26-7.無事でいて
お待たせ致しましたー
*・*・*
呼ばれた。
ような、気がした。
柘植奈央美は、会社で仕事をしている最中に、ふいに誰に呼ばれた気がしたのだ。
だが、上司も同僚も、誰も奈央美を呼んだようには見えなかった。
もしかしたら、虫の知らせか。
恋人になって間もない、御子柴清司郎からLIMEでも届いたのか。トイレに行くフリをして、こっそりスマホを確認したら。
「……え?」
恋人としての連絡ではなくて。
彼自身の職種である刑事としての、連絡があった。
どう言う経緯かはわからないが、死んだはずの甲本泰彦がケサランパサランに転身して、復活したらしいが。
いきなり消えて、奈央美のところに来ていないか通達があったのだ。もちろん、奈央美は初耳だったので、そのことは知らない。
半堕ちの罪を背負って地獄に堕ちたはずの、甲本が。
何故、そんな目に遭っているのだろうか。
これは一大事だ、と奈央美は上司の近江にだけその話をすることにした。
「! それは一大事だわ。半休処理はしてあげるから、警視庁に行ってきなさい?」
「はい!」
御子柴のように、龍の守護精とかで空を飛んで移動することは出来ないが。
あの一件で進化したライトは、顕現のサイズを自由自在に変化することが出来るようになり。
奈央美を抱えて、建物の屋根などを飛び移ることが出来るようにはなったのだ。初乗車が奈央美の遅刻寸前だったのは恥ずかしい話だが。
「マスター、行きます!」
「お願い!」
ジェットコースターがそう得意でもないが、怖いと言っている場合じゃない。警視庁まで、ライトはウサギのようにぴょんぴょんと建物の屋根を渡っていき。
体感、一時間もかかっていないうちに到着すると。
事前に連絡していた御子柴が入り口で待っていてくれた。
「奈央美さん!」
「お待たせしました!」
ライトに下ろしてもらってから、奈央美は地面に立ったが。
想像以上に体が慣れていなかったせいか、ガクガクになってしまい。
しばらく、御子柴が支えてくれたのだ。
「晁斗君達が追いかけているようですが……まだこちらにはそれ以降連絡がありません」
「所長さん達……大丈夫でしょうか?」
「こちらも手を尽くしますが……ひとまず、あなたが無事でよかったです」
「……ありがとうございます」
甲本は利用されていた。
また利用されなければいいが。
とにかく、無事を祈るしか出来なかった。
次回は水曜日〜




