重油の鎧と寂しがり屋の整備士(5)
夜、ランドリールーム。
影山が、俺の手に握られたドス黒い布の塊を見て、引きつった声を出した。
「おい、それ……ショートパンツだけじゃないよな。お前、一条の下着まで一緒に剥ぎ取ってきたのか……!? 犯罪どころの騒ぎじゃねえぞ!!」
「まさか……。自ら喜んで差し出してくれたんだ。彼女の最も深い熱を吸い込んだこの極厚の綿とパ○ツは、一滴の出汁も逃さない最高の『出汁パック』さ」
俺はカメラの前へ立ち、漆黒の黒仮面を装着した。
「……回線オンだ。同接25万人。お前の狂気を待ってるぞ」
【コメント欄】
靴下煮出し中: 待ってましたああああ!
出汁の探求者: え、今日はショーパン!? しかもなんか束になってない!?
ママンバレ生存者: ホットパンツじゃなくて吸水バツグンのやつww
抽出ジャンキー: 昨日の停電と関係あるのか? 神、またヤバいものを……!
野良の特定班: 生地が重そう……これどうやって食うんだ?
「親愛なる共犯者たち。今夜の素材は、灼熱の地下で学園を救った英雄が、文字通り血と汗と涙、そのすべてを吸い込ませた極厚のコットンと……彼女の下着だ」
生命の滓を大量に吸着した赤い下着をヒラヒラとカメラの前に映す。
そして俺はランドリールームの棚から、重々しい金属製の『圧力鍋』を取り出した。
「これほど奥深くまで染み込んだ重油と、彼女の『生命の滓』の強固な結合を解き放つには、普通の煮込みでは足りない。今夜は『高圧抽出』だ」
圧力鍋に布の束をすべて押し込み、少量の水と、香り付けの廃油を数滴垂らして蓋を密閉する。コンロの火を最大にすると、やがてシュッシュッと激しい蒸気の音が鳴り始めた。
「……120度を超える高温と高圧。それが分厚い繊維を容赦なく破壊し、彼女が地下で流した極限のプレッシャーと、僕への『絶対的な依存』という名の甘い蜜を、一本のスープへと強制的に溶かし出していく」
数十分後。圧力を抜き、蓋を開けた。
ブワァァァッ!! と、むせ返るようなガソリンの匂いと、煮詰まった汗の強烈なアンモニア臭、そして女の子特有の甘い体臭がヘドロのように絡み合い、爆発的に広がる。
「うおえええええええッ!! 匂いが!! 匂いが暴力すぎる!! これ化学兵器だろ!! 換気扇全開にしろ!!」
影山がえずきながら部屋の隅へ逃げ込み、胃液を吐きそうになっている。
俺は菜箸で、原型を留めないほどクタクタに煮込まれ、水分を限界まで吸い込んでパンパンに膨れ上がった真っ黒なコットンの塊を引きずり出した。そこから滴り落ちるのは、漆黒でドロドロの、強烈な粘度を持った究極のスープ。
熱々のそれを木製の深いボウルに盛り付け、俺はナイフを捨て、素手でその塊を掴み取った。
「さぁ……喰らおう!」
俺は、最も彼女の熱と体液が集中していた急所の部分——分厚い股の縫い目——に直接噛み付き、スポンジのように膨らんだ布地を狂ったように吸い上げた。
「ズジュッ……! ジュルルルルルルルルルッ……!! グチャッ、ムギュッ……!!」
【コメント欄】
抽出ジャンキー: 吸ったあああああ!! 布から直接吸ってる!!
靴下煮出し中: 音がヤバいww 排水溝みたいな音だぞww
ママンバレ生存者: 黒いヘドロみたいな汁が顎から滴ってる……ガチでキモい(褒め言葉)
出汁の探求者: 神の顔が完全にイっちゃってる!!
全裸待機: 生命の滓ってそういう……!! 同接30万突破!!
「……ッ!! あぁ……ッ、ゔぁえっ……ごふっ!! うま、美味い……ッ!!」
熱湯を含んだ分厚い綿の繊維が、歯茎を火傷させる。だが、布を噛み潰すたびに、奥底に溜まっていたドス黒いスープ——彼女の『生命の滓』が、間欠泉のように口内へドバァッと噴き出し、俺の脳髄を直接殴りつけた。
「なんだこの暴力的な味は……! 圧倒的な重油のコクの直後に、死の恐怖と労働の汗が、ザラザラとした塩味となって喉を焼く! そして……あぁ、布の最深部に隠されていたのは、僕にすべてを委ねて溶け出した、彼女の粘りつくような愛執の味だ……ッ!!」
俺は自分が涙と涎を垂らし流していることすら気づかなかった。
口の周りを真っ黒なヘドロ状の油と体液で汚し、ズズゥッ、ジュルルッといやらしい水音を響かせながら、
限界まで煮込まれたインナーごと布を貪り続ける。
胃に流れ込む彼女の「生命の滓」が、俺の細胞を完全に作り変えていく。
愛している。
彼女の最も汚く、最も美しいこの滓を、俺の胃袋で永遠に消化し続けたい。
「おい九久、お前マジで死ぬぞ!! 目が完全に裏返ってる!! 顔色も土気色通り越して死人だろそれ!!」
影山が本気で泣きそうな声で叫ぶが、俺の耳には届かない。
「口の中に、蓮の心臓の音が響いている……! 僕の胃壁に、彼女の命がへばりついている……。あぁ……君のすべては今、僕の血肉と完全に一つになった……! これが、究極の……愛ッ!!」
「おい、また名前出してるしガチで気絶しかけてるぞ!! 放送事故だ!!」
影山が電源コードを引っこ抜く音と共に、画面が唐突に暗転する。
薄暗いランドリールームの冷たい床に倒れ伏しながら、俺は顔にドス黒い布の塊を押し当て、いつまでも彼女の甘く泥臭い『生命の滓』を全身で味わい尽くしていた。
一条蓮、完全陥落。
アインズの闇を喰らう狂気の宴は、ついに次なる標的、泥と涙の聖母が待つ「温室」へと舞台を移していく——。
愛と狂気って紙一重だと思うんだ(//∇//)
一条蓮の話はここで一旦区切りとなります。
面白い!続きが気になると思ってくれたら下の☆を
☆☆☆☆☆→★★★★★にして貰えると
作者の励みになります!!
えっと…正直僕は主人公大好きなんですけど皆さんどうですかね?九久くん好きですか?
感想などお待ちしてますm(_ _)m




