番外編・草薙の剣②
天武天皇の死によって草薙の剣の祟りはやはりあると恐れられ、熱田神宮の本物も天皇の御所のレプリカも見るなよ絶対見るなよと戒められるようになった。
ところがここで、フリに負けて剣を直に見ようとした天皇がいた。あのヤンチャな陽成天皇である。彼は剣を納めた御寝所に忍び込み、鞘から剣を抜いた。すると草薙の剣はまるで電光のようにピカピカと光ったため驚いて陽成天皇は手を放し、そのまま逃げだしたという。
非常に眉唾な話ではある。この話をいったい誰が伝えたのか。その様子を見ていた人間がいるとも思えないので、やはり陽成上皇が過去のヤンチャを自慢話として語ったのだろうか。ただの陽成上皇のホラ話と受け取った方がいいかもしれない。
さて、時は下り、草薙の剣は平氏が都落ちをする際に京から持ち出された。そのため次の後鳥羽天皇は神器無しで即位した。
やがて壇ノ浦で平氏の命運がつきたとき、平時子は思い余って安徳天皇を抱き、草薙の剣を携えて入水した。源氏武者がそれを取り戻そうとしたが見つからず、近所の海女を雇って探させたがとうとう見つからなかった。
仕方なく次の土御門天皇は代わりの剣を用いて即位の礼を行った。だが後鳥羽上皇は、いつまでも無いままにはしておけないと考え、平氏の都落ちの少し前に伊勢神宮から後白河法皇に献上された剣をNew草薙の剣と見做すことにし、次の順徳天皇はこの剣で即位の礼を行った。
後鳥羽上皇はその後も草薙の剣の捜索を継続させたが残念ながら見つかることはなかった。
ただ、安徳天皇は草薙の剣と共に阿波国に流れ着き、神社に剣を奉納するとその土地に隠れ住んだという伝説も残っている。尤も安徳天皇の生存伝説は全国各地に残っており信憑性は薄い。




