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30-6.最後の会話

お待たせ致しましたー






 *・*・*









 悲しい、哀しい。


 苦しい、苦しい、辛い。


 記憶を封じて、切り離して。


 裏から抜け出して、姉のために動いたのに。その姉が、自ら命を手放した。何故、とあの時は彼女から屍鬼(しき)を引き離そうと必死になっていただけだったが、その禁じ手を使うと思わず治療も間に合わなかった。


 全部、全部花蓮(かれん)のせいだ。花蓮が悪い。


 内側に閉じ籠って、どれだけ経ったのかはわからないが、こうしている方がいい。


 もう、誰にも迷惑になることとかをしたくなかったから。



『ばっか、じゃないの!?』

「!?」



 いきなり、意識に誰かが介入してきて、頭を殴られたかのような衝撃を受けた。


 誰だ、と顔を上げたら、白装束の姉が立っていたのだ。由那(ゆな)、が。



『あんなにも僕に色々言っておきながら、自分は殻に閉じこもるつもり? 花蓮』

「お姉……さん?」

『そうだよ、僕だよ。地獄に行く前に君に言いたいことがあって来たんだ』



 もう一度軽く小突かれてから、由那は少し苦笑いして座り込んでた花蓮の隣に腰掛けた。



「……夢?」

『残念だけど、夢じゃないよ? 僕は今魂だけの存在。あと、地獄に行くまでの挨拶周りしてた』

「…………挨拶?」

紗々(さしゃ)には、会って来た』

「!?」



 命を失う寸前に、姉は紗々を想っていた事を告げていた。であれば、彼の所に行くのは必然的だろう。



『僕もあいつも馬鹿だった。最後になってから気づくんだし』



 けどね、と由那は笑顔になった。



「?」

『僕らのやってきた事は犯罪だ。だから、あいつも結局は地獄行きだろうけど……そうすれば、僕達は一緒だ』

「……相変わらず、強引」

『君にも言われたくないね?』



 ああ、これが最初で最後だなんて。


 姉妹らしい会話をしただなんて、裏にいた時もほとんどなかった。


 だから、どうしても涙が流れてしまう。


 由那は、指でその涙を拭ってくれた。



「…………っ」

『君も大概馬鹿な妹だよ。やっと巡り会えた奴が出来たんだから、そいつのために生きなよ?』

「あ……さ、とさ」

『そうそう。良い子にはハッピーエンドが待っている。おじいさまの意向はわかんないけど、君には幸せになって欲しいんじゃない?』

「…………そうかな」

『こう言う時くらい、お姉ちゃんのアドバイスは聞きなって』



 そう言ってから、『じゃあね?』とあっさり消えてしまった。最後まで、まったく自分勝手な姉だった。


 けれど、花蓮にも希望が見出せた。辛かった姉ではなかったとわかったから、なおのこと。



晁斗(あさと)さんのところに、帰りたい……!」



 その想いを強く口にすると、暗かったあたり一体が真っ白に輝き出して。


 気がついたら、璐羽(ろう)と一緒に晁斗に抱きしめられていた。だが、それは現実ではなかった。花蓮がいた暗い場所と似ていたからだ。



「……お帰り、花蓮」



 花蓮の名をきちんと呼んでくれたのに、花蓮は嬉しくなって彼に抱きついた。



「ただいまです、晁斗さん!」



 そして、意識が浮上した後。


 花蓮はベッドで寝ていたが、晁斗はすぐそばで寝ていたのだった。

次回は水曜日〜

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