チーズを食べたレノミン
第47章
翌朝、また、国王は隣に寝ていた。
レノミンが寝ると国王も寝る。
この人、政務は大丈夫なのでしょうか?と、レノミンは思っていた。しかし、徐々にレノミンの部屋にカレーの香りが浸入している。
本当に今日はカレーなんだ! レノミンの嬉しそうな横顔を国王は見逃さない。
「さぁ、食事が、来たみたいだね。一応、作り方とかマルク医師が書いてくれたから、その通りに作ってみたけど・・・」
「国王が作ったのですか?」
「うん、切ったりはしないけど、香辛料の割合は調合通りにした方が、失敗がないから手伝った」
二人で一口、口に入れる。
「辛い!!」
二人は顔を見合わせて笑っていた。
「この香辛料は4ケ国の物を少しづつ合わせて作ったみたいで、マルク医師自慢の黄金比率だったけど、僕たちには辛い・・・サンシン国はサンシン国でいい味を探さなくてはね」
レノミンは涙を流しながら、
「でも、美味しいです。辛い・・・美味しい・・」
「牛乳とか入れてみる?」
「ええ、ヨーグルトとかでもいいけど・・・これは、この辛さはこのままでも美味しいです」
「レノミンさん、この世界に来て美味しいって、笑って食べたのはいつ?」
「・・・・・・」
「わたし、モブでいいのです。それが一番、楽な生き方でした。だから、きっと、今回は消化できないのでしょう。笑って食事をしたのは、前世で家族と一緒の時だったかも知れません。お母さんが私の好きな物ばかり並べて、食べろ、食べろ攻撃にあっていたあの時・・・・」
「でも、今は、レノミンさんには家族がいます。僕やエミリオは王都ですが、グレースはいつも近くにいて、もしかしたら、一緒に笑って欲しいと思っているかも・・・」
レノミンもそう思うようななった。グレースは、本当は自分の母親に、もっと笑って欲しいと思っているかも・・・自分だけがモブでいいなんて、もしかしたら傲慢なの・・・・
キース国王は窓際にレノミンを招待する。
「見て、グレースが何だか演説するよ。その次はエミリオがこの別荘のみんなを集めて、話を始める」
「何を話すのかしら・・・?」
「カタクリ国でグレースは、領主代理で祝辞を述べたでしょ?でも、君には聞こえていない。グレースは死ぬほど暗記して、ティアやあなたの期待に応えた。エミリオが言うにはいい文章だったらしいよ。ただ・・・」
「ただ?」
「スカートが風に揺られた時に、グレースの足が包帯だらけで、周りの人々はとっても心配したらしい・・中には、新国王を責める人もいたとか・・・・」
「あれは・・・」
「わかっている。グレースの自転車についている大きな補助輪で・・・」
「元気になったら僕たち二人で教えてあげよう。自転車の乗り方を・・・きっと喜ぶよ」
「はい、」
このころからレノミンは頷くことが減り、返事をするようになっていた。
その変化に気づいたのは、キース国王だけだが・・・グレースは台に上がり、大きな声でお祝いの言葉を述べ、感謝していた。それはそれは素晴らしい挨拶で使用人たちは立ち上がり拍手をして、グレースはそれに答え手を振る。
パチパチ・・・パチパチ・・・
それから、エミリオが国賓としての挨拶を立派にこなして、感動を与えていた。最後に二人は台に登り、国王とレノミンに大きく手を振って笑っていた。(最高の笑顔)
レノミンは泣いていたが、
「グレースとエミリオは笑っているよ。さぁ、手を振ってあげよう・・・」
「はい、」
グレースとエミリオは自分の両親が寄り添い手を振ってくれた事に本当に感激していた。
「お母様、お父様と一緒で本当にご病気がよくなるの?あんな臭いにおいの食べ物食べて・・?」
「でも、ダリアは心配になって食べてみたけどすごく美味しかったって、言っていたよ」
「あれは・・・・苔で出来ているの?なんだか・・・汚い・・〇〇のようで・・・お母様は、本当に、寝ている時に、食べさせられているのでは?」
「---違うよ。あんな仲良しの二人を見たことがないでしょ! きっと、あのカレーと言う食べ物のお蔭だよ。----寝ながら食べていても・・・・」
「お母様、本当に黄色いネズミに会っているのね」
「お母様、赤ちゃんがお腹にいるの?」
そこは、周りの人々が全員で・・「いません!! 」と否定した。
その後、グレースとエミリオが、自転車に乗って楽しそうに別荘の周りをサイクリングしている。
森の小道は工場に続く道で、きれいに舗装されていたので心配はなかった・・・・補助輪つきだし・・それでも、必ず、サンドロたちは彼らに寄り添う。あたたかい光景。
その後、国王はレノミンをベットに抱いて連れて行く、
「国王、私、歩けます。大丈夫ですから・・・あの・・・・」
「いいよ、君は本当に軽いし、お尻がいい感じで好きだから・・」
「ヤメて下さい」
「ハハハハハ・・・・、君は前世では経験はしていた?もしかしたら・・・僕とのアレが初めてだったら悪いと思って・・・」
「そんなこと・・・・」
「---初めてではありません。高校の時に興味があって、・・・付き合って欲しいと言われて・・・少し付き合って、特に、感情はなかったのですが、そういう行為をしたことはあります」
「それで、少し付き合ったの?」
「はい、何度かデートみたいなものをして・・・して、別れました」
「え?それって、した後、別れたの?」
「はい、」
「それは・・高校生の男の子には一生の傷になるよ。した後、即、お別れって・・・自分の不甲斐ない性が・・・って、必ず思うと思うよ」
「---私もしばらくして、気が付いたのですが・・遅くて、だから、その彼氏の後は誰にも付き合って欲しいとは言われませんでした。---でも、思いやりにかけていたのは、お互い様だと自分に納得させました。痛かったし・・・」
「だよね・・・でも、僕と一緒にベットの中にいるのはどうですか?」
「ええ・・・・なんだか慣れました。イヤとは思わない。ベットの中にいる事が幸せだと思えます」
国王はベットでキスをして、抱きしめて、
「多分、僕は満足されられると思います。レノミンさん、僕の事が好き?」
「返事して、」
「はい、」
「このまま、明日の朝まで一緒に走れますか?ベットで・・・」
「それは・・・」
レノミンが答える前にキース国王は口を塞ぎ、そのまま、ずっと、朝まで走った。
互いに抱き合い、朝を迎え、鳥たちは囀り始める。
レノミンはこの日を境に徐々に復活していくが、2ケ月後にまた倒れる。
グレースの予感は的中して、妊娠したのでした。
「カレーって・・・・苔が入っているんだね」




