25-5.あの魂は
お待たせ致しましたー
*・*・*
いない。
いない。
何処に行った。
何処に行ってしまったのだ。
あの時、あの時。
柘植奈央美が覚醒する時に、近づいて行った魂。
甲本泰彦を地獄から一時的に、地獄の主が召喚させたのだと知って。
男は、その魂が利用出来ると思い、術で絡め取って保管したのだが。
しばらくの間、保管していたことを忘れてしまってたので。長の孫娘にも見せてやろうと、今日様子を見にきた時に。
保管していた呪具がどう言うわけか解除されていて、甲本の魂が消え去っていたのだ。
意味がわからず、女のところへ行くと、そんなものは知らないと言い切られたので、男は探すしかなかった。
あの呪具は、所有者がきちんと解除しないと大変なことが起きるからだ。
輪廻転生を経て、きちんと生まれ変わる魂の道筋。
それから逸れてしまう危険性が高くなってしまう。
だから、魂の残滓を追いながら、男は姿を消す呪法を使ってあちこち探したが。
甲本の魂の痕跡が、ある公園で一際強く反応した以外。
どこに行ったのか、まるっきりわからなくなってしまったのだ。
「くっそ……何処へ?」
痕跡はある。
なら、地獄に戻らずにこの世にいるはず。
何かに見つかったのか。
万屋だったら、面倒だが。
その可能性は高い。
男はそうと決めたら、瞬時に移動をして。
度々、偵察に訪れていたウィンタージュの前に立ったのだった。
「……やはり、ここか?」
面倒だ。
女がよく言う言葉でもあるが、男だって人間だから面倒ごとを嫌うくらいある。
そして、ここには。
女の双子の妹である女もいるからだ。
長の孫娘ゆえにすぐに連れ戻すのが、本来の役目であるはずなのに。
長は放っておけと言うだけ。
あれだけ執着していた能力を世に解き放つなど、男には理解出来なかった。
だが、今の男の目的は違う。
甲本の魂だ。どうしたものか、と思うが。単身で襲撃するバカではないからだ。
元所長や、かつて長と渡り合いかけた猛者もいる、このウィンタージュに。
新所長と少々互角程度の男が、単身で無傷で戻れるわけがない。
仕方ないので、様子を見るのに二重に自分に結界を施してから。
他人には見えない状態のまま、万屋の窓を覗くのだった。
次回は月曜日〜




