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希望の光  作者: 文月 夏
13/21

偶然

真っ暗で何も無いただ孤独が支配している悪夢の世界、私は声にならない悲鳴を上げ目を覚まし飛び起きた。

ここ最近見ていなかったいつもの悪夢だった。

時間を確認するとまだ真夜中でほとんど寝ずに目を覚ました様だった。

久しぶりに悪夢を見たせいか私は目が覚めてもまだ孤独感に押しつぶされそうになっていた。

私は無意識にペンダントへと手を伸ばし、すがるようにして握りしめ心が落ち着くのをまった。


しばらくそうしていると寂しさで痛む心が段々と落ち着きはじめ、私は無意識に握りしめていたペンダントに視線を落とした。

彼がお守りと言って渡してくれたこのペンダントは、彼の代わりに私のことを支えてくれていた気がする。

気のせいかもしれないがこのペンダントをもらってから悪夢を見なくなり、日々の生活が美しく彩られている様なそんな幸せな感情が芽生え始めていた。


でも、それは少し違ったのかもしれないと私は思った。

このペンダントを持つことで私の気持ちが軽くなっていたのは、片思いの相手がプレゼントをくれたおかげで、気持ちが舞い上がり勝手に幸せな気持ちになり私の暗い心がごまかされていたからだと思う。

その時はまだ、彼のことを好きだとはきちんと認識していなかったけれど、きっと心の奥底ではもう彼に惹かれ知らず知らずの内に恋という名の魔法にかかっていたのだと思う。


でも、昨日の出来事で私にかけられていた魔法は解けてしまい、現実に引き戻された私は、また心を大きく乱してしまったようだった。

その結果としてペンダントの精神安定効果は弱くなり前の状態に戻ってしまったのだと私は思った。


私はあまり心が強い方ではなく、ふとしたことで落ち込みそれが原因でさらに失敗を重ねてしまい、いつも周りに迷惑をかけていた。

そこにいるだけで周りの人を不幸にさせてしまっている私はいったい何のために生きているのだろうか。

そんな思いが自分の中をぐるぐると駆け回っていた。


「私は、ここにいるべきじゃ無い・・・。」


気がつけば私はまるで自分に言い聞かせるように小さな声でそのようなことを言っていた。

ここにいると彼の迷惑にしかならない。

彼に迷惑をかけたくない。

彼には嫌われたくない。

そんな気持ちが私の中に宿っていった。

そして私は、ゆっくり立ち上がると体をふらつかせながら扉に向かうとゆっくりと開いて廊下に出た。


「あれ、真理?」

「え?」


不意に名前を呼ばれ、そちらに振り向くと彼が驚いた様にこちらを見ていた。

そして、ゆっくりと私の方に向かって歩いてきた。

私は、彼に名前を呼ばれ彼の姿を見ると魔法にかかったようにその場から動けなくなった。


「こんな夜中にどうしたの、何かあった?」


私の前までやってきた彼は心配そうに尋ねた。


「あの・・・ちょっと目が覚めてしまって・・・何か飲もうかなと思ったんです・・・。」


ただ何も考えずに、この家を出て行こうとしていただけだったため、言い訳など考えておらず、私は彼の言葉にとっさに答えたが彼はなんだかすっきりしないといった表情で私を見ていた。

心配そうに私を見つめる彼にそれ以上なんと答えたら良いのか分からずうつむいてしまい、彼との間に少しの沈黙が続いた。


「ねえ真理、俺と少し話をしない。」


少しして、彼が優しい口調で私に問いかけてきた。

彼の言葉に私が驚いて顔を上げると、「だめかな」と柔らかく微笑みながら私に問いかけてきた。

私は無意識のうちに「だめじゃ無いです・・・。」と答えていた。


「ありがとう、それじゃあ台所の方までいこう。真理なんか飲むんでしょ。」

「はい・・・。」


私が返事をすると彼は先に台所の方にむかっていった。


「私、何してるんだろう。」


私はそう小さく呟くと彼に続いてゆっくりと暗い廊下を進んで行った。

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