次の日の朝
私ははっとして目を覚ました。
もう何度見たか分からない悪夢のせいで目が覚めてしまった。
痛む頭を押さえながら、ゆっくり私は起き上がると壁をつたってゆっくりと台所へと向かうと私は昨夜、彼の言っていたように二人分のお弁当を作るために料理を始めた。
食材は今日の夕ご飯用に用意してあった物も使えば問題無くそれなりに豪華な物が作れそうだったし、お弁当箱も私の身の回りの物を買ってもらっている時、なぜか彼が買っていたのでいつも使っている物と併せて二つあるので問題はない。
これが最後の仕事だから悔いを残さないように、彼が少しでも喜んでくれるようにと、いつもよりも心を込めて料理を作り、お弁当箱に詰めていた。
彼が笑ってくれれば私はとても嬉しいと思う。
たとえ、それが私に向けられたものでは無いとしても・・・。
彼と過ごした日々は今の私にとってとてもすてきな時間だと思う。
もう、手遅れなのかもしれないけど、この思い出が苦しい物に変わってしまう前に、私はここを離れよう。
もうこれ以上悲しい思い出を作りたくない。
そのようなことを考えながら、まだ朝日が昇りきっていない薄暗いキッチンで私は黙々と作業を続けていた。
「ふう、できた。」
私はできあがったお弁当二つを眺めてそう呟くとお弁当を脇に寄せ、朝食を作るために再び料理を再開した。
しばらくして朝食を作り終えテーブルに朝食を並べているとキッチンのドアが開いた。
「おはよう真理。」
そう言いうと彼はいつもの様に席に着いた。
「おはようございますレオさん。すぐに朝食を準備しますから少し待ってくださいね。」
そう答え、朝食を並べ終えると私も席に着き二人で朝食を取り始めた。
「あの、お弁当ですが二人分作っておきましたよ。」
「ありがとう、真理。急にお弁当二人分も頼んでごめんね。正直、急に言われても無理って言われると思ってたから。でもさすが真理だね、こうして本当に作ってくれるから。」
「たいしたことではないですよ。たまたま、食材などが十分あっただけですから。」
素っ気なく答えながらも、彼にそう言われて私は少し嬉しく思った。
「真理、昨日はあの後よく眠れた?」
「・・・はい、しっかり眠れてますよ。レオさんの入れてくれたカモミールティーのおかげかもしれません。」
「そっか、それなら良かったよ。」
本当は悪夢のせいでしっかりと眠れてはいない。
彼にそのことを伝えて甘えたい、もっと一緒に過ごしたい。
そんな自分の心にある暗い気持ちを必死に隠し、私は朝食を終えると、少し寂しい気持ちになりながらも笑顔をつくりお弁当を二つ彼に手渡した。
「ありがとう。」
彼は微笑みながらそう答え、お弁当を受け取り鞄に丁寧にしまうと、いつもの様に玄関に向かい、私も見送りをするために玄関へと向かった。
「行ってらっしゃい。気をつけてくださいね。」
これでもう終わりなんだという、悲しい気持ちを悟られぬように、いつもと同じ様な笑顔で私はそう言うと頭を下げた。
いつもなら「いってきます」と彼は言うと歩いて出かけていく。
でも今日はいつもと違い何も言わずにその場にに立っていた。
何も言わず動かない彼を不思議に思い、私が頭を上げると、彼は一歩私に近づき手を差し出してきた。
彼の行動がよく分からず、私は彼のことをまじまじと見つめ、その場で固まっていた。




