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下位感  作者: 凛宴
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これが日常。

「ケータイなくしてしまったので、探すの手伝って下さい」

約2時間の苦痛な授業に耐え忍び、やっと昼休みだと気を抜いたのも束の間、僕の幼馴染、竜崎花蓮は教室のドアを荒々しく開けそんなことを大声で言い放ったのである。全くいい迷惑だ、僕が今机の上に出している彩り重視の弁当が目に入らぬか。

というか何故敬語なのにそこまで威圧的なオーラを醸し出してるの?僕狩られるの?それだけはご勘弁願いたいので僕はやんわりと断ることにした。

「嫌ざんす」

「問答無用」

デスヨネー。こいつの性格はよく知ってるはずなのだが、ついつい反抗してしまう。高校二年生にもなって反抗期なのかな僕は。

いや、そういうわけでは無く、悪いのは全部花蓮である。

こいつが何か物を無くすのは日常茶飯事であり、僕だけなら疎か、周りの人までもこうして散々巻き込まれてきたのである。これは幼少期から全く変わっていない。これが週五くらいのペースで続いてみろ。そりゃあ巻き込まれる側としては反抗もしたくなるってものだ。

周りの人も今日のようなことがあった場合は完全に無視を決め込むようにしている。

これは、もう私たちでは手に負えないから幼馴染であるお前が何とかしろという暗黙のルールである。まぁ、さっきはそのルールを無視して断ろうとしたわけだが。どちらにせよもう手遅れだ。

「ほら、早く行きますよ」

だって既にガッチリと襟を掴まれてるからな。

何が、早く行きますよ(ニッコリ♡)だよ。可愛くないよ、鬼だよこの人。僕の昼飯事情を全く考えてないよ。というか、花蓮は昼を済ましたのだろうか。まだ昼休みが始まって5分も経っていないが。

「お前飯は」

「食べました」

早いよ。そこまでして僕のランチを邪魔したかったのかこいつは。

「まだ5分も経ってないんだぞお前...。絶対マトモなもん食ってないだろ」

「ガムです」

....もう僕はつっこまない。

「で、どこでケータイ落としたかは検討ついてるのか?」

「私のクラスは1限目と3限目が移動授業だったのでその時に落としたのではないかと」

「お願いだからケータイやら財布やらは鞄に入れてくれ。お前ポケットとかに入れておいたら落とすの目に見えてんだからさ....あとそろそろ襟から手を離せ」

「いえ、教科書やノートとまとめて持ち運んでたものですから。それと手は現地に着くまで離しません」

「落とすに決まってるだろそんなの.....それと何で離してくれないんですかね」

「移動の前にメールしてたもので。そのまま教科書に乗っけてしまったんですよ。それと離さない理由としては、離したら悠理は間違いなく逃げるから、離したら私のケータイが見つからないから、離したら私はケータイをなくしてこんなにも傷心中なのに、悠理はのうのうと昼食を取りにいくであろうことが腹立たしいから。以上ですが何か質問、いえ、文句は?」

横暴だ。男だったら間違いなく殴ってるよこいつ。

「...で、授業ではどこに移動したわけ」

「家庭科室と体育館ですね」

「じゃあとっとと現地に行こうぜ...いい加減この姿晒し続けるのも恥ずかしい」

「またまた、喜んでるのは分かってますからいいですよそういうのは」

「喜んでねぇーよ!」

クソ、つい裏声になってしまったじゃないか。結果的に更に恥を晒し注目されてしまうこととなった。

昼飯も食えないわ、他人の探し物で昼休みが消えることになるわ、服乱れるわ、あそこの下級生の女子たちはゴミを見るような目をむけてくるわ...。もう散々である。間違いなく被害者は僕なのに世の中理不尽だ...。

「とりあえず最初は体育館から探しましょうか」

だからそのニッコリ♡をやめろって。

側から見て可愛く写ってても、今の僕には鬼が薄ら笑いを浮かべてるようにしか見えないからさ。

「何ですか、さっきから不満たらたらな顔ですね。失礼なこと考えてませんかねその顔」

「何故バレ、いや、してないし考えてもないさ」

「何年の付き合いだと思ってるんです。貴方の考えてることくらいすぐに分かります」

「言ってみろ」

「だからそのニッコリ♡をやめろって。側から見て可愛く写ってても、今の僕には鬼が薄ら笑いを浮かべてるようにしか見えないからさ、でしょうか」

「何で一字一句逃さず考えてたことが分かる!?」

「何年の付き合いだと」

「分かった、もういい」

たまらず花蓮の話を遮る。

訂正しよう。この人は鬼なんかではない。超能力者、もしくは人以外の何かである。

本当に怖いよこの超能力者。鳥肌立ったわ。

「この人は鬼なんかでは」

「僕が悪かった。謝ろう」

女の子に引きずられながらこんなトークをしている僕の神経にも謝りたいところだったが、そろそろ体育館に着く。僕への謝罪は後でじっくり行うとしよう。あとお願いだから先に飯食わせて。

「さぁ、隅々まで探しますよ」

今の心の声こそ一字一句逃さず読むとこだろ、おい。まぁ、こいつのことだから、読めてたとしても完全に無視して探し始めるだろうが。

「...しゃーないなもう」

止む無く花蓮と二人でケータイを探し始めるのであった。

何やら告白の真っ最中だったと思われる現場が、体育館倉庫で展開されていたが気にしている余裕もなかった。ただこれだけは言わせてほしい。

お邪魔をしてしまい本当に申し訳なかったと。


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