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30.話(アレス視点)

「団長、盗聴は止めて下さいと言ったはずです」

「可愛すぎて生きるのが辛い。わざわざシルと別れたあとお前からの呼び出しに応じてよかった…」

「まだ頑張れそうなので明日以降の処理もお願いします」

「俺、この顔に生まれてきてよかった」

「端正な顔立ちで血を浴びながら笑う姿はあまりにも現実離れしすぎて、あだ名の一つである「悪魔」を授かったほどの男、私から見ても羨ましいと思います」

「しかも髪を結いたいとかなにそれ。いつだってどこだって俺のこと好きにしてくれていいのに!」

「面倒臭いからと放置していただけなのによかったですね」

「シルとお揃いの髪型にしたら供給過多で死ぬ」

「聞きたくありませんが、なにの」

「可愛さと嬉しさとその他諸々で死ぬ。短髪の反応は微妙だったし当分の間このままでいよう。結ってもらおう」

「楽しそうで何よりです。手、動かして下さい」

「つか恋とか愛とか解ってないシルやばくね? 純粋純潔すぎて俺いつか浄化されるんじゃ…」

「団長は欲望にまみれた方ですからね。浄化されても本望だからいいではありませんか」

「いいけど、浄化される前にシルの全てを堪能したい」

「次にお会いした時にはその欲望をきちんと隠しておくことをお勧めします」

「解ってたんだけど俺が色々教えてやりてぇよなぁ…」

「可哀想に…」

「いっそのこと国全体に洗脳魔法使ってシルを合法的に監禁して、俺が世話しないといけない状況にしたらいいのでは? 安心だし一緒にいられるし最高だな」

「洗脳魔法は禁忌魔法に分類されるものなのをお忘れですか? 何より洗脳魔法は発動するまで長期的な時間を有するではありませんか。無理です無駄です」

「楽で一瞬でできる魔法陣考えるしかねぇな」

「本当に止めて下さい。いくら王弟でも死罪になります」

「バレたらだろ」

「アティルナ公女に言います」

「言ったところでシルは逃がさねぇ」

「……。何故そこまで執着するのですか。今まで見向きもしなかったのに」

「お前に言う必要あるか?」

「っ…。聞きたいことはまだありますが…。申し訳ありません」

「シルと俺の秘密だから言えない。言えねぇけどとりあえず俺の一目惚れ。見た瞬間恋焦がれてしまった。まるで何年も何十年も想い続けた気持ちが不思議と湧き上がってくるんだ」

「はぁ…。その温度差でアティルナ公女と喧嘩しないことを願います」

「それは絶対だいじょう……いや…うん、そうだな、気を付けよう」

「もう思い当たる節があるんですか? 相手はまだ成人も迎えていない方ですよ」

「いいよなぁ14歳…。まだ何色にも染まっていない真っ白な存在…」

「変態と間違えられても私は否定しません」

「俺だけが染められる大事な大事な婚約者だ。仕方ねぇだろ」

「貴方が19歳という大人でなければ多少は可愛らしいと思いますが、今の団長は噂通り悪魔にしか見えませんね」

「俺のことを好きになってくれるなら何だってするさ。どうも俺の婚約者は心根が優しく、俺が少し悲し気な顔をしたりそういう重い雰囲気になると心が痛むらしい」

「解っているのでしたら…」

「それで俺のことしか考えられなくなるならそうする。シルの純粋な気持ちさえ使えるなら使う。それで少しでも俺と同じぐらい俺のことを愛してくれるなら、過程なんてどうだっていい」

「年下相手にそこまでやる必要ないかと思います。と言うか重すぎます」

「ああそれと、天使を堕落させるのは悪魔の役割らしいぞ。堕落させたあとは羽毟って逃げ出せないようにしとかないと…」

「はぁぁぁ…。ならばやはり貴方にピッタリのあだ名でしたね。こちらの書類もお願いします」

「だろ? そうだミリガン、頼みがある」

「何でしょう」

「買ってきてほしい小説がある」

「嫌がることは止めておいたほうが身のためですよ」

「線引きは大体解ってきたから大丈夫」

「すぐ超えてしまう役に立たない理性しか持ち合わせていないのに、大丈夫なわけないじゃないですか。前の時のような殺気なんて令嬢に対して以ての外ですからね」

「違う違う。これは俺を好きになってくれる為…いや、気になってもらう為に必要なものだ。幸い婚約者は純情だからやり易い」

「悪い大人ですね。恋愛初心者に大人の本気を使うなんて」

「いいからこの本買ってこい」

「はぁ…。明日にはご用意いたします。それと、盗聴もいい加減止めて下さい」

「会話を全部聞き取ることはできないし、小声とか寝息は聞こえないからいいだろ」

「全部でなくてもよくありません。何故全部じゃなかったら大丈夫みたいな言い方をするのですか」

「だってお前、全部の会話聞いたらただの変態じゃねぇか。シルだってプライベートはあるだろ? あと寝息まで聞こえたら我慢できねぇしこれでも結構な配慮はしている」

「盗聴されている時点で変態ですし何の配慮もされておりません」

いつも評価・ブクマ・いいね。ありがとうございます。

続きを書く励みにもなりますので、よかったら評価とブクマをお願いします。


こういった小話っぽいのはまた別でアップしたほうがいいかなぁと思いましたが、とりあえずいれてみました。

相変わらず物語りのテンポが遅すぎて申し訳ありませんが、とりあえず第一章の折り返しに入っています。

個人的にどうしても展開を踏んでから結ばれてほしいと思っているのでこんなに遅く…。

書きたいこともあるので進んでいないような関係ですがゆっくり進んでいます。私的には。

これからもお付き合いして頂けると幸いです。

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