31-1.軽い事情聴取
お待たせ致しましたー
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花蓮が深層心理から戻ってきてから数日後。
身体面も精神面でも回復してきた花蓮は、警察病院の病室で事情聴取を受けることになった。回復はしてきたけれど、荘重の目のと届く範囲でまた何か起こるかわからない。
そのため、篤嗣と御子柴がわざわざ病室に来たわけである。もちろん、晁斗も一緒だ。
花蓮の彼氏としてもだが、万屋の所長としてもだ。花蓮がいくらこれまで万屋に貢献してきたとは言っても、実際は万屋とは敵対する『裏』に属していた人間だと分かったからだ。
今回の事件で、いくら解決に力を尽くしたとしても。
「んで、花蓮。お前は裏にいた頃何をしていたか話してくれるか?」
「……はい。わかる範囲でですが」
「そりゃもちろん。紗々ってあの男は、直接的に犯罪に加わっていたが。お前は違うと言っていたしな?」
「……はい。私……は、ほとんど籠の鳥でした」
「うん? 言い方は悪いが、幽閉させられていたのか?」
「はい。祖父……長には、定期的に依頼者を癒せとしか」
「……そのリストはわかるか?」
「……すみません、わからないです」
「そうか」
花蓮がどのような心情で、その依頼を受けていたかまではわからないが。
今の花蓮しか晁斗達は知らないが、きっと嫌な思いをしていただろうとしかわからない。裏は守護堕ちを量産するような犯罪者集団だ。
死んだ由那や捕まった紗々もその犯罪を息を吸うように出来ていた。だから、なんらかの方法で花蓮もその手助けをしていたかもしれない。
だが、花蓮のこの様子では手助けはしていたかもしれないが、実行していたのかはわからないようだ。
思い出しているような素振りがあっても、口から肯定の言葉は出て来ない。
「では聞き方を変えましょう。花蓮さん、と言うよりは裏についてですが。幹部は亡くなったあなたのお姉さんと紗々以外に、誰かいたのかはわかりますか?」
「……わかりません」
「それは、あなたが幽閉されていたから……?」
「はい。長以外だと、構成員は姉と紗々しか会っていませんでした」
どれくらい幽閉させられていたか。
どうして、そこから逃げ出せたかは、今聞くべきではない。晁斗はあくまで、花蓮の緩衝材のような立場で同席しているだけだから。
部屋の隅で仕事をしている荘重もそれは同じだ。
「……了解しました。今日のところはこのくらいにしましょう」
「え?」
「そだな。病み上がりとは言え、あんまり無茶させられん」
「篤嗣さん……?」
「花蓮に戻ろうが、漣は漣のままだ。刑事としちゃいけねーが、俺達個人としちゃお前の今を優先するさ」
と言って、花蓮の頭をぽんぽんと撫でてやってから、本当に御子柴と一緒に帰って行った。
「はい。花蓮ちゃん、お疲れ様。少し寝た方がいいわよ?」
「けど……」
花蓮としては、大して話していないのにここまで優遇されるのを不安に思っているのだろう。元裏の人間としてか、単純に万屋の人間としてか。
たった数ヶ月だとしても、漣としての信頼関係はまだ継続しているのだ。晁斗も、まだ複雑な部分はあるが漣だったとしても、花蓮でも愛しく思うことに変わりない。
「とりあえず、寝とけ。それか、なんか食うか?」
「!…………ワクワクバーガー……食べたいです」
「病院側の人間が言うのもなんだけど、院内食が物足りない?」
「…………裏にいた時も、お姉さんが適当に差し入れてくれたのがそれだったんです」
「そう……」
あの姉でも、としか晁斗はわずかな接触でしか性格を知らないでいるが。一応、家族としての情はあったのだろう。
死んだ後も、妹の深層心理にまで潜り込んで来たくらいだから。その話は、花蓮が目を覚ましてから彼女の口から聞いた。
とりあえず、さっさと買いに行くのに今日はバイクで来ていたので駐輪場に向かうことにした。
すると。
「…………熊谷さんでしょうか?」
かなり年のいった、だが背筋などが整っている老人が晁斗に声をかけてきたのだった。
次回は土曜日〜




