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借金まみれの貧乏令嬢は麗しの侯爵子息の幼馴染に愛されていました【連載版】  作者: サトウアラレ
3章

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※シルバーシャドウズ動く! 

「会長…。最近、パーラメント様の表情が暗いですよね?」


「ええ、副会長。原因は明らか。勇者ミランダ様がソレイユ王子殿下の学園の護衛にお付きになったからです」


「やはり。私の見間違いではないですか。パーラメント様の溜息の数も、普段よりも多いですよね?」


「はい。ここ三日、先週よりも明らかに増えています。目の下に隈も出来ています。夜も寝られてないのではないでしょうか」


シルバーシャドウズの会長、キャサリンは頷くと、手元の資料を確認した。


「あの噂も原因でしょうね」


「会長…。あの噂は本当ですか?」


「ただ今、ファンクラブメンバーも必死に噂が真実かどうかは調べてはいます、が、私の調べた所、ただの噂とも思えません」


「本当ですか?…ソレイユ王子殿下の婚約者候補に勇者ミランダ様があがっているという?」


「勇者ミランダ様はパーラメントとご婚約されて女伯爵になられる事も決まっています。あくまで、噂だと思いますが、この噂がなぜ出回ったのか。火のない所に、と言います。私は噂が出来た理由が知りたいのです」


「確かに…」


キャサリンと、副会長のエリーが話しをしていると、とシルバーシャドウズの会員達がぞくぞくと集まってきた。


「そろそろ、定期会議の時間ですね」


エリーが時計を確認し、参加者の出欠を取り出した。


「そうね、時間前でも、皆が集まれば始めましょうか」


「はい、会長。全員揃いました。会議を始めましょう」


「ええ。今回も欠席者はゼロ。皆さん、お忙しい中、ノア・パーラメント様を愛するこのファンクラブ、シルバーシャドウズの定期会議に参加頂き、有難うございます」


私が礼をすると、皆も一斉に礼をした。


「今回の議題は、最近のパーラメント様の憂いについてです。では、皆さん、お願い致します」


「はい、では、私から。ファンクラブナンバー、四。図書館前にて聞いた噂話です。二学年の女子三名が、『勇者様が護衛に選ばれたのを根に持っている人がいる』『知ってる、騎士科の人達が睨んでいるのを見た』『野蛮ね。嫌だわ』『勇者様の悪口を言っていたわ』と言っておりました。調べてみると実際、騎士科の数名の生徒が勇者ミランダ様に『実力もないくせに』『女だから選ばれた』『物珍しいだけなくせに勘違い女』『調子にのってる嫌な奴』と、悪口を言っているとの事。こちら具体的な文言と、時間、暴言を吐いた生徒の容姿、学年です。今後も注意深く調べておきます」


「まあ!」


「なんて酷い!」


「そんな人達だから護衛を任せられないのよ」


メンバーが眉間に皺を寄せていた。


「是非、宜しくお願いします。騎士科に伝手をお持ちの方は?」


「はい、私の兄が三年におります」


「私の婚約者が一年に在籍しております」


会長がそう言うと、二名手を挙げ、発表者の方を向いて頷いた。


「では、協力を宜しくお願い致します。何か緊急性があればすぐにメンバーに連絡を。では、次の方」


「はい、ファンクラブナンバー、七。皆様ご存じの通り、最近、パーラメント様は忙しく、勇者ミランダ様にお会い出来ておりません。そのせいで顔色も優れず、食事も抜きがちになっておられるようです」


「大変だわ…」


「心配ね」


「恋の病は深刻ですもの」


「はい。で、私、偶々、図書館にて、パーラメント様がノートの端にミランダ様への愛を綴られているのを見てしまいました。そこで、忙しいパーラメント様に代わり、私達が勇者ミランダ様へノア様の手紙を届けると言うのはどうでしょうか?まだ、パーラメント様には聞いておりませんが。ミランダ様は護衛の任務に就いておりますが、手紙を受け取る位であれば、ソレイユ殿下も許してくれるのではないでしょうか?学園長先生にミランダ様の護衛に付いて質問しに行きました。学園長先生はあくまで、ミランダ様は護衛補佐、のような役割と聞きました」


「まあ!」


「よいのではなくって?」


「パーラメント様と勇者様の愛のラブレター!」


「素敵だわ!」


「ふむ。とても良い案ですね。パーラメント様は、今、婚約者の立場として、ミランダ様の護衛任務を邪魔しないように距離を置かれていると思います。なんとも健気ではありませんか。ここは私達が力になりましょう!皆さんどう思いますか?私も、副会長もパーラメント様の健康の心配をしておりました。賛成の方は挙手を。全員賛成ですね。では、パーラメント様に早急に確認を致しましょう。せっかくです、ミランダ様のファンクラブ、アメジストグロウズとの連携もとる事に致しましょう。人数は多い方が良いでしょう」


「有難うございます」


「では、次の方」


会長が皆を見回して次々と今週あった事、思った事、改善案などを出していく。


そして最後の一人の発表になった。


「ファンクラブナンバー、二十三。あ、あの。これは本当につい先ほど、学園長室前で偶然聞いた事なんですが…。ソレイユ王子殿下の帰国に合わせて、殿下がミランダ様にソレイユ国に来てくれるように国王陛下に打診をしているそうです」


「な、なんですって!!」


「ま、まさか!」


「偶然、私が学園長室を通りかかると、数学の教授が学園長室に入りまして、そのドアの隙間から声が聞こえたのです。学園長は魔道具を使い、どなたかと会話をしていました。その時に確かに『いや、リンツ君をソレイユ国に?殿下の帰国に合わせて?』と言われていました。すぐに扉は閉まったので、その部分だけしか聞こえませんでしたが」


「不味いわ…」


「ええ、不味いですわ…」


「今、現在、パーラメント様がやつれていらっしゃるのに、勇者ミランダ様がソレイユ国に行く、なんて噂が耳に入ったら…それに、殿下とミランダ様との婚約者の噂もあります。ひょっとしてこの件で婚約者の話になったのでは…」


「「「「「‥‥‥」」」」


皆が目を合わす。


「皆様、パーラメント様はお美しい。優しく賢く、品もある。そして、海よりも深く、空よりも広い愛でミランダ様を包もうとしています。が、もし、もしですよ?パーラメント様が暴走されたら…」


「国際問題に…」


「魔王様になられるのでは?」


「パーラメント様が闇落ち?」


「そ、そんなまさか…」


「「「「………」」」」


「あり得ます」


一人がそう言うと、ファンクラブ全員が頷いた。


「コレはファンクラブの危機と言うよりも、国の一大事です。勇者ミランダ様がソレイユ国に行かれる可能性を皆様はどう思いますか?」


会長が質問を皆に投げると一人がおずおずと手を挙げた。


「私は可能性はあると思いますわ。ソレイユ王子殿下はこちらに短期留学されていらっしゃいますわ。私の姉の代にもソレイユ国から短期留学生の王族の方がいらっしゃったと聞きましたの。その時、交換留学生として、我が国からもソレイユ国に留学する者がいたと言っておりました。留学生という形で、ミランダ様を呼ぶ可能性は大いにあります」


「まあ!」


「確かに!」


「成程。可能性はありますね。勇者ミランダ様は成績も優秀。交換留学生に選ばれてもなんら不思議はありません」


会長がそう言うと皆が頷いた。


「ピンチですわ」


「大ピンチですわ」


「最大の危機というやつですわ」


「会長!」


会長は目を瞑ると、ゆっくりと開いた。


「皆の力を合わせましょう、パーラメント様はヤンデレの素質を持つお方。危険です。皆さんはどう思われますか?」


会長が皆に問いかけると、皆は顔を見合わせそれぞれ口を開いていった。


「ファンクラブ会報の創作で闇落ちをしたパーラメント様の物語。素敵な話でしたが、あくまで創作だったから楽しめたこと」


「そうですね、イラストでも、悲しみに浸る絵も素敵でしたが、あくまで、創作だから、素敵と思ったのですわ。現実に悲しまれてる姿は辛いです」


「皆様。学園は無事では済まないでしょう。もしかするとソレイユ国と我が国の戦争になるかもしれません」


それを聞いたファンクラブ一同はだれも「そんな大げさな」と言う者はいなかった。会長はゆっくり息を吸うと、考えを纏めて話し出した。


「皆様もミランダ様がソレイユ殿下の婚約者に、という噂話は聞いた事があるでしょう?今回の話と繋がって来そうですね。ここは、シルバーシャドウズの出番です。いち早く、パーラメント様の憂いを払いましょう。そして、学園の平和を、我が国の平和を、私達の心の平穏を取り戻すのです!」


「「「「「はい」」」」


皆は力強く頷くとそれぞれの役割を確認し、定例会議は終了となった。


残ったキャサリンとエリーはすぐに情報を集めるべく、ミランダの友人、アイリーンに連絡を取る事にしたのだった。



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