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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
亜種ケサランパサラン
129/164

26-4.調べても調べても

お待たせ致しましたー







 *・*・*










 ない、ない。


 どれだけ探しても、見つからなかった。



「〜〜ん〜〜!? (れん)ちゃんの情報がほとんどなーい!!?」



 あのバレンタインデートで遭遇した以降。


 美乃梨(みのり)は漣の事が気になって気になって。


 晁斗(あさと)に通告するつもりはないが、無条件に可愛い女の子などいるわけがない。ないが、漣はその無条件に当てはまるくらい可愛い女の子だった。


 だが、稀有過ぎる特殊な能力の持ち主。加えて、身元不明で記憶喪失と言うダブルパンチ。


 兄と慕うくらい、大切な学生時代からの先輩だ。幸せになってほしいとずっと思っていた。


 それだから、余計に気になって、情報屋として調べているのだが。


 見事に、空振り続きである。こんなこと、大物案件以外で初めてのことだ。



「なんや、むずい事態か?」



 恋人で相棒である祈里(いのり)が甘い甘いカフェオレを淹れてくれた。ゆっくりとマグカップを渡してくれる気遣いが、今は心に沁みた。



「漣ちゃんのこと〜。全然見つかんないのー!!」

「まあ。身元不明から探すにしても、晁斗に言わんとやっとるしなあ?」

「そぉだけどぉ……荘重(むらしげ)せんせーのとこの受診記録くらいしかないよぉ。あと、癒し手の能力も公にしてないからぁ」

「癒し手だなんて、レア中のレアやしなあ?」



 とは言え、何も出てこないのは不自然だ。


 考えられることは、ひとつあるのだが。



「……まさか、『裏』とかないよね!?」

「は? あったら、なんで万屋に引き取られるんや? いや……抜け、とかか?」



 まさか、まさか、と。


 二人で言い合っていたが、裏の履歴などを調べに調べまくっても、漣に該当する情報は得られず。


 正直、少しホッと出来た。



「は〜〜、良かったぁあ!」

「まだ、なんもわかっとらんけど。ひとつ落ち着けてよかったなあ?」



 まだ、しこりは残ったままだけど。


 あんなにも、可愛くて美味しそうにドーナツを頬張る顔から、裏の関係者だなんてどうして思ってしまったのだろうか。


 何か。


 心に引っかかっている。


 何だったかは、美乃梨はすぐに思い出せなかった。



「……ん〜〜……今は、いっかあ」



 漣とはLIMEのIDを交換した仲だし、可愛い女友達でいいのだ。


 そう思うことにして、ちょっと話したいな、と通話をしたのだが。


 仕事中なのか、全然出なかった。



「ウィンタージュの方ちゃう?」

「かなあ? いっそのこと突撃しちゃう?」

「今甘いもん飲んどるのに?」

「甘いものはいくら食べても別腹!!」



 いざ行かん、と着替えてから祈里と向かったのだが。


 ちょうど、晁斗と漣が銀の大虎と大きな狗神に乗って、空を駆けていくのを目撃した。



「なんかあったんか!?」

「万屋の方に行こう!?」



 そして、克己(かつき)から聞いた内容は。


 二か月近く前の、裏が関与した殺人事件で殺された男性の魂が蘇ったこと。


 それがケサランパサランに憑依したこと。


 保護した後に、おそらく裏に連れて行かれたこと。


 晁斗達は捜索のために飛び出したことも。


 情報屋しか出来ない自分達には、無事でいてほしいと願うことしか出来なかった。

次回は月曜日〜

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