表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇太子妃に返り咲き ~冤罪令嬢、謎のイケメンに溺愛されて大逆転~  作者: ひろの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/31

第28話 皇宮潜入

部屋の扉が勢いよく開く。

カイルが慌てて駆け込んできた。


「ユーリ、大変だ!?」


息を切らしながら叫ぶ。


でも――

部屋にいる男性を見て、足を止める。


「うぉっと……どちら様??」


黒い長髪の青年、

細身の体に特務官の制服を着込んだ

見覚えのない顔だ


「ふふふ、私よ」


青年が――

いや、セリナが微笑む。


「セリナか!?」


カイルの目が見開かれる。


「なんだ、お前。

 男装趣味にハマったのか?」


「カイル、お前の女装癖とは違う」


ユーリが割り込んだ。


「おいっ!俺のは女装癖じゃねぇーよ!」


カイルが叫ぶ。


「あれは任務だ、に・ん・む!」


「私も、に・ん・む!」


セリナが笑いながら言う。


「は?まさか……」


カイルが理解する。


「セリナも連れて、正面から特務官として入り込むのか?」


「そのまさかだが?」


ユーリが頷く。


「何か動きがあったのか?」


「あぁ」


カイルが真剣な顔になる。


「皇宮の女性近衛隊のレイシアに聞いたんだが」


カイルが続ける。


「あ、俺の序列20番目の彼女な?」


「お前に近衛隊の彼女なんていないだろう」


ユーリが呆れたように言う。


「メッセンジャーのID交換しただけで彼女とは言わんぞ?」


「そこ、わざわざツッコむ所じゃねーよ!」


カイルが不満そうに言う。


「それより大変なんだ」


カイルの表情が引き締まる。


「何が起きてる?」


ユーリが真剣な表情で聞いた。


「ベルナール公爵だ」


カイルが答える。


「奴がグレイヴ公爵に謀反の動きありと、朝敵にしようとしているんだ。

 かなりの捏造証拠が準備されているようだ。

 それとセリナについてもだ。

 今度こそ、二人を確実に冤罪で裁こうとしている」


カイルが急いで言う。


「そして今、奴らは陛下のもとに向かっている」


「なんだと!?」


ユーリの顔色が変わる。


「グレイヴ公爵の懸念通りか!?」


ユーリが拳を握る。


「何としても先回りして、こちらの証拠を陛下にお届けするぞ!」


「ああ、こっちはそのまま行けるぜ!」


カイルが頷く。

ユーリが真剣な表情のまま、セリナを見た。


「セリナ、このまま向かう。

 覚悟はいいか?」


セリナは――

迷わず頷く。


「はい!」


声が、力強い。

三人は部屋を飛び出す。

廊下を走り、ホテルの階段を駆け下りる。


外に出ると、帝都の街が広がっている。

高い建物の間を、人々が行き交う。


だが、三人の目には一つの建物しか見えていない。


皇宮。

帝都の中心に聳え立つ、巨大な宮殿。


白い壁。

金色の装飾。

帝国の象徴。


三人は走る。

人混みをかき分けて、息を切らしながら。


でも――

足を止めない。


(間に合え……!)


ユーリが心の中で叫ぶ。


(ベルナールより先に……!)


セリナも必死に走る。

包帯が胸を締め付ける。

少し、苦しい。


でも――

我慢できる。


(私のために戦ってくれる

 ――ユーリのために……!)


カイルが先頭を走る。


「こっちだ!近道を知ってる!」


路地に入って、狭い道を抜けていく。


やがて――

皇宮の門が見えてくる。


高い塀に囲まれ、厳重な警備が敷かれている。


「よし、ここからだ」


ユーリが立ち止まる。

そのまま深呼吸し、セリナも息を整えた。


「セリナ」


ユーリがセリナを見る。


「俺についてこい!

 何があっても、堂々としていろ」


「はい」


セリナが頷く。


でも――

手が少し震えている。


ユーリが、そっとセリナの手を握る。


「大丈夫だ、俺が守る」


ユーリが微笑む。

セリナの震えが止まった。


温かい。

ユーリの手が……。


「……ありがとう」


小さく呟いた。



カイルが笑いながら、二人を見る。


「おいおい、イチャイチャしてる場合じゃねーぞ!

 行くぞ!」


三人――

皇宮の門に向かって歩き出す。


ユーリとセリナが並んで、

そしてカイルがそれについてを歩く。


門の前には近衛兵が立っている。

レーザーライフルを持った屈強な兵士たち、

その視線が三人に向けられる。



「止まれ!」


近衛兵の一人が叫ぶ。


「身分を証明しろ!」


ユーリが――

堂々と前に出る。


端末を取り出し画面を見せる。


「特務官、ユーリだ」


ユーリの声が響く。


「皇帝陛下に謁見を申し出る」


近衛兵が、端末をスキャンする。


ピッ。


認証音。

近衛兵が、画面を確認する。


「……特務官ユーリ様、

 認証、確認完了致しました。

 どうぞお通り下さい」


じっと近衛兵の顔を観察していた

ユーリが内心で安堵する。


(こいつに演技臭さがなかったな。

 このIDが有効なのは罠じゃないのかもしれない)


「こちらは?」


近衛兵がセリナを見る。


セリナの心臓がドキドキする。


(バレる……?)


手がまた震える。


「私の部下だ」


ユーリがすぐに答える。


近衛兵が――

セリナをじっと見る。


長い……沈黙。


(お願い……!)


セリナが心の中で祈る。


(通して……!)


「……顔が若いな」


近衛兵が呟く。


「見ない顔だ」


「おい、ユーリ。

 陛下をお待たせしているが大丈夫か?」


後ろからカイルが不機嫌そうに話しかけた。


「仕方ないだろう。遅れたらこいつのせいだ」


ユーリが冷たい目で近衛兵を見た。


「あ……どうぞ、お通りください!」


近衛兵が敬礼して道を開ける。


(通った……!)


セリナが安堵する。

足が少しふらつく。


でも――

堂々と歩く。


三人は皇宮の門をくぐり、中に入った。


広い中庭。

美しい庭園。


そして――

その奥に巨大な宮殿。


「よし」


ユーリが小さく呟く。


「ここからが本番だ」


・ ・ ・


皇宮の中庭を抜け、宮殿に入ると

白い大理石の廊下が続いている。

天井には美しいシャンデリア、壁には歴代皇帝の肖像画が並ぶ。


ほぼ同時に皇宮に到着したユーリたちとベルナールたち。

別々のルートで神聖皇帝の執務室を目指す。



三人は急ぎ足で廊下を進むが、さすがに皇宮内を走るわけにはいかない。

廊下の角を曲がった時、ユーリが前方の別の廊下を進む人影を見つける。


太った男性、ベルナール公爵だ。

その隣には使用人たちが荷物を運んでいる。


「くそ、奴らの方が少し早いな」


カイルが悔しそうに言う。

警戒しながら進むユーリ達は宮殿内を遠回りしながら進んでいるからだ。


「大丈夫だ」


ユーリが答える。


「皇帝の執務室がある区画、"天上宮廷セレスティアル・コート"には

 ベルナールもそう簡単には入れない」


ユーリが続ける。


「皇帝直属の俺たちの方があの内部は詳しい。

 そこで追い抜けばいい」


「了解!」


カイルが頷く。


そして両者が進む。

ユーリたちは大回りする左の廊下を、

ベルナールたちは直進する右の廊下を。


やがて前方に豪華な扉が見えてきた。


金色に輝く巨大な扉、その上には神聖帝国の紋章、

セレスティアル・コートの入り口だ。


だがここで大誤算が生じる。


ベルナールはセレスティアル・コートの直前で

リュシアン皇太子と合流すると、

その入り口前にヴィオラを留めた。


「ヴィオラ、お前は陛下に謁見できる立場ではない」


ベルナール公爵が娘に言う。


「ここで待て」


ヴィオラが頷く。


「はい、父上。

 私はここで待っております」


ベルナール公爵とリュシアン皇太子はセレスティアル・コートの中に入っていった。


金色の扉が開き、二人の姿が消える。

扉が閉まる。


そんな時にユーリたちもセレスティアル・コートの入り口付近に到着した。


廊下の角から様子を窺う。


そこには――

金色のドレスを着たヴィオラが扉の前で

兵士達に守られながら立っている。


腕を組み、周囲を警戒している。


「ま、まずいぞ!」


カイルが小声で叫ぶ。


「ヴィオラがいる!」


セレスティアル・コートに入れるのはこの入り口だけだ。

ユーリが焦る。


賢いヴィオラのことだ。

ユーリがセレスティアル・コートに近づけばこちらの意図に気づくだろう。

そしてセリナの正体にすら気づくかもしれない。


そうなればややこしくなる。


「どうする!?」


カイルがユーリを見る。


ユーリも焦るが、良い手が思い浮かばない。


三人は廊下の角に隠れたまま、様子を窺う。

でもヴィオラは動かない。

しっかりと扉の前を守っている。


焦る一行。


だがその間にもベルナールたちはセレスティアル・コートを進み、

神聖皇帝カイゼルが待つ執務室へと近づいていった。


冤罪の偽証を携えて……。

キー人物である皇帝陛下への謁見時間勝負。まさかのヴィオラがあんなところに!?


ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ