重油の鎧と寂しがり屋の整備士(4)
アインズ更生学園の地下深く。
そこには学園全体の電力を賄う、巨大な旧式ジェネレーターが鎮座している。
ある夜、そのジェネレーターが突如として不吉な黒煙を上げ、学園全体が停電に見舞われた。
けたたましく鳴り響く非常ベルと、不気味に点滅する赤い非常灯。
パニックに陥る生徒たちを尻目に、俺と影山は迷わず地下への階段を駆け下りていた。
「おい九久! なんで俺たちまで地下に行くんだよ! 爆発したらどうすんだ!」
「決まっているだろう、影山くん。あの不器用で寂しがり屋の整備士が、たった一人で学園の命運を背負って震えているはずだからね。極限状態の彼女から滴るエッセンス……想像しただけで喉が鳴る」
熱気と黒煙が充満する地下室に飛び込むと、そこには案の定、一条蓮の姿があった。
「ちぃっ……! メインシャフトの焼き付きか! クソ、このままじゃ冷却システムも落ちて、最悪爆発するぞ……!」
彼女は動きやすさと暑さを凌ぐためか、上半身のツナギを脱いで腰に巻き、黒いタンクトップと、スウェット生地の極厚ショートパンツ姿になっていた。その隙間から見える秘部にぴったりと密着する真っ赤なレース生地のパ○ツ。
俺の目は、彼女の腰回りを覆うその『吸水性のバケモノ』のようなコットンの塊とその奥にある卑猥な生命の滓の受皿に釘付けになった。
機械から飛散した黒いオイルと、彼女の毛穴から吹き出す恐怖と焦燥の汗。それらが混ざり合い、分厚いコットン生地とパ○ツの奥の奥まで、一切の逃げ場なくグチャグチャに吸い込まれている。あぁ……あれは彼女の魂を溜め込む極上の濾過器だ。
「一条さん、状況は?」
「九久!? お前、なんで……いや、影山も! ちょうどいい、手伝え! そこのバルブ、私が合図したら全力で回せ!」
そこからは、まさに地獄の釜の底での死闘だった。
一条は狭いシャフトの隙間に下半身をねじ込み、仰向けになってスパナを振るう。彼女の太ももから滴り落ちた大量の汗が、重力に従ってコットンの股部分へと集約し、ジュクジュクと音を立てて染み込んでいくのを、俺は熱い眼差しで見つめていた。
数時間の死闘の末、ガコンッ! と重々しい音を立てて、ジェネレーターが正常な鼓動を取り戻した。同時に、学園中にパッと明かりが点る。
「……はぁ……っ、はぁ……っ! や、やった……!」
一条はオイルと汗で水たまりのようになった床に、仰向けのまま大の字に倒れ込んだ。
胸が大きく上下し、極限の緊張から解放された彼女の身体から、甘い安堵の香りが立ち昇る。
「お見事です、一条さん。学園を救った英雄だ」
俺が手を差し伸べると、彼女はその手を力強く握り返し、俺の胸に飛び込んできた。
「お前が……九久がいてくれたからだ。私一人じゃ、絶対無理だった……」
彼女は俺の胸に顔を埋め、ボロボロと涙をこぼした。強がりの整備士が、完全にその鎧を脱ぎ捨てた瞬間だった。
(愛おしい……。このずっしりと重い布の奥に、彼女のすべてが詰まっている)
「君が命懸けで学園を守った証だ。その一番汚れた服は、誰にも触れさせない。僕が責任を持って、繊維の奥まで綺麗に洗い上げるよ」
俺が自分の上着を彼女の腰に巻きつけ、耳元でそう囁くと、一条は顔を真っ赤にしてコクリと頷いた。
そして、物陰に隠れ、モゾモゾと「全て」を脱ぎ終えた彼女は、上着の裾をギュッと握りしめながら、ずっしりと重く湿った「黒と赤の塊」を俺に差し出した。
「……ん。これ……」
「受け取りました。ショートパンツと……おや、随分と分厚いですね」
「……下着ごと、全部だよ。バカ。九久になら……私の全部、綺麗にしてほしいから……」
完全に依存しきった乙女の声を聴きながら、俺の腕の中には、彼女の一番深い場所から溢れ出た汁と熱を抱え込んだ、生温かい布の束が確かに収まっていた。




