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どんなに贖罪をしようとも、傷は消えない。
体には傷は残っていなくても、心に傷は残り続ける。
そんな傷をつけた私が密季のことを好きだなんて……ダメだ。
私みたいな人間が密季のことを好きになったこと、そしてこの罪の意識を好きになってハッキリと認識した。
きっと、私が復讐に囚われず前に進めていれば……。
「私が暴力さえ振るわなければ、純粋にあなたを好きでいれたのに」
そんな後悔と罪悪感がいっぺんに私の中を赤黒く塗りつぶしていく。
あの日、あの瞬間から毎日ダイジェストのように時間を過ごしている。
CPUに私の体を操作させているみたいに、オートで消化するような夏休み。
ただそんな中でも由希と香織の2人と遊んだ時と、密季と遊んだ時はマニュアルで過ごす。
由希達と遊ぶ時は楽しい思い出が残り。
密季と遊んだ時は楽しいと思う中で、楽しんでいる自分への嫌気が残る。
好きだけど、好きでいてはいけない。
首を絞めておいて何を考えてるんだと、密季といる時は自分を責める。
そんな自分の感情から逃げるようにスマホを眺めた。
スタミナの回復待ち代わりにSNSを覗いていたら、とある記事が表示される。
誘拐被害者の特集だった。
かつて起きた誘拐事件の被害者である少女が、巻き込まれた経緯や待遇などを話した様子がインタビュー形式で載っていた。
どういう行動まで許可されていたか、何が禁止だったか。
被害者はそれらを明確に記憶していて、細かく記事にまとめられている。
そして目に止まったのは
『犯人のことを想う』
という見出しの記事。
その記事を見て、とあることを思い出した。
テレビでたまに取り上げられる心の病気。
「あー……そういうこと……」
それが私の中の罪を確定させる決定的なものであり、やはり彼女と一緒にいるわけにはいかないという自罰を課す理由となった。
抑圧された心が生む歪みの反発。
心的、身体的拘束をした誘拐犯を好意的に見てしまう心理現象。
それを明確に理解した。
そんな中、画面上部にメッセージが届く
『テーマパーク行きませんか? 学割とペア割りで安く行けるそうなんです』
密季からのメッセージが私の視界に入り込む。
『いいよ』
そう返答して枕に頭を埋める。
何度も何度もメッセージアプリを開いて、以前から交わしている淡白なやり取りを眺める。
メッセージのやり取りだけを眺めて、密季はこの返信をどんな気持ちで見ているのかな。
喜んでいたりするのかな。
なんて考えてしまう。
ただその後に背骨から寒気が走る。
嬉しくなってる自分を罰しなければいけない。
そんな資格はない。彼女を解放するべき。
密季とやりとりをしていることに心を温め、その後で自分の罪の意識を呼び起こして心を引っ掻いた。
「テーマパークに行ったら夏休み……終わるなぁ」
せめてあのテーマパークに行くまでは幸せな気分でもいいんじゃないかな。
誰と話すわけでもなくそうやって許しを求める。
勝手に人を傷つけ、勝手に罪を抱えて、勝手に罰を背負って、勝手に許しを求める。
「……本当に私、自分勝手だ」
好きでいてはいけない。好きではない。
そうやって否定する気持ちが私の中の感情を明確に形作っていく。




