26-3.愉しい愉しい
お待たせ致しましたー
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幸せだ。
幸せになる。
そんなことは許さない。
長である祖父が放っておけと言っても、許さない。
何故、何故。
宿敵である、あの万屋の現所長と。
何故、何故。
身を寄せた以上に、恋に落ちるなどと。
そして、付き合うだなんて、女には許せなかった。
最初は放っておいたが、もう我慢がならない。
じわじわと、水が染み渡っていくように。
だんだんと、許せなくなってきた。
双子の姉妹の記憶は愚か、己が何者であったかも覚えていない、あの妹にはいい加減痛い目に遭ってもらおう。
ずっとずっと、囲われてて蝶よ花よと育てられていた姫君紛いの存在だった妹。
ずっと辛酸を舐めてた姉の自分が、どれだけ苦労してきたのか。
どれほど、この手でヒトや妖などを屠ってきたのか。
きっと、知らないだろう。囲われていた時も、一度とて知らせていなかったから。
「……く、ふふ。くくく……あっはっは!?」
男が得た、甲本の魂が憑依してしまったケサランパサランも手に入れた。
この市を、蝕むいい機会だ。
あの妹の、苦痛の表情を見るのも愉しいかもしれない。
苦労を知らない、あの双子の妹のことだから。
「……魂を引っ張り出すにもちょうどいい。……甲本くん? 君には贄になってもらうよ?」
握り潰せる綿状の妖となった、甲本泰彦。
気を失って、女の手の中にいたのだった。
「……具体的にどうするつもりだ?」
後ろにいた男が、軽くため息を吐きながら女に問いかけてきた。
「ふふん? 素敵に楽しく……この甲本くんを活躍させてあげるのさ?」
我ながら、怖い声音で言ったかもしれないが、それでいい。
男も、呆れながらも『わかった』と頷いてくれた。
なら、今からは。
少し時期外れではあるが、この市を吹雪かせよう。
そして、埋もれさせよう。
たとえ、妹を殺すことになったとしても。
それはそれで一興だ。
祖父も、放っておけと言うくらいだから、今更固執する意味がないのだもの。
次回は金曜日〜




