はしてたんだけど、皆気さくに接してくれてるから逆にちょっと驚いたわね。まぁ私とフェリクスの関係を皆知ってるからってのもあるんでしょうけど」


「はは、まぁこの隊の連中はそこまで気にはしないさ。ましてや少佐が連れて来たんだ。皆クリスを信用してる……まぁたぶんな」


 リオはそう言いながらも、一瞬ヴェルザードの険しい顔が浮かんだ。


「何か間があったわね。どこかの某副隊長さんの顔でもよぎった?」


 クリスが笑って問いかけると、リオも明るく笑う。


「ははは。なぁクリス、少佐に会いたいんだったら我慢せず研究室にでも会いに行ったらどうだい?」


「ふふ。あまり邪魔したくなかったんだけどね。まぁ二日も放っとかれてるんだからそろそろ押しかけてもいいかな?」


 そう言って笑顔で立ち上がるクリスに、リオもウィンクして応える。


 笑みを浮かべてフェリクスの元へと歩いて行くクリスを、リオは笑顔で見送っていた。

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