憧れのいもうと・・
第48章
レノミンの妊娠はそれぞれに激震を走らせた。
国王が王妃を娶っていないのに、皇子や王女が増えていくのは、国王としてはどうなのか・・と、宰相は語る。自分はさっさと、結婚して、毎日、幸せにしている。
「結婚と言う物は男の最大の責任です。それにいいものですよ。毎日が充実して・・」
「何度も、結婚して欲しいと、プロポーズしているよ。歌なんか歌って、ほら、グルガシ国からやっと、ピアノ来たでしょ。だから・・・でも、それはそれで難しい問題で・・・」
ドント宰相は罪人から、今では一番、信頼できる宰相に変化していた。もともとはいい宰相だったに違いなく、最近では、本当に使えると国王は思っていた。
「各国とも、一応、祝電が届いておりますが、レノミン様の立ち位置について、やんわりと問い合わせがあります。ハナ国からは結婚式はいつ頃になるかとダイレクトに問い合わせがあり、こちらとしても回答に苦慮している所です」
「グルガシ国からは4カ国での会議の申し出がありました。いかがなさいますか?」
「カタクリ国からは何か言ってきてる?」
「---いいえ、祝電は届いていますが・・・他の問い合わせはありません」
「・・・・・・」
一方、湖畔の別荘では、グレースが最高に喜んでいた。
「ヤッター!!思った通りだ」
「お母様のお腹に赤ちゃんがいるって、本当?女の子?私、女の子が欲しい、弟はもういるから妹が欲しい、ホホの妹って、とっても可愛いのよ」
ホホの妹のミミは、病気がちだったが、この別荘に数回、お泊りすると健康を取り戻していった。
ホホとミミが泊まりに来るときは、グレースは本当に嬉しそうで3人姉妹のようだと別荘の人々は思っていた。
そして、今回、自分にもミミのような妹が出来るかも知れない期待は大きい。
「お母様、このお洋服、今まではミミにあげていたけど、妹に残そうと思うの、後、このベットは使う?椅子は?後、この靴とかも、残しておいた方がいい??いつも、お母様は孤児院とかにあげてしまうけど・・・私がいままで取って置いた物は全部、妹にあげていい??」
「ねえ、ねえ、お母様・・・妹だったら・・・・」
そこにミンクがやって来る。
「グレース様、レノミン様は今とっても大切な時です。ですので、後、3ケ月くらい経ったらこの件のお話をなさるのはいかがでしょう?」
「そっか・・・・つわりって、大変だって、黄色いネズミで学んだのに・・・お母さま、ごめんなさい。嬉しくって・・いもうと・・・」
グレースが部屋を出て行って、
「グレース様、最後にいもうとを強調していましたね・・・」
「今回も双子とかないですよね?」
「まだ、判断できませんので・・・体調はいかがですか?」
「うん、今は大丈夫・・・グレースの期待に答えられたらいいのだけど・・・」
「レノミン様は女の子を希望していますか?」
「いいえ、もちろん、どちらでもいいの・・・・元気に生まれてくれたら・・・」
「今回は、本当に万全ですよ。この場所での出産になりますし、もうすぐ、ダリアも帰って来ます」
「本当?ダリアも帰って来るの?」
「ええ、レノミン様が妊娠なさっていると聞いてからは、ダリアの心はすでにコチャ領に向かったと、エミリオ様が言うには、レノミン様に恋い焦がれている様子」
「エミリオは大丈夫ですかね?」
「はい、エミリオ様は、すでに成人のようにしっかりなさっていますので、ギシがしっかりお守りすることで安心です。それに、きっと、エミリオ様も、こちらにいらっしゃるのではないでしょうか?」
「---そうなると国王はお寂しいでしょうね」
「いいのでは?国王には、宰相が付いています。私たちは全力でレノミン様をサポートしますので、コチャ領以外の事はしばらくは国王にお任せしましょう」
「---ええ、そうしましょう」
カタクリ国の先王はとっても不機嫌に毎日を過ごしている。
「サンシン国からの発表はまだないのか?」
新しくカスター先王についた政務官は答える。
「はい、何もありません。ハナ国のシン国王とは、年齢も近く親しいようなので、あちらにも尋ねましたが、結婚式とかは決まっていないようです。サンシン国の国民も王族に対して、憧れとかが無く、今度の国王は少し長く在位している位の感覚です」
「キース国王は貴族制度を廃止して、王族は現在では国王とエミリオ皇太子だけで・・・後はすべて庶民となりました。もちろん、反対勢力が存在していましたが、この度の病を利用して、S国の人間とわざと接触をもたせ、自業自得と言う形で処分しています。ーーー優秀な国王と思います。やはり、サンシン国で、流行り病を未然に防げたのは、国王とレノミン様のお力だと国民にもっと広めるべきだったのです」
「キース国王の前まで、あまりにも酷い政務だったから仕方がない。しかし、あのおとなしいレノミンが国母となり、荒波に出て行くのも嫌だが、国王の為に何人も子供を産んで、未婚もダメだ」
「先王としてはまだ、お気持ちが決まらないのですね」
「気持ちが決まらないと言えばそうだが、当事者ではない、キース国王の発表を待ってから、動く以外はないだろう・・・」
「大体、レノミンが一番、弱っているときに・・・・また、妊娠させるとは・・・」
王妃は、
「しかし、コチャ領の人たちは、死ぬほどレノミンさんを心配していましたが、キース国王がつきっきりで看病をしてくれて、何とか子供たちにも、不安を与えないで来れたと感謝していました」
「ああ、私たちや使用人、子供たちでも。あの時のレノミンを救えたが今となってはわからない。悪夢に毎日うなされて、弱って行くのを見ているしかなかったから・・・・」
「内心、キース国王を、姪の婿と認めていらっしゃるのでしょ?彼は彼なりに、レノミンさんを愛していると思いますよ。二人の気持ちは固まっていても、国と領土の問題は解決できまん・・・」
「本当に・・・今では、カタクリ国からコチャ領の『食いしん坊の王妃とネズミの館』は憧れの観光地、王都では話題に出ない日はないです」
「そして、コチャ領からはカタクリ国の街道沿いの花を見る為に、馬車が沢山やってきていい関係です。どうか、このままの関係を後世まで続けて欲しいですね」
「それには、今後のキース国王の発表次第だ」
「でも、みんなが心配しているのはきっと、グレースの未来でしょう・・・」
「そのグレースはレノミンの話だと、赤ちゃんを妹と決めているらしく、いもうと、と話す度に鼻が膨れて、可笑しいって、さっき電話で言っていました」
「レノミンはどうだった?体調はいいのか?」
「はい、今回は、つわりもそんなに無くて、もうすぐ、ダリアさんが戻ってくると、安心したように話していました。国王は何度も求婚してくれるらしいですよ。歌まで歌って、でも、自分では、どうしていいかわからないみたいです。一番いいのは、結婚しても今の状態が続くことが一番の望みらしいです」
「それはどういう事?」
「結婚して王宮には行かないで、グレースと、生まれてくる子供と一緒にコチャ領に住みたい。それがレノミンさんの願いらしいです」
「それは・・・男にとって辛い決断だな・・・・」
「あら?珍しく、キース国王の味方ですね」
「------」




