26-4.調べても調べても
お待たせ致しましたー
*・*・*
ない、ない。
どれだけ探しても、見つからなかった。
「〜〜ん〜〜!? 漣ちゃんの情報がほとんどなーい!!?」
あのバレンタインデートで遭遇した以降。
美乃梨は漣の事が気になって気になって。
晁斗に通告するつもりはないが、無条件に可愛い女の子などいるわけがない。ないが、漣はその無条件に当てはまるくらい可愛い女の子だった。
だが、稀有過ぎる特殊な能力の持ち主。加えて、身元不明で記憶喪失と言うダブルパンチ。
兄と慕うくらい、大切な学生時代からの先輩だ。幸せになってほしいとずっと思っていた。
それだから、余計に気になって、情報屋として調べているのだが。
見事に、空振り続きである。こんなこと、大物案件以外で初めてのことだ。
「なんや、むずい事態か?」
恋人で相棒である祈里が甘い甘いカフェオレを淹れてくれた。ゆっくりとマグカップを渡してくれる気遣いが、今は心に沁みた。
「漣ちゃんのこと〜。全然見つかんないのー!!」
「まあ。身元不明から探すにしても、晁斗に言わんとやっとるしなあ?」
「そぉだけどぉ……荘重せんせーのとこの受診記録くらいしかないよぉ。あと、癒し手の能力も公にしてないからぁ」
「癒し手だなんて、レア中のレアやしなあ?」
とは言え、何も出てこないのは不自然だ。
考えられることは、ひとつあるのだが。
「……まさか、『裏』とかないよね!?」
「は? あったら、なんで万屋に引き取られるんや? いや……抜け、とかか?」
まさか、まさか、と。
二人で言い合っていたが、裏の履歴などを調べに調べまくっても、漣に該当する情報は得られず。
正直、少しホッと出来た。
「は〜〜、良かったぁあ!」
「まだ、なんもわかっとらんけど。ひとつ落ち着けてよかったなあ?」
まだ、しこりは残ったままだけど。
あんなにも、可愛くて美味しそうにドーナツを頬張る顔から、裏の関係者だなんてどうして思ってしまったのだろうか。
何か。
心に引っかかっている。
何だったかは、美乃梨はすぐに思い出せなかった。
「……ん〜〜……今は、いっかあ」
漣とはLIMEのIDを交換した仲だし、可愛い女友達でいいのだ。
そう思うことにして、ちょっと話したいな、と通話をしたのだが。
仕事中なのか、全然出なかった。
「ウィンタージュの方ちゃう?」
「かなあ? いっそのこと突撃しちゃう?」
「今甘いもん飲んどるのに?」
「甘いものはいくら食べても別腹!!」
いざ行かん、と着替えてから祈里と向かったのだが。
ちょうど、晁斗と漣が銀の大虎と大きな狗神に乗って、空を駆けていくのを目撃した。
「なんかあったんか!?」
「万屋の方に行こう!?」
そして、克己から聞いた内容は。
二か月近く前の、裏が関与した殺人事件で殺された男性の魂が蘇ったこと。
それがケサランパサランに憑依したこと。
保護した後に、おそらく裏に連れて行かれたこと。
晁斗達は捜索のために飛び出したことも。
情報屋しか出来ない自分達には、無事でいてほしいと願うことしか出来なかった。
次回は月曜日〜




