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第34話 追撃

「あの、道に迷ってしまって……王室の人たちが住んでいるところまで案内してくれますか?」


「ここは王国の特別管理区域、侵入者を射殺する権限が我々にはある。

武器を捨て投稿しろ」


近衛部隊は先ほどの雑兵とは異なり、鋭い視線でエリスを睨みつける。流石に色仕掛けは通用しそうにない。


「構え!」


騎上の指揮官の号令に合わせ、歩兵達も一斉に銃口を彼女に向ける。


「特別管理区域?やっぱり姫様のいる場所じゃない。律儀に教えてくれてありがとう」


「あとは貴方達が道さえ譲っていただければすぐにマリーさんのところに迎えるわ」


「なにブツブツと呟いているんだ!!手を頭につけて跪け!」


痺れを切らした指揮官が引き金に指をかける。


「今回はお出迎えは少々乱暴ですね、相応の対応をしなくては」


そう呟くとエリスは手を掲げ、空に数百メートルはあろう巨大な紫色の魔法陣が浮かび上がる。


「なんだこれは!?」


敵兵達がそう呟くのと同時に、魔法陣は霧散しどす黒い霧雨を生み出した。先ほど兵達を狂乱状態にした薬剤が頭上から彼らに降り注ぐ。


「これ以上待てない、撃ち方はじめ!」


『バン!』


騎上の掛け声がかかった直後に彼は地面に倒れこんだ。その後ろには目の輝きを失った兵士達が隊長の肉体に何発も鉛の塊を打ち込んでいる。


「それじゃ、あとは皆さんで楽しんでね」


声にならない叫びと銃声が庭園に響き渡る。味方同士で屠あうその様子はさながら地獄の様相を呈していた。友軍に無残にも引き裂かれた近衛兵達の亡骸の横でエリスは涼しい顔をして笑っていた。


「さっきと同じ質問をするわ。王室の人が住んでる場所を教えてちょうだい、教えてくれれば私たちの用事は終わり。もう何もしないわ」


多数の屍の中でまだかろうじて息のある兵の元に屈み込んで彼女はつぶやいた。味方同士の悲惨な銃撃戦で、もはや戦意を完全に失った兵士は息も絶え絶えに居場所を吐いた。


「ちゅ、中央に見える塔の最上階だ。お前たちは自分が何をしようとしているのかわかって……」


言い終わる前に意識を失った。もはやこの場に立っているのはエリスとブレッドの二人だけだ。


「これで障害物はなくなったわ、さあ少佐をお呼びしましょう!」


「そうだな。あとは少佐に言われた頼みごともしなくちゃならん」


そう言うとブレッドは自らのゲームフォルダーから巨大な鉄塔とパラボラアンテナを取り出し、庭園に敷設を始めた。王国の端まで通信できる広域通信施設わずか数分で完成させる。今後、国中に散らばった艦隊の仲間や姫に味方する軍勢に呼びかけるのに必要な作戦の要だ。




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