32-3.一年後②
お待たせ致しましたー
*・*・*
両親がまた海外に戻って行ってから数日後。
晁斗は花蓮と一緒に、悠耶に事務所へと呼ばれたのである。
「なんだよ、悠耶?」
「うん、実はね……?」
ここまでもったいぶって言うあたり、なんとなく予想は出来たが。晁斗は従兄弟が口に出すのを待った。
すると、事務所の扉が勢いよく開いた。
「悠君、言っちゃった!?」
「まだだよ、咲乃。て言うか、走ってきたの?」
「まだ大丈夫よ!」
「そうかもしれないけど……」
「おいおい、わかるように言ってくれ」
この様子だと、もしかしたら予想以上の驚きを二人は用意しているかもしれないが。
花蓮にはちんぷんかんなので、可愛らしく首を傾けていた。
「あの……」
「ふ、ふふふ……花蓮ちゃん、ビッグニュースなの!」
咲乃もだが、漣が花蓮とわかってからはスタッフは彼女の名前をきちんと呼ぶようになった。たまに、前の名前で呼ぶこともあったが今はほとんどない。
咲乃は花蓮の手を掴むと、自分の腹部にその手を当てさせた。
「?」
「ここに……出来ちゃったの」
「は?」
「え、咲乃さん病気ですか!?」
「ぷぷぷ……違う違う、花蓮ちゃん」
晁斗は盛大に驚いたが、花蓮は逆方向の発言をしていた。裏で幽閉されてた期間が長かったせいで、彼女の義務教育はほとんどないに等しかったらしい。一年経つ今も、通信で義務教育と高等学校レベルの教育は受けているが。
常識についても、まだまだ勉強中。なので、今の咲乃の発言だけではわからないのも無理はない。
花蓮の手を握りながらも、咲乃は可笑しそうに笑っているのも仕方がない。
「違うの。あのね? 悠君とはまだ結婚してないのは知ってるでしょ?」
「? はい」
「けど先に…………赤ちゃん出来ちゃったの」
「───────……え」
やっと意味がわかった花蓮は、当てられていた咲乃の腹部を、ゆっくりと撫でた。
「まだ三ヶ月目だからあんまり目立たないけど、ね?」
「……赤ちゃん」
「そ。だから、これから色々大変だけどね?」
「……わぁ」
「だから、咲乃が安定期に入ってから式挙げる事に決めたんだ」
「…………マジかよ」
まさか、入籍通り越して先に出来るとは思わなかった。
それから、業務連絡込みで二人の事で色々忙しくなるのを伝えれば、皆一同盛大にお祝いしようと決まり。
終業後に、簡単なパーティーを開く事になったのだ。
「悠耶君達のことは驚いたけど……、僕もうかうかしてられないねえ?」
晁斗が厨房を手伝っていると、燈がそう呟いた。
「兄貴も菜幸に言うのか?」
「ああ。まだ早いかもしれないけど……晁斗君だってそうじゃないかな?」
「…………けど。花蓮も通信頑張ってるし、せめてそれ終わってからだな?」
「そうかな? ひょっとしたら、今日咲乃ちゃん達の話を聞いて羨ましくなったかもしれないよ?」
「……んー」
たしかに、嬉しそうな顔をしていたが、まだあの事件から一年しか経っていない。
しかし、由那の墓が出来てから定期的に行っているくらいだ。吹っ切れてはいないかもしれないが、晁斗達と過ごすことを大切にしてくれている。
なら、言い訳を言っている場合ではないと、晁斗は花蓮達と自宅に戻ってから机の引き出しを開けた。
そこには、小さな小箱が。
次回は土曜日〜




