32-2.一年後①
お待たせ致しましたー
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姉を失い、祖父も二度と日の目に当たれないようになってから一年が過ぎた。
花蓮は『裏』ではなく、万屋とウィンタージュの一員として、晁斗達と共に過ごしている。
『熊谷漣』から『戸塚花蓮』に戻ったが、ウィンタージュで過ごす日々は変わらない。
スタッフもだが、晁斗達は花蓮を花蓮として扱ってくれた。元裏の人間ではあっても、変わらずに。
だから、花蓮は。自分が出来る事をこの一年の間に、精一杯頑張ってきた。喫茶側もだが、万屋の回復と浄化要員として力を尽くしてきた。
裏にいた頃のような、籠の鳥ではない。
ただひとりの人間として、ウィンタージュの力になれている。
住居は相変わらず、熊谷家に身を置いているが、ひとり暮らしをするよりも晁斗や克己達の側にいたかった。
そして、今日。
海外で仕事をしている晁斗の両親が一時帰国する事になり、実は二度目となる彼らの再会の日。
花蓮は晁斗の母親から熱い抱擁をされることになった。
「花蓮ちゃぁあああん! 久しぶりぃいいいい!!」
「み、翠さん!?」
「あら、お義母さんでいいのよ?」
「ふぇ?」
「……お袋。離せ」
「相変わらず、可愛くない息子ねぇ? 花蓮ちゃんは髪も伸びてさらに可愛くなったって言うのに」
「……そうだけど」
花蓮は、肩上までしかなかった髪を伸ばした。
咲乃程ではないが、綺麗に整えてきた髪を肩甲骨の下あたりにまで。お陰で、少年のようにも見えた容姿が女らしくなったのだ。菜幸達に化粧もきちんと教わっているので、より一層大人っぽく。
ウィンタージュで、咲乃達に次ぐ人気店員なのも相変わらずである。
「やあやあ、半年ぶりだけど。さらに未来のお嫁ちゃんは可愛くなっているね?」
「……親父」
「いいじゃないか?」
本来だったら、晁斗の肩書きである万屋の所長を継ぐ身だった、克己の息子である威人。勤め先の昇進のお陰で海外で活躍しているそうだ。
だから、残された晁斗が必然的に、克己の背中を追い、今は所長になっているわけである。
「そうよ! 花蓮ちゃんはもう家族だもの! 実質お嫁ちゃんなんだから、さっさと嫁いでも構わないわよ?」
「え」
「お袋!?」
「はいはい、そう言う大事な事はちゃーんと言うのよ?」
「……わーってる」
晁斗のお嫁さん。
誰かに嫁ぐ、と言うことが裏にいた頃はないと思っていたのに。
すぐにでなくとも、彼のお嫁さんになれるのならば。
花蓮は嬉しくなって、つい晁斗に抱きついていった。
「……花蓮?」
「ふふ」
今はまだでも、いずれなれるのならば嬉しくないわけがない。
魂を切り離した後、偶然とは言え彼に出会えて本当に良かったと思ったのだ。
次回は水曜日〜




