表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/28

重油の鎧と寂しがり屋の整備士(4)


アインズ更生学園の地下深く。


そこには学園全体の電力を賄う、巨大な旧式ジェネレーターが鎮座している。


ある夜、そのジェネレーターが突如として不吉な黒煙を上げ、学園全体が停電に見舞われた。


けたたましく鳴り響く非常ベルと、不気味に点滅する赤い非常灯。


パニックに陥る生徒たちを尻目に、俺と影山は迷わず地下への階段を駆け下りていた。


「おい九久! なんで俺たちまで地下に行くんだよ! 爆発したらどうすんだ!」

「決まっているだろう、影山くん。あの不器用で寂しがり屋の整備士が、たった一人で学園の命運を背負って震えているはずだからね。極限状態の彼女から滴るエッセンス……想像しただけで喉が鳴る」

熱気と黒煙が充満する地下室に飛び込むと、そこには案の定、一条蓮の姿があった。


「ちぃっ……! メインシャフトの焼き付きか! クソ、このままじゃ冷却システムも落ちて、最悪爆発するぞ……!」

彼女は動きやすさと暑さを凌ぐためか、上半身のツナギを脱いで腰に巻き、黒いタンクトップと、スウェット生地の極厚ショートパンツ姿になっていた。その隙間から見える秘部にぴったりと密着する真っ赤なレース生地のパ○ツ。


俺の目は、彼女の腰回りを覆うその『吸水性のバケモノ』のようなコットンの塊とその奥にある卑猥な生命の(かす)の受皿に釘付けになった。


機械から飛散した黒いオイルと、彼女の毛穴から吹き出す恐怖と焦燥の汗。それらが混ざり合い、分厚いコットン生地とパ○ツの奥の奥まで、一切の逃げ場なくグチャグチャに吸い込まれている。あぁ……あれは彼女の魂を溜め込む極上の濾過器フィルターだ。


「一条さん、状況は?」

「九久!? お前、なんで……いや、影山も! ちょうどいい、手伝え! そこのバルブ、私が合図したら全力で回せ!」


そこからは、まさに地獄の釜の底での死闘だった。


一条は狭いシャフトの隙間に下半身をねじ込み、仰向けになってスパナを振るう。彼女の太ももから滴り落ちた大量の汗が、重力に従ってコットンの股部分へと集約し、ジュクジュクと音を立てて染み込んでいくのを、俺は熱い眼差しで見つめていた。


数時間の死闘の末、ガコンッ! と重々しい音を立てて、ジェネレーターが正常な鼓動を取り戻した。同時に、学園中にパッと明かりが点る。


「……はぁ……っ、はぁ……っ! や、やった……!」

一条はオイルと汗で水たまりのようになった床に、仰向けのまま大の字に倒れ込んだ。


胸が大きく上下し、極限の緊張から解放された彼女の身体から、甘い安堵の香りが立ち昇る。


「お見事です、一条さん。学園を救った英雄だ」

俺が手を差し伸べると、彼女はその手を力強く握り返し、俺の胸に飛び込んできた。

「お前が……九久がいてくれたからだ。私一人じゃ、絶対無理だった……」


彼女は俺の胸に顔を埋め、ボロボロと涙をこぼした。強がりの整備士が、完全にその鎧を脱ぎ捨てた瞬間だった。


(愛おしい……。このずっしりと重い布の奥に、彼女のすべてが詰まっている)


「君が命懸けで学園を守った証だ。その一番汚れた服は、誰にも触れさせない。僕が責任を持って、繊維の奥まで綺麗に洗い上げるよ」


俺が自分の上着を彼女の腰に巻きつけ、耳元でそう囁くと、一条は顔を真っ赤にしてコクリと頷いた。


そして、物陰に隠れ、モゾモゾと「全て」を脱ぎ終えた彼女は、上着の裾をギュッと握りしめながら、ずっしりと重く湿った「黒と赤の塊」を俺に差し出した。

「……ん。これ……」

「受け取りました。ショートパンツと……おや、随分と分厚いですね」

「……下着ごと、全部だよ。バカ。九久になら……私の全部、綺麗にしてほしいから……」


完全に依存しきった乙女の声を聴きながら、俺の腕の中には、彼女の一番深い場所から溢れ出た汁と熱を抱え込んだ、生温かい布の束が確かに収まっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ