第103話 「白竜ミステール」
街へ戻る途中、必ず通る荒れ地まで、セロンとあっくんは来ていた。汚泥の沼があった所は、キラキラと光る粒が含まれた土に戻っている。遠くの方にも大きな汚泥の沼があり、作業員達が何人も見えた。街から排管を伝って流れていた汚泥は、先程起きた爆発で、地下に全て流れ落ちたのか、既に止まっていた。
ここは、ミステールがよく分からない作業をしている場所だった。そして、ミステールがいつもの場所に居た。だけど、様子がおかしかった。
今まで厚い布を着こんで、全身を覆っていたミステールが、今は、服装が乱れ、汚泥まみれで倒れていたのである。その近くには、作業員らしき人が一人いて、ミステールにベタベタと触っていた。
セロンは、衝撃を受けて、慌てた様子で近づいた。
「監督? 大丈夫ですか監督?」
中年の穏やかそうな男性作業員が、汚泥まみれの手で、ミステールの顔をパチパチと触っている。ミステールは、鼻から口まで布で覆い、ゴーグルも付けていたのに、それが、今は外れていて、頬に汚泥が付いていた。作業員が触っているので、さらに汚れてしまっている。
「何があったの?」
セロンは、ミステールが白目を向いて倒れているのが、衝撃的で、戸惑っていた。
「うん? ……ああ~……」
中年の作業員は、セロンの姿を見て何かを察したようだった。
「監督が、私を助けてくれて、ここまで運んでくれたんですが、そのまま気絶してしまって……」
作業員もどうしていいか分からない様子で説明した。ミステールが人を助けるとは思いもしなかったので、セロンは、さらに驚いた。
「どうすれば、監督が意識を取り戻してくれますかね」
作業員は、心からミステールを助けたそうにしていた。
「なんだ、また、問題でも引き起こしたのか?」
あっくんが遅れて、ゆっくりと歩いてやって来た。
「問題じゃないよ。お姉ちゃんは、この人を助けたみたいだよ」
セロンは、直ぐにミステールを擁護した。
「そうです。私を助けてくれたんです」
中年の作業員がへりくだっている。あっくんは、釈然としない表情だった。
「お前は、此奴に無理やり働かされていたんだろう? どうして此奴の心配をする? 今が逃げるチャンスだろ?」
「ええっと……」
中年の作業員は目が泳いでいた。
「監督は、そんなに悪い御方では無いと思うんですよ。食べ物も水も十分用意してくれますし、そこまで大変な作業は押し付けませんし、体調が悪かったら休ませてくれるんです。それに、死にそうなところを助けてくれましたし……」
中年の作業員は、ミステールの頭を汚泥の付いた手で叩いて意識を確認していた。
「そうだよね。ミステールお姉ちゃんは優しいんだよ」
セロンが同調する。
「……ポンコツだけどな」
あっくんは、ポケットから、アイテムを取り出した。街の中で、プヨルが汚れた時に使っていた水の魔法アイテムである。さらに、あっくんは、近くにある水の瓶の束から一つ取って、蓋を開けた。手に持ったアイテムの横のハンドルを回し、白い霧のような物を出す。
白い霧は、ミステールの全身を包み込み、中年の作業員も包み込もうとした。中年の作業員は、得体の知れない霧に、後ずさりする。
「動くな。危険なものじゃない」
中年の作業員は、躊躇していたが、その言葉で霧の中に身を委ねた。
それから徐々に霧が晴れて来て、二人の全身に付着していた頑固な汚泥が綺麗さっぱり落ちた。汚れ一つ無くなっていた。開けた水の瓶は空になっている。中年の作業員は、不思議そうに全身を確認していた。
「俺は此奴が起きる前に街に戻るぞ。此奴も俺の顔を見たくないみたいだしな」
あっくんは、街の方に歩き出していた。
「待って! 僕も行くよ」
セロンもついて行こうと歩き出した。
「待ちなさい!」
セロンは後ろを振り向いた。ミステールがもう既に意識を取り戻していた。
「貴方に言っているんです! セロンの案内役の人!」
ミステールは、大きめの声であっくんを呼び止めた。あっくんは、立ち止まって、振り向く。面倒くさそうな顔をしていた。
「俺の顔を見たくなかったんじゃないのか? それとも、ぶん殴りたいか?」
「わたくしの話を聞きな……聞いてください」
ミステールは神妙な表情をしていた。もう怒っている様子はない。あっくんは、訝しそうにしながら、ミステールの元まで戻って来る。
「セロンも一緒に聞いてください。あなたも暇なら聞いて構いません」
ミステールは、セロンを見て、中年の作業員も座らせた。
「わたくしにだってプライドはあります。考えもあるのです。しかし、考えに及ばないこともあると理解してください」
ミステールは、素直に本音とこれまでの経緯を話し始めた。
***
少し前の話。ミステールはトウシに無能呼ばわりされた後、強い苛立ちを感じていた。何かに当たり散らかしたい程、頭に血が上っていて、冷静でいられなくなっていた。
しかし、物資や人間に当たり散らかす訳にもいかず、じっとして我慢していた。自制心を保つくらいは出来た。
けれど、その日の内には、気持ちを整理することは出来ず、ぼんやりとしたまま、終えてしまった。
次の日の朝方、昨日よりは、平常心を取り戻していたが、まだモヤモヤした気持ちが心の奥に残っていた。だから、変わらず手伝ってもらっている作業員達の方をボーっと眺めているだけだった。
どれくらい時間が経過したか分からない。セロンが横を通るのが見えた。ミステールに見向きもせずに、先へ行った。それからしばらくして、セロンが戻って来た。また、見向きもしないで、街の方へ戻るんだろうな、と思った。だけど、今回は、セロンがミステールに遠慮がちに話しかけてきた。
「あの~……お姉ちゃん……」
ミステールは、弟にどうやって顔を合わせればいいか分からなかった。だから、何も返せず黙ってしまった。
「昨日、マールっていう子がいたでしょ……?」
ミステールは真っすぐ前を見たまま、何も答えなかった。昨日、セロンと一緒にいた人間の子供だということは認識していた。
「今日って、そのマールっていう子、見てないかな? ……いま見当たらなくて探しているんだけど……」
ミステールのいるこの場所で、マールという人間の子供は目撃してなかった。だけど、直ぐに言葉として出てこなかった。昨日の出来事で、恥ずかしいところを見られ、面目を保てなかったことを引きずっていた。
「えっと……邪魔してごめんね。お姉ちゃん」
セロンは街の方へ戻ろうとしていた。ミステールは、怒っている訳でも拗ねている訳でもないんだから、答えてあげなければと思い、慌てて答えた。
「わたくしは、知りませんし、見ていません」
セロンの方は見なかったけど、セロンが立ち止まって聞いてくれていたのが分かった。
「教えてくれてありがとう。ミステールお姉ちゃん」
セロンは礼儀正しく告げると、街の方へ戻って行った。
ミステールは自分の態度に自分で腹が立っていた。情けないと思った。いい姉であるところを見せたいのに、全然ダメダメだった。
どうして、こんなことに……、どうして、こんなに情けなくなってしまったのか……?
……全てはあの人間のせいだ。わたくしを軽く見ているあの人間。ずっと上手く行っていたのに、いきなりわたくしの前に来たかと思うと、散々わたくしをけなしてコケにしようとする。わたくしが何をしたって言うの? わたくしは、兄弟の為に、皆の為に、こんな汚い空気が漂う、生物を絶滅させるような汚染地に来たのに、どうしてこんな仕打ちを受けなくてはいけないの?
ミステールは、納得がいかなかった。
人間は無知で、言葉を吐いたかと言えば、はしたない言葉や草の苗一つ分にもならない発言をする。わたくしが導いてあげなければ、すぐに間違えてしまう。人間が従わなければいけないのは、当然なことで、逆らう資格なんてない。わたくしが介入したことで、人間が困ろうとも、それは自業自得で、日頃の怠けが祟っただけのこと。人間が物資不足で倒れそうになったとしても、それは、誤った生活をしていただけ。わたくしは悪くない。わたくしは無能ではない。
ミステールは、ブツブツと呟いて、自己正当化していた。
なのに、気分は晴れなかった。
そんなミステールの前に、一人の小動物みたいな作業員が来る。ただでさえ、わたくしに近寄ろうとする作業員はいないのに、こんな荒れた心持のわたくしの元に来るなんて、なんて能天気な人間なのだろうか。
「……あの~」
ミステールは、出来るだけ冷たい視線を送った。しかし、中年の男性作業員は、目の前から居なくならなかった。
「……ここら辺の沼は、街から通じている排管から流れた汚泥で出来ています。汚泥をどうにかしないと、ずっと変わらないんじゃ……」
この作業員は、目の前から消えないどころか、機嫌の悪いミステールに意見を述べて来た。あれだけ、わたくしに意見を言うのを禁じていたのに、なんて図太い人間なのだろう。
「街では、毎日多量の汚泥が排出されて来るので、元をどうにかしないと、ずっと終わらないんじゃ……」
わたくしが分かっていないとでも思っているのだろうか? 人間は、無知のくせに図々しくおこがましい。なんて勘違いの激しい生き物なのか。ミステールは、馬鹿にされている気がして、イライラした。
「黙りなさい! わたくしに意見している暇があるのなら、早くまだ浄化出来ていない沼を綺麗にしに行きなさい!」
ミステールは、できるだけ厳かな態度で叱責した。
「しかし……」
まだ、食い下がって来る作業員。わたくしがきつい罰を与えないから、図に乗っているのかしら。
「二度は言いません! 早く行かなければ……」
「沼の方は人数的に足りているというか……」
「しつこい! ええ、分かりました! 貴方は、わたくしのやり方が気に入らないのですね!? では、街に繋がる排管の調査を一人でしてくればいいじゃないですか!? あの排管から入って、中の泥が何処から流れているのか、どうやったら止められるのか調べてくればいい!! 是非、貴方の優れた成果を期待したいものですね!」
作業員は、一礼をして、排管の方に本当に行ってしまった。ミステールは、言い終えて、癇癪を起したことに後悔していた。何か、虚しさが押し寄せて来た。
わたくしは、どうしてこんなに突っかかられるのか? 何が悪いのか? 導く者として当然の判断をしているだけなのに、どうして、こんなにも上手くいかないのか?
無能……。
わたくしは、やはり無能で、何もしない方がいいのでしょうか……?
ミステールは、思い当たる過去を思い出していた。
白竜の住む山での出来事。山では、特にやることが無く、暇な時が多々あり、ミステールは、誰か兄弟の手助けでもしてあげようか、と考える時もあった。
数えきれないほど、身に覚えがあるが、特に記憶に新しいものが、ありありと頭の中によぎっていた。
暇なミステールは、おばばに何かやることが無いかと聞いた時、おばばは、物置の掃除と整理をミステールに任せた。
ミステールは、気楽な気持ちで物置に向かった。しかし、想像以上に汚くて、一つも中にある物に触れたくなかった。おばばに魔法を使うなと言われていたけれど、これだけ汚れていたら、手が付けられないと思い、こっそりと光の魔法を使い、表面の汚れを除去した。見違えるように綺麗になった。それでも、元々汚れていたと考えると、とても素手では触れず、ミステールは、自分の身体や手が汚れないように特製の防護布を身につけた。これで完全対策だった。でも、やっぱり、触るのは気が引ける。ミステールはテキトーに整理をして済ませた。初めの光の魔法で、汚れを取り除けなかった物置の端にある物や、死角で汚れが落ちてない物は、そのままにした。
おばばに仕事が完了したと報告をして、確認してもらった。
「……お前は、前からそうだったな……」
おばばは、あっさりとした対応で済ましてきた。労ってはくれなかった。
またある時、プヨルの作業を手伝ったことがあった。
小さな小屋を作っていて、その仕上げの作業らしかった。
「ミステールお姉さん、手伝ってくれるの?」
「ええ、わたくしは弟の助けになりたいと思いましたのでね」
「ありがとう、お姉さん! それなら、少し待ってて」
プヨルは、家の中に戻った。
ミステールは、小屋の様子を見て、ベトベトしたものが表面についていると思った。だから、魔法で綺麗さっぱり除去してあげた。
「お待たせ、お姉さん。実は今ね、魔法を使わないで、小屋を手作りしているところでね……」
「表面についていた汚れ、落としておきましたよ」
ミステールは、微笑みながら告げた。プヨルは絶句している。木製の小屋に手作業で苦労して塗ったペンキが見事におちて、丸裸になっていた。
「…………うーん、……ありがとう……」
またある時は、シェルクの作業を手伝ったことがあった。
シェルクは、白竜の住処に人間の子供達が、来てくれた時の為に、遊べるような遊具を作ってあげたいと言っていた。
「ありがとう、姉さん。おいら、追加の切り株、取って来るから待っていてね」
ミステールが手伝うと言うと、シェルクは、承諾し、ルンルンと家の方へ向かった。
ミステールの前には、何やら曲がった木や切り株、木材を組み合わせたようなオブジェがあった。邪魔なものにしか見えなかったミステールは、それらを光の魔法で消してきれいにしてあげた。
「姉さん、おいらはね、自然のものを使ってね、人間の子供達がケガをしないような遊具を作ろうと思ってるんだけど……」
「邪魔なものがあったので、綺麗にしておきましたよ」
切り株を持てるだけ持って来たシェルクが、固まった。
「姉さん、ここにあった遊具は……?」
「遊具? 邪魔なゴミがあったので消しておきましたよ」
ミステールは素晴らしい仕事をした充実感に溢れていた。
「何て?」
「魔法で消しておきましたよ」
「え? ……え゙!? ………………」
それから、もう一度プヨルの作業を手伝ってあげる機会があった。
「……お姉さんは、ゆっくりしててよ。一人で出来るから」
プヨルにやんわりと断られた。
シェルクの作業をもう一度手伝ってあげられる機会もあった。
「姉さんの手を煩わせるわけにはいかないよ。自分でやらないとね」
シェルクに笑顔で断られた。
それから、兄弟のみんなが協力して取り組むような話もあった。ミステールは当然、張り切っていた。
「ミステール。今回、お前は何もしなくていいぞ。無理するな」
おばばが乗り気のミステールに真っ先に告げた。
「…………」
戦力外通告だった。
他の兄弟は、そんな非情な通告はされていなかった。わたくしだけだった。だけど、前から気づいていた。自分が役立たずで、いない方が上手くいっているのを。
今回、こんな汚染された劣悪環境に来たのも、意地を張っただけだった。自分だって、役に立てるんだと示したかった。兄弟の力になりたかった。
けど、結局、わたくしは、自分が汚れるのは我慢できない。拒絶反応を示してしまう。結果は、誰でもできるようなことをやって、問題を起こして、兄弟に手間を取らせて、気を遣われてしまい、役立たずの無能と言われる。
何も出来ないお邪魔は、やはり山に帰ったほうがいいのかもしれない。白竜なのに特別なことは何一つ出来ないのだから。
ミステールはそれがいいと悟り、こっそりと帰ろうとした。
ドーン!! ドドドド―ン!!!
街の方で大爆発があった。
ミステールは覗き込むように街の様子を窺った。街の外側に作られている大きな四角い建物の底部分が破裂していた。その部分から、凄まじい量の汚泥が流れ出し、崖の底に落ちている。
ミステールは、一つの非常事態を見逃さなかった。かなり遠い所で、人には到底見えないけど、白竜であるミステールには見えた。
一人の人間が汚泥と一緒に流されていた。破裂した縁に辛うじて掴んでいるのが見える。
先ほど、ミステールに意見して、排管の調査に行った作業員だった。
ミステールは、彼は自業自得だと思った。ミステールに意見をして、言うこと聞かず、一人で排管の中に行ったのだから。それに、一人の人間が死んだところで、何も変わらないし、人間如きに手を煩わされる訳にはいかないと考えた。
もっと言えば、滝のように汚泥が溢れ出していて、そんな場所に向かうなんて、絶対に嫌だった。
だから、これは仕方がない。わたくしは、薄情な白竜なのです。兄弟達とは違うのです。
縁に掴まっている作業員は、今にも落ちそうだった。
これは事故でわたくしには関係ない。関係ない。関係ない……。
ついに作業員が力尽きて汚泥と共に崖に落ちた。
気持では、拒絶していた。汚泥の滝に向かうなんて、考えられなかった。だけど、体が無意識に動いた。
強く地面を蹴って、一直線に飛んで行った。
作業員は、汚泥の滝に飲まれて逆さまに落ちている。ミステールは、光の魔法を使って滝の汚泥を消そうと一瞬考えた。けど、躊躇った。このためだけに強力な光の魔法を使うのは、みんなの為にならないと分かっていた。それに飛びながら激しく流れる滝の汚泥を、作業員に害がないように魔法で消すのは、ミステールでも不可能だった。
だから、もう飛び込むしかなかった。汚泥の滝の中に突っ込むしかなかった。嫌でも覚悟は決まっていた。ただ、助けることに集中した。
汚泥の滝に出来るだけ体を小さくして突っ込んだ。しっかりと、目で逆さに落ちて行く作業員を捉えた。ガッシリと摑まえ、一瞬の内に汚泥の滝から抜け出す。それから、急上昇し、元居た場所まで一気に飛んでいく。しかし、汚泥が体中に付着し、頭にまで着いている感覚は最悪で、頭がくらくらしてきた。最後の力を振り絞って、地面に着地しようとした。バランスを崩して、倒れ込むように地面に滑った。もう気を失っていた。
*
「わたくしも白竜であり、人が死ぬのを黙って見ているほど薄情ではありません。なので…なので、わたくしのせいで皆さんに迷惑をおかけしたことは、お詫び申し上げます。しかし、わたくしが、無能で何もしない方がいいという、酷いレッテルは撤回してください。わたくしだって、人々や兄弟の為に努力しているのです」
ミステールは、あっくんを真っすぐ見据えていた。見下しているわけではなく、同じ目線で答えを待っていた。
「……分かった。悪かった。無能と言ったのは撤回する」
あっくんは、毅然として答えた。
「何もしない方がいいと言ったのも撤回してください」
ミステールは、抜け目なかった。
「ああ、それも撤回するよ」
あっくんは少し煩わしそうに答えた。ミステールは満足そうにした。
「それから、セロン。安心してください。貴方にもしものことがあったら、わたくしが助けてあげますからね。たとえ、泥沼の中でも、飛び込んで助けてあげますよ」
ミステールは、セロンに微笑みかけ、透き通るような声で宣言した。
「ん? うん……ありがとう、ミステールお姉ちゃん」
セロンは、突然言われて、戸惑った。だけど、ミステールお姉ちゃんが、色々と考えて、色々と悩んでいたと知れて、嬉しかった。それに、機嫌も直してくれてホッとした。お姉ちゃんはやっぱり、優しい白竜だと改めて思った。
「あの光なんですかね」
中年の男性作業員が突然、街の方を指さした。
振り向いたセロンは、息を飲んだ。あっくんも険しい表情になった。
それは、前の街で見た光だった。何でも分解するあの光だった。




