31-3.克己と沙霧①
お待たせ致しましたー
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克己がウィンタージュの喫茶側でコーヒーの注文を作っている途中に。
孫で今は不在の方の晁斗から、スマホのLIMEで連絡があった。
『花蓮の祖父である、裏の長から接触があった』
と。
一瞬だけ、手元のポットを落としそうになったが、なんとか堪えて注文のコーヒーを作った。それから燈に休憩してくると伝えて、事務所に向かう。
表面では燈に動揺を見せていなかっただろうが、おそらくバレているだろう。歳は取ったが、まだまだオーナーとして現役の克己がいきなり休憩をするのは珍しいからだ。
事務所の扉を閉めてから、一年前は自分の席だった所長席ではなく応接用のソファに腰掛けてから晁斗にLIMEでメッセージを送ることにした。
『何をしに来たんだい?』
それを送ると、晁斗からもすぐに返事ではなく通話が来た。
『今どこだ?』
「事務所に居るよ。私だけだ」
『兄貴がいなくてセーフだな』
「けど、接触したのならいずれ話さなくては……。彼は何を?」
『……なんでか。俺を所長と言うよりも花蓮の彼氏として感謝されただけだ。正直……まだ信じらんねーけど』
「……そうか。他は?」
『……いずれ、表舞台に出ると。自首でもするよーにも見えた』
「……なるほど。とりあえず、漣ちゃんには何もして来なかったんだね?」
『……ああ』
「……あの子には話してあげた方がいいかは、晁斗の判断でいいよ」
『わかった』
通話はそれだけにして、克己は自分から画面を閉じた。ソファの背に、身体を深く預ける。
ひと息吐きたいところだが、コーヒーを飲む気分にはなれない。
なので、息を吐き切ってから悠耶が定期的に仕込んでくれている回復茶を飲むことにした。
暦では春だが、まだまだ寒いので冷蔵庫にある茶を電気ポットのお湯で少し割る。次第に気力は戻ってきた。
けれど、内心はまだまだ動揺している。
あの、『裏』の長が自分の孫のためだけにそんな動きをしたことがだ。直接会った晁斗の発言を疑う訳ではないが、宿敵同士だった万屋の人間に普通の人間のように接して来たと言うのは信じられない。
だから、克己は賭けに出ることにした。
スマホが流通する前から、消すに消せなかった連絡帳の中から。
『戸塚沙霧』の名前を探して、変わっていないことを願いながらも、電話番号の部分をタップした。
次回は金曜日〜




