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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
ケサランパサランさらに
122/164

25-5.あの魂は

お待たせ致しましたー







 *・*・*









 いない。


 いない。


 何処(どこ)に行った。


 何処に行ってしまったのだ。


 あの時、あの時。


 柘植(つげ)奈央美(なおみ)が覚醒する時に、近づいて行った魂。


 甲本(こうもと)泰彦(やすひこ)を地獄から一時的に、地獄の主が召喚させたのだと知って。


 男は、その魂が利用出来ると思い、術で絡め取って保管したのだが。


 しばらくの間、保管していたことを忘れてしまってたので。長の孫娘にも見せてやろうと、今日様子を見にきた時に。


 保管していた呪具がどう言うわけか解除されていて、甲本の魂が消え去っていたのだ。


 意味がわからず、女のところへ行くと、そんなものは知らないと言い切られたので、男は探すしかなかった。


 あの呪具は、所有者がきちんと解除しないと大変なことが起きるからだ。


 輪廻転生を経て、きちんと生まれ変わる魂の道筋。


 それから逸れてしまう危険性が高くなってしまう。


 だから、魂の残滓を追いながら、男は姿を消す呪法を使ってあちこち探したが。


 甲本の魂の痕跡が、ある公園で一際強く反応した以外。


 どこに行ったのか、まるっきりわからなくなってしまったのだ。



「くっそ……何処へ?」



 痕跡はある。


 なら、地獄に戻らずにこの世にいるはず。


 何かに見つかったのか。


 万屋だったら、面倒だが。


 その可能性は高い。


 男はそうと決めたら、瞬時に移動をして。


 度々、偵察に訪れていたウィンタージュの前に立ったのだった。



「……やはり、ここか?」



 面倒だ。


 女がよく言う言葉でもあるが、男だって人間だから面倒ごとを嫌うくらいある。


 そして、ここには。


 女の双子の妹である女もいるからだ。


 長の孫娘ゆえにすぐに連れ戻すのが、本来の役目であるはずなのに。


 長は放っておけと言うだけ。


 あれだけ執着していた能力を世に解き放つなど、男には理解出来なかった。


 だが、今の男の目的は違う。


 甲本の魂だ。どうしたものか、と思うが。単身で襲撃するバカではないからだ。


 元所長や、かつて長と渡り合いかけた猛者もいる、このウィンタージュに。


 新所長と少々互角程度の男が、単身で無傷で戻れるわけがない。


 仕方ないので、様子を見るのに二重に自分に結界を施してから。


 他人には見えない状態のまま、万屋の窓を覗くのだった。

次回は月曜日〜

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