25-7.このケサランパサランは
お待たせ致しましたー
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眠ってしまった。
とても、とても可愛らしいケサランパサラン。
言葉がきちんと話せて、自分は人間だったと言い切るケサランパサラン。
漣は、このケサランパサランを助けてあげたい気持ちになっていた。
「克己さん、この子をどうしてあげればいいんでしょう?」
所長の晁斗にはまだ検討がつかなかったので、思い切って前所長の克己に聞いてみた。
彼は寝てしまったケサランパサランの触覚を優しく撫でながら、何かを考えているようだったが。
「うん。とにかく、特例のケサランパサランだからね? 白粉どころか飲食を可能にしているのも、ケサランパサランの常識には当てはまらない。しかし、こちらの長には導いてほしいと言われた」
『応』
「なら、しばらく預かるくらいが、妥当かな?」
「お世話するんですか?」
「漣ちゃんはやりたいかい?」
「! はい!」
小さくて可愛いものに、悪意はない。
なんとなくだが、ここに来る以前の記憶がない漣でも、そんな言葉が浮かんできたのだった。
強く頷けば、克己はケサランパサランを撫でる手を止めた。
「ペットではないけど、希少な妖の一時保護がいいかな? 漣ちゃんもだけど、万屋の皆で気をつけてあげよう」
「克爺、餌っつーか。食事は菓子とかでいいのか?」
「うーん。それは本人に確認を取ってからでもいいかな? ひとまずは、お菓子から順にあげていこう」
『……で有れば。導きのひとつが示されたと言うことか?』
「いやいや、それはまだだよ?」
親玉が動きかけたが、克己がそれを制した。
まだ、世話をすると決めただけでは報酬をもらうには相応しくないのだろう。
晁斗も何度か頷いていた。
「こいつが人間だったってんなら、元の身体に戻すためにしなくちゃなんないとか。最悪浮遊霊だったのが変化したんなら……浄化させなくちゃならないはずだ。その見極めが終わってからでもいいか?」
『応。構わない』
「晁斗の見解がおそらく正解かもしれないが。浮遊霊だと特定が難しいしね? 美乃梨ちゃん達に頼んで、死亡事故などがなかったか調べてもらおうか?」
「こいつがいた公園付近で?」
「とりあえず」
話がまとまったので、晁斗は美乃梨に依頼するのに。所長のデスクにあるパソコンでメールを打ちにいき。
克己もとりあえず、喫茶側に戻ると事務所を出て行き。
漣は、親玉と一緒に眠っているケサランパサランを眺めていたが。
子守唄を歌ってあげようと漣は歌い出した。
悲しくて泣きそうな夢を見ないように。
優しく温かな夢を見て欲しくて、歌ったら。
ケサランパサランの触覚の先端が金色に光り出したのだ。
「え、え!?」
「漣、どうした?」
「晁斗さん、この子が!」
触覚の先端が光り続け、さらに合わさると鈴に似た音が事務所に響き。
続いて、ぽんっと音が鳴ったと思ったら。
ケサランパサランの上に、耳が少し尖った小さな小さな可愛い男の子が浮かんでいたのだった。
「まさか……!」
晁斗はその男の子に見覚えがあるようだった。
「晁斗さん?」
「甲本の守護精?」
「こうもと……さん?」
すぐに思い出せなかったが、守護精だと思われる男の子はこちらに向かって腰を折った。
「……我が主の魂を導いていただき、ありがとうございます」
「……こいつは、甲本なのか?」
「はい。泰彦です」
「……なんで、殺されたはずの人間がケサランパサランに?」
「わかりません。魂は何者かに捕らえられていたのですが、いつのまにか我を含めてこの身体の中に」
柘植奈央美に関わった事件で、殺された半堕ちの男性。
それを思い出した漣は、まだ眠ったままのケサランパサランに気安く触れていいのかわからなくなってしまった。
次回は日曜日〜




