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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
亜種ケサランパサラン
127/164

26-2.奪われた

お待たせ致しましたー







 *・*・*










 何が起きたかわからなかった。


 ケサランパサランとなった、甲本(こうもと)泰彦(やすひこ)があの世に戻ると言い出した途端。


 彼の後ろに黒い渦が出現して、取り込まれてしまったのだ。守護精は取り込まれずに、彼だけが。


 晁斗(あさと)(れん)が手を伸ばしても間に合わず、渦は甲本を取り込むと何もなかったかのように消えてしまい。


 ローテーブルに突っ伏す形になった漣は、ポカンとしていた。



「……甲本さん?」



 呼んでも、彼はもういない。


 まさか、あれが地獄のやり方かと思っていると。


 祖父の克己(かつき)が渋い顔をしていた。



「克爺?」

「…………あれは、おそらく裏だね」

「裏!?」



 だとしたら、ついこの前のバレンタインあたりで。


 ケサランパサランを利用して、陸螺(くがら)市全体を。柘植(つげ)奈央美(なおみ)をも利用して守護堕ちにさせようとしていた。


 そんな奴らが、あの男女二人組が。ケサランパサランになった甲本を連れ去ったのか。



「もし、あの世が甲本君を連れ戻しに来るのなら。きちんとした手順があるはずだ。さっきの渦は一方的な接触……しかも、守護精をそのままにしておくのはおかしい。術が荒いから急ごしらえだったかもしれないね?」



 まだ放心している漣を撫でてやりながら、克己は術の痕跡を探してしきりに頷いていた。


 これは、また厄介な事件になるかもしれない。


 それに。



「主……主!?」



 引き離された守護精が顕現したままと言うことは、甲本がすぐに殺されたわけではないだろうが。


 急に引き離された守護精はあれだけ冷静でいたのが、嘘のように泣き出したのだった。



「……大丈夫だ。お前が顕現してんならあいつもまだ生きている。落ち着け」

「……! そう……ですね……」

「晁斗……さん。甲本さんは、生きてるんですか?」

「ああ。守護精は人間の魂の片割れとも言われてるからな? 昇天なりあの世に行ったんなら、普通は守護精も一緒に消えてしまう。だろ? 克爺」

「その通り。だから、まだ希望はあるんだ」



 だけど、時間は限られている。


 裏の、おそらくあの二人がどう言う理由で再び甲本と接触して、こちらから奪った理由はまだ不明だが。


 ケサランパサランの親玉も一緒について行くと言うので、守護精である翔羽(しょうわ)も連れて行くことになり。


 漣は、再び璐羽(ろう)の背に。晁斗は空呀(くうが)に。



「絶対見つけましょう!」

「そうだな?」



 克己は事務所で待機してくれることになったため、晁斗達は翔羽がなんとかたどれる甲本の気配を頼りにして。


 夕闇が迫る空に駆け出したのだった。

次回は火曜日〜

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