グランディアス
翌朝。
フェリクスが街の宿泊所にある部屋で眠っていると、通信機の音で目を覚ます。
慌てて起き上がり通信機を手に取った。
「少佐。ヴェルザードです。本国からの指令です。我々はグランディアスに向かえとの事です」
まだ少し微睡む頭を無理やり働かせ、ヴェルザードの報告を頭で巡らせる。
「わかった。とりあえず、すぐにそっちに行く。情報をまとめといてくれ」
「了解しました」
通信を終えると隣で横になっていたクリスと目が合った。
「次はグランディアス?」
クリスも寝ぼけながら問いかけると、フェリクスも静かに頷く。
「ああ、そうみたいだ」
そう言ってクリスの頭を撫でると、クリスもゆっくり体を起こした。
「グランディアスって言えば確か、大きな軍事施設がある要の場所じゃないの?」
「そうだ。さすがよく知ってるな」
「そりゃね。ラフィンを攻略する上で、重要な攻撃目標だって叩き込まれたからね。まさかそこにラフィン側として行くとは思わなかったけど」
そう言って明るく笑うクリスを見つめ、フェリクスは立ち上がり支度を始める。
「いよいよ、重要局面が近付いてるのかもな」
フェリクスは真剣な眼差しで窓の外を見つめる。
外では明るい日差しが降り注ぎ、街の人々が中心地を行き交っていた。
フェリクスはそんな様子を寂しげに見つめ、支度を急ぐ。
支度を終えたフェリクスとクリスは、ヴェルザードの元へと駆けつけた。
「ヴェルザード。俺達にグランディアスに向かえって事は、噂は本当だったって事か?」
フェリクスが問いかけると、ヴェルザードは微かに頭を傾げる。
「わかりません。指令は『グランディアスに向かえ』としか言われてませんので。しかし世界連合の大規模侵攻作戦の噂は本当なのでしょう」
ヴェルザードの言葉を受け、フェリクスは怪訝な表情を浮かべた。
「とりあえず全員集めろ。俺は本国に詳細を確認する」
「はい。了解しました」
やがて十五分程が経ち、集められた隊員達の前にフェリクスが姿を見せる。
フェリクスは全員を見渡しゆっくりと口を開いた。
「全員集まってるな。先程本国からグランディアスに向かうよう指示があった。どうやら世界連合はグランディアスかサダハラに対して大規模侵攻作戦を計画しているようだ。我々はグランディアスに配置される」
フェリクスの言葉を聞き、ざわめきが隊全体に広がっていく。
重要軍事施設グランディアス。
要塞都市サダハラ。
共にラフィン共和国最終防衛ライン、ケセラン・ハルトの前に立ち塞がる重要拠点だった。
そんな重要拠点に世界連合が攻撃を仕掛けるとなれば、これまでにない大規模な戦闘になる事は容易に想像が出来た。
隊員達の顔にも困惑や不安の色が見てとれる。
フェリクスはそんな隊員達に目をやり、静かに語りかけた。
「いいか。俺達はグランディアスに集められる訳だが、集められるのは俺達だけじゃない。各地から俺達以上の精鋭部隊も集められるだろう。いいか一人で戦うんじゃない。全員で戦うんだ。不安は感じるかもしれないが怯えるな。仲間と自分を信じろ。俺達ならやれる」
フェリクスの言葉を聞き、隊員達は力強く頷き敬礼していた。
やがてフェリクス達は街を後にし、グランディアスへと向かう。
そうして丸一日車を走らせ、フェリクス達第十四独立機動隊はグランディアスへと到着した。
大きな門をくぐり、中に入るとその巨大な軍事施設は大きな街のようにも思えた。
中心を大きな道が走り、飲食店も並んでいた。
その奥にはまるでホテルのような巨大な兵舎がいくつもそびえ立っている。
そして至る所に迎撃用の砲台が設置されていた。
歩く兵士達の顔にも活気が溢れており、悲壮感等は感じられない。
そんなグランディアスの雰囲気に、第十四独立機動隊の隊員達が抱えていた不安なんかは、どこかへ消えていた。




