25-4.触覚のある、ケサランパサラン
お待たせ致しましたー
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びっくりした。
晁斗もだが、受け止めた漣も驚いただろう。
公園に到着した時に、大きな滑り台から何かが滑って飛んできた。
それが、一体のケサランパサラン。
晁斗に依頼してきた親玉がすぐに『あ』と声を上げたので。
これが、件のケサランパサランの異質な個体なのだろう。
たしかに、親玉よりも大きく。目もついているが、触覚のようなものも二本。
受け止めた漣の手の中で、クルクルと動いていた。
「おい、こいつか?」
『応。此奴であるが、何故ここに……。枝の上にいたのだが』
「ふっわふわ! やっぱりケサランパサラン可愛い!!」
『……??』
「あー、漣? 潰れないだろうが適度にしろよ?」
漣はケサランパサランが可愛くて仕方ないのか。ぐりぐりと頬擦りして、そのケサランパサランを愛でてた。
璐羽に騎乗している状態だが、乗り慣れてきたのか全力でケサランパサランを愛でている。可愛いから見ていたかったが、本題を忘れてはいけない。
空呀に少し近づけさせてから、晁斗はとんとんと彼女の肩を叩いた。
「あ。す……すみません!」
「まあ、いいって。俺にもそいつ、よく見せてくれ」
「は、はい」
触覚のついたケサランパサラン。
先端には、金に近い黄色の玉状のものが付いているが。あとは大きさ以外親玉と変わりない見た目。小さな目があるくらいだ。
キョロキョロと晁斗や漣を交互に見ると、もごもごと目の下の綿のような身体を動かして。
いきなり、パカっと小さく空いたのだった。
「……れ? だ……れ?」
「しゃべった!?」
「直接口? で? お前とは違うな?」
『我は直接、お主らの頭に語りかけているからな』
なら、この個体はいったいなんなのか。
とりあえず、質問に答えてやることにした。
「俺は晁斗。こっちは漣」
「あ……さと? れ……ん?」
「そーそー。お前……に名前ってあるのか?」
『基本、我らは持っていない』
「だよな?」
「な……い、けど」
「けど?」
「あ……ったと思う。ぼく、人間だっ……たのに……」
「へ?」
「はあ??」
ケサランパサランが人間。
輪廻転生か。若しくは、なにかの事態に巻き込まれて、人間の魂が転身させられたのか。
すぐに思いつくのはそれだけだが、そのケサランパサランは晁斗を見上げるように触覚を動かし出した。
「あさと、あさと。今の……ぼくは、なんなの……?」
「え、うーん。正直に言うと、妖怪」
「よーかい……?」
「少なくとも、人間じゃない」
率直に言うと、ケサランパサランはぷるぷると身体を震わせた。
「人間……なのに。やっぱり……人間、じゃない? なんで……なんで、ぼくが」
と言ったのを皮切りに、金切声のような爆音を周囲に響かせて。
親玉以外、耳を押さえた。が、漣はケサランパサランを抱えていたので出来ず。至近距離で聞いているので、すぐにふらふらになってしまった。
『こら、泣きやめ! 我はお主のために、この者らを連れてきたのだ!!』
「……ふぇ?」
親玉がすぐに怒鳴り声を上げると、ケサランパサランはすぐに泣き止み。触覚で目元を拭っていた。器用だった。
「そ……う、だよ? 僕と晁斗さんは君を助けるために来たんだよ?」
少しずつ回復したようだが、漣はヘロヘロ状態だった。けれど、ケサランパサランを落ち着かせるのに綿毛を撫でてやっていた。
「…………れん、とあさと……が?」
「そうだよ? もっと詳しい話聞かせて? 僕らに教えて?」
「…………うん」
記憶喪失のままでも、常識が確実に育ってきている。
恋人としても、万屋の所長としても。漣が成長しているのが嬉しく思えた。
次回は金曜日〜




