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皇太子妃に返り咲き ~冤罪令嬢、謎のイケメンに溺愛されて大逆転~  作者: ひろの


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第25話 格の違い

取り囲んだレイディアント・クラウン・アルマーダが、

砲台をフェルナ号に向けた。


50隻分の黄金に輝く砲口――

その全てがこちらを狙っている。


「これまでか!?」


さすがのユーリさえも、敗北を覚悟した。

拳を強く握る。

セリナを守れない。


「くそ……!」


「待て、ユーリ!」


カイルが、叫ぶ。


「何かおかしいぞ!?」


レーダー画面を見る。


取り囲むレイディアント・クラウン・アルマーダの動きが、一斉に止まる。

砲台がフェルナ号から外れる。

何かに、気づいたように。


レーダーが、さらに大規模な熱源反応を感知した。

画面が赤く点滅する。


「新手が来る!」


カイルが複雑な表情で叫んだ。


「しかも、かなりの規模だぞ!?」


「なんだ?敵か?味方か?」


ユーリがレーダーを凝視する。


「どうなってる!?」


セリナも不安を感じてユーリに寄り添った。

震える手をユーリの腕に添える。


この場にいる、敵味方全てに緊張が走った。


静寂。


そして――

光。


一つ、また一つと、軍艦がFTLジャンプして現れる。


止めどなく――

まるで星が生まれるように光が弾け、

粒子が結合されて軍艦を形作る。


レイディアント本体の30隻を逆に取り囲むように

それは100隻を超えようとする大艦隊だ。


「待て……まだ来るぞ」


カイルがさらに驚いて叫んだ。


確かに先ほど現れた100隻とは別の熱源反応が、今度は背後に検出される。


フェルナ号を取り囲むレイディアント別動隊の20隻の背後に、

先ほどと同様、軍艦がFTLジャンプして現れた。


こちらも、100隻近い大艦隊だ。


「なんだ、こいつらは!?」


カイルが瞬きしながら現れた陣容を見つめていた。


「国家主力の第1艦隊か?」


「違うな……」


ユーリが不敵に笑った。


「奴らだ」


ユーリが現れた大艦隊の中でひときわ大きな軍船を見つめて呟く。

セリナとカイルも、そちらを見つめた。


真っ赤に塗りこまれた船体。

そして艦首に刻まれたマーク。


猫の頭蓋骨に、交差するカトラスと王冠。

海賊旗だ。


「赤毛猫海賊団……カタリナだ」

「カタリナさん!?」


ユーリが呟き、セリナが驚く。

二人の声が重なった。


それと同時に――

200隻の軍艦から、レーザー砲が一斉に撃ち込まれた。


ピシュン!ピシュン!ピシュン!


無数の光線が切り裂く。

漆黒の宇宙が太陽の光が溢れる朝になったかのようだった。


まるで、花火のフィナーレのような爆発が宇宙を照らす。

レイディアント・クラウン・アルマーダが次々と被弾する。

黄金の船体が炎に包まれた。


皇太子の大艦隊に対して、圧倒的な格の違いを見せつける。


赤毛猫海賊団――

銀河最強の海賊団。


いつの間にかフェルナ号を囲むように海賊船が割り込んで護衛する。

赤い船体が盾になる。

そう言う所も抜かりない。


「銀河最強の海賊団ってのも、伊達じゃねーな……」


カイルが目を輝かせながら呟いた。


次々とレイディアントの軍船が大破し、航行不能に陥っていく。


圧倒的な火力と完璧な統率――

海賊と呼ぶのは、相応しくない。


まるで、大国の正規軍のような強さだ。


その時、フェルナ号にカタリナから通信が接続される。

画面にカタリナの顔が映る。


赤い髪に猫耳、そして驚いた表情だ。


「あぁれ~?新婚のユーリとセリナじゃん」


カタリナが目を丸くする。


「なんであんたたちこんなところにいるのー!?」


第一声がそれ。


真面目に「新婚」と呼ばれて、ユーリとセリナが困惑する。

ユーリの顔が少し赤くなる。

セリナも頬を染める。


「なんでと言われても……」


ユーリが静かに答える。


「俺たちは逃げてたんだよ。

 助けに来てくれたんじゃないのか?」


「まぁーさかぁー!」


カタリナが大げさに驚く。


「偶然、ムカつく奴らがいたから

 蹴散らしただけなんだけど……」


カタリナがニヤリと笑う。


「まぁさぁかー、あんたたちがいるとはぁ!」


派手に偶然をアピールするカタリナの後ろで、ミネがぼそっと呟いた。


「滅茶苦茶急いで助けに来ました。

 カタリナ様は無茶言うんで大変でしたよ」


ミネが淡々と言う。


「感謝してくださいね。

 この人、こういう所カッコつけるんで」


今度はセリナが目を丸くする。


「あー、こらぁ!」


カタリナが慌てる。


「言うなよぉ!

 恩着せがましくなるじゃんかぁ!」


照れながら頭をかくカタリナ。

その姿にセリナは自然と笑みがこぼれた。

温かい気持ちになる。

カタリナの優しさが伝わってくる。


「あ……カタリナさん、ありがとうございます!」


セリナが笑顔で続けた。


「偶然、助かりましたぁ!」


カタリナがニヤリとする。


「ええ、偶然よ、偶然」


カタリナが手を振る。


「気にすることないから」


そして、すぐに真剣な顔になる。


「セリナ、あなたたちは、さっさと行きな。

 私たちはここから忙しいから」


「え?」


不思議そうにするセリナを無視してカタリナが叫んだ。


「よーし、モカぁ!

 こいつら、宝の山だぞー!」


そして目を輝かせ、号令をかけた。


「キラキラしてるから、すごいお宝積んでるよね!?

 よーし、総員、接弦して乗り込め!

 お宝を全部奪って、クルーはみんな

 脱出ポッドに詰め込んで捨てちまえ!」


ユーリが苦笑いする。


「こいつら、本当に俺たちを助けに来たんじゃなくて……」


そして呟いた。


「皇太子のお宝を、強奪しに来ただけかもな」


カイルも普段の調子が戻ったようだ。

陽気に叫ぶ。


「じゃあ、お言葉に甘えて、俺たちは先に行くかー!」


カタリナが急に振り返ってユーリに伝えた。


「あぁ、ユーリ」


カタリナが真剣な目で言った。


「この貸しはちゃんと返してね!」


そしてニヤリと笑う。


「そうだなぁ……

 あんたたちの結婚式に私も呼んで!

 それで、貸しはなしにしてあげる」


ユーリが盛大に噴き出して慌てて反論する。


「ば……馬鹿言うな!

 か、仮に結婚するにしても、

 お前を呼べるわけないだろうが!

 自分が海賊だってこと、忘れてないか!?」


セリナがその言葉に反応する。


(あ……ユーリと結婚……)


セリナの胸がドキドキする。


(ユーリは否定しないんだ……?)


セリナが意地悪な笑顔で叫んだ。


「はい、カタリナさぁん!

 絶対呼びます!!」


そして、少しだけ力を込めて続けた。


「来てくださいね!」


顔を真っ赤にしてユーリが反論する。


「おい、セリナ。何、言ってるんだ!」


ニコニコしているセリナに苦笑いするユーリ。


そして――

小声で呟いた。


「……叶うならな」


その声は切なそうだった。


すぐに真面目な顔に戻る。


「カイル、早く船を出せ!」


ユーリが叫ぶ。


「急ぐぞ。ここはカタリナに任せる」


「了解!」


カイルが操縦桿を握る。


「カタリナ、礼を言う」


ユーリがカタリナを見る。


「助かった!

 何かしらで、この恩は返す!」


ユーリの言葉に、カタリナはにっこり笑って通信を切断した。

画面が消える。


フェルナ号が高速で離脱する。

その背後では、200隻の海賊船とレイディアント・クラウン・アルマーダの白兵戦が始まろうとしていた。


赤い船体がたかるように、黄金の船体に接近する。


「カタリナさん、大丈夫でしょうか?」


心配そうなセリナにユーリが笑いながら答える。


「あいつらを倒せる奴らは、この帝国内にはいないかもな」


ユーリが自信を持って言う。


「絶対に、大丈夫だ」


「はい!」


セリナが明るく答える。


でも――

その胸には別の想いがあった。


(ユーリと……結婚……)


セリナの頬がまた赤くなる。


(……叶うなら、って……)


セリナがユーリを見る。

フェルナ号は、帝都へ向かって進んでいく。


星々が、流れていく。

もうすぐ――

帝都。


そして――

運命の、決戦。

赤毛猫海賊団の爽快な義賊感、そしてセリナの覚悟。

どれもが爽快で嬉しい気分になる回でした。


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