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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
裏の終わりまで
158/164

31-5.祖父と孫

お待たせ致しましたー






 *・*・*









 克己(かつき)沙霧(さぎり)が直接会った。


 今日も今日とて、花蓮(かれん)の側にいた晁斗(あさと)は、病院にやってきた克己からその話を聞いたのだ。


 花蓮も起きていたので、彼女の目の前で。


 複雑そうな表情をしていたが、拳を強く握りしめたのに晁斗が手を重ねてやった。



「……おそらく、警察に出頭しに行くのも時間の問題だよ。その前に、一度会っておくかい?」

「克爺、出来んのか?」

「三十年ぶりでも連絡が取れたからね? 一度くらいは大丈夫だと思うよ」

「…………おじいちゃん……」



 やっと、花蓮が振り絞った言葉は、祖父の呼び名。


 会うか会わないかはわからないけれど、沙霧が彼女に課してきた所業はどうしたって覆せない。


 追い詰める形で、死なせてしまった由那(ゆな)のこともあるから。



「花蓮、時間もねーけど。会うか会わねーかはお前の判断でいいんだぞ?」

「……はい。けど……面会とかも、ほとんど出来ないでしょうから」

「そうだろうね? 沙霧のしてきた事は世間が許すべき事じゃない。だから、会えるのは一度きりだと思っていいよ」

「…………会います」



 静かに口にした言葉には、力強さを感じた。


 その手を握ってやってから、晁斗は克己に振り返る。



「克爺、俺も行っていいか?」

「ああ。晁斗も一度は会っているだろうから、大丈夫だと思う」

「日取りは克爺に任せていいか?」

「そうだね?」

「……その必要はありません」



 静かな老成した声。


 全員が振り返った先、病室の扉の前に、戸塚(とつか)沙霧が立っていたのだ。



「おじい……ちゃん……?」



 呆気に取られている間に、花蓮がぽつりとつぶやいた。その言葉に、沙霧はゆるく微笑んだ。



「そうだよ。花蓮」

「ど……して……」

「この後、警察に行くからね? 克己に会った後、彼がここに来るのはなんとなくわかっていたから隠れていた」

「そうじゃない!」



 花蓮が声を荒げると、晁斗達もだが沙霧も目を丸くした。



「……花蓮?」

「私……なんかよりも、な……んで、なんで、お姉さんが……!?」

「…………それについては、お前の前では言い訳にしかならないな。私も……由那(ゆな)があの禁術を使うとは予想外だった」

「…………」



 花蓮は、静かに泣いた。


 本当だったら、泣き喚いてしまいたいだろうが。沙霧の前で静かに泣いたのだった。



「…………今までお前に課した責務は私がすべて請け負う。万屋で……そちらの晁斗君のところで幸せになりなさい」



 と告げた途端、いきなり出てきたようにしていきなり消えてしまった。


 先日会った時もだが、術の精度が高い。犯罪者組織のトップだと言うのが惜しいくらいに。



「ほんと……お姉さんも、おじいちゃんも自分勝手」

「……そうだな」



 その後に、篤嗣(あつし)が裏の解体と長が出頭してきた事への連絡があり。


 精密検査を受けていた花蓮には、やはり『守護無し』と言うのがわかったのだった。

次回は木曜日〜

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