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32-2.一年後①

お待たせ致しましたー






 *・*・*









 姉を失い、祖父も二度と日の目に当たれないようになってから一年が過ぎた。


 花蓮(かれん)は『裏』ではなく、万屋とウィンタージュの一員として、晁斗(あさと)達と共に過ごしている。


熊谷(くまがい)(れん)』から『戸塚(とつか)花蓮』に戻ったが、ウィンタージュで過ごす日々は変わらない。


 スタッフもだが、晁斗達は花蓮を花蓮として扱ってくれた。元裏の人間ではあっても、変わらずに。


 だから、花蓮は。自分が出来る事をこの一年の間に、精一杯頑張ってきた。喫茶側もだが、万屋の回復と浄化要員として力を尽くしてきた。


 裏にいた頃のような、籠の鳥ではない。


 ただひとりの人間として、ウィンタージュの力になれている。


 住居は相変わらず、熊谷家に身を置いているが、ひとり暮らしをするよりも晁斗や克己(かつき)達の側にいたかった。


 そして、今日。


 海外で仕事をしている晁斗の両親が一時帰国する事になり、実は二度目となる彼らの再会の日。


 花蓮は晁斗の母親から熱い抱擁をされることになった。



「花蓮ちゃぁあああん! 久しぶりぃいいいい!!」


「み、(みどり)さん!?」


「あら、お義母さんでいいのよ?」


「ふぇ?」


「……お袋。離せ」


「相変わらず、可愛くない息子ねぇ? 花蓮ちゃんは髪も伸びてさらに可愛くなったって言うのに」


「……そうだけど」



 花蓮は、肩上までしかなかった髪を伸ばした。


 咲乃(さくの)程ではないが、綺麗に整えてきた髪を肩甲骨の下あたりにまで。お陰で、少年のようにも見えた容姿が女らしくなったのだ。菜幸(なゆき)達に化粧もきちんと教わっているので、より一層大人っぽく。


 ウィンタージュで、咲乃達に次ぐ人気店員なのも相変わらずである。



「やあやあ、半年ぶりだけど。さらに未来のお嫁ちゃんは可愛くなっているね?」

「……親父」

「いいじゃないか?」



 本来だったら、晁斗の肩書きである万屋の所長を継ぐ身だった、克己の息子である威人(たけと)。勤め先の昇進のお陰で海外で活躍しているそうだ。


 だから、残された晁斗が必然的に、克己の背中を追い、今は所長になっているわけである。



「そうよ! 花蓮ちゃんはもう家族だもの! 実質お嫁ちゃんなんだから、さっさと嫁いでも構わないわよ?」

「え」

「お袋!?」

「はいはい、そう言う大事な事はちゃーんと言うのよ?」

「……わーってる」



 晁斗のお嫁さん。


 誰かに嫁ぐ、と言うことが裏にいた頃はないと思っていたのに。


 すぐにでなくとも、彼のお嫁さんになれるのならば。


 花蓮は嬉しくなって、つい晁斗に抱きついていった。



「……花蓮?」

「ふふ」



 今はまだでも、いずれなれるのならば嬉しくないわけがない。


 魂を切り離した後、偶然とは言え彼に出会えて本当に良かったと思ったのだ。

次回は水曜日〜

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