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希望の光  作者: 文月 夏
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希望の光

彼は私に気づかってか、ゆっくりと歩いてくれていた。

自分が今、どの辺りにいるのか分からないけれど、恐らく、病院の方に歩いていっているのだと思う。

私の片思いだと思っていたが、彼も私のことが好きだと告白されとても嬉しく心がとても温かくなっている様に感じる。


でもその嬉しい思いと共に、このまま私が一緒にいて彼を不幸にしたり、負担をかけたりしてしまうことが多くあるのでは無いかという心配もふつふつと私の中にわき起こってきた。

さっきまで集まっていた熱がどんどんながれて出ていくような気がした。


「真理、何考えてる?」


心の中で色々と思っていることが表情に出ていたのか、私の顔を見ながら彼が話しかけてきた。


「いえ、何も考えてません。」

「そうかな、なんか少し落ち込んでるような気がするんだけど。」


彼にそのように言われ私の心臓がぴくっとはねた。


「俺、真理にペンダントプレゼントしただろ。」


私は黙ってうなずいた。


「そのペンダントは防魔石っていう鉱石を削って作った物なんだ。防魔石は、魔力を蓄える性質がある。それで、そのたまった魔力は自分の意思で自由に使うこともできるし、魔力が多くたまっている時は、持ち主を守るお守りになるんだ。」


このペンダントは、ただのアクセサリーではないということが分かった。

でも、これを身につけることと、私の考えが分かることと、どういう関係があるのか分からずにいた。


「何か困惑してるみたいだね。さっきの説明だとどうして自分の意思気持ちが分かるのか不思議って言う感じかな。」


私は彼のことが言葉に少し肩を揺らして、彼の目に視線を合わせた。


「その石は、お守りとして魔力を蓄える以外にも性質があってね。持ち主の体調や状態を表すんだ。」

「持ち主の状態・・・。」

「そう、例えば真理が落ち込んだり、体調を崩したりすると、そのペンダントはその間少しくすむんだ。」


彼にそう言われ私は胸元のペンダントを指で持ちながら眺めた。

彼がお守りにとくれたペンダントには色々な効果があった。

だから、彼は私が落ち込んでいるとすぐに気がついたんだと思う。


「やっぱりさ、真理には笑ってて欲しいから。それがあれば真理に何かあったり、もし落ち込んでたりしたら、すぐ気がついて慰められるかなって、思ってさ。」


そう言う彼は私とは目を合わせず、ただ、前を向いて静かに歩いていた。

でも、その頬が少しだけ赤くなっているのが見え、私も恥ずかしくなった。


「そういえば、どうしてレオさんはあんな町外れにいたんですか。お仕事ですか。」


私は早口でそう言うと彼をちらりと見上げた。


「それなんだけど、俺も実際の所よく分からない。何か強い力に引っ張られて急に転移したんだ。そしたら、男が真理の上に乗っかってるのが見えて、上にいた男を魔力をぶつけて吹き飛ばしたんだ。」

「じゃあやっぱり、これのおかげですね。」


私がそういいながらペンダントを軽く持ち上げそれを見つめた。


「うーん、もちろん可能性はあるんだけど、そのペンダントに人一人を転移させる位の魔力は貯らないはずなんだ。それに、そのペンダントがが自発的に転移の魔法を発動させるって言うのも変だしな・・・。だけど、真理がピンチの時に真理の近くに転位したからやっぱりそのペンダントが関係しているんだと思うけど。」


「・・・そうなんですか。」


ペンダントを取られそうになった時に彼のことを強く考えていたから、恐らく私が彼のことをここまで呼んでしまったんだと思う。

そして彼に危ない所を救われ、今、私は彼に運ばれて病院に向かっている。

今に始まったことでは無いかもしれないけど、私は彼の邪魔ばかりしている気がする。

目の奥がなんだか熱い。


「あの、何だかすみません。」

「え?なにが。」

「私のせいで、仕事中なのにこうして時間を使わせてしまって。それに、あの時、ペンダントを握ってレオさんのこと考えていたので、それのせいもあるかもしれないから・・・。お屋敷で、仕事なさってたはずなのに、ごめんなさい・・・。」


私がそう言うと、不意に彼の歩みが止まった。

なぜだろうと、彼の顔を見上げると、真剣な眼差しが私の視線とぶつかった。


「真理・・・。」


私の名前を呼ぶと、彼はそのままゆっくりと顔を近づけてきた。

彼の瞳に魅せられたかのように私は動くことができない私は、そのまま彼を受け入れた。

しばらくして、彼は顔を離すと真剣な表情のまま口を開いた。


「・・・俺は、真理が俺の事を頼ってくれるのがとても嬉しいよ。だから、そんな風に言わないで。俺にもっと甘えてよ。」

「・・・っ。はい、レオさん・・・。」


私は、彼の言葉にうなずいた。

とても甘く、温かかく、私の目から幸せが溢れ頬を濡らした。

そんな私を見て彼は優しく微笑んでいた。

絶望しか見えなかった私に、とても暖かな希望の光が見える気がした。

ここまで読んでくれた皆様ありがとうございました。

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