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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
新たなカップル
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24-5.祈里と晁斗

お待たせ致しましたー







 *・*・*








 あの晁斗(あさと)が、まさか誰かと付き合うなんて思わなかった。


 ミスボでまだまだ食べ終わらない、ドーナツの山を少しずつ片付けながら祈里(いのり)は思った。


 情報屋になる前から、実は腐れ縁で学校はそれこそ保育園から高校まで一緒だった。幼馴染みと言えば、聞こえがいいかもしれないが。とにかく、彼の従兄弟である悠耶(ゆうや)も一緒だったのだ。


 影では美形集団とか言われたりしていたが、晁斗も晁斗だが悠耶も二人の祖父から修行を課せられていたので。中学からは学校を少し休みがちだったが、その頃から万屋の仕事を手伝っていたので仕方がないと言うか。


 かく言う、祈里自身も。後輩になった美乃梨(みのり)と一緒に情報屋のさわりを始めたりしていたが。当時は意外と小遣い稼ぎになるな、と思っていた程度だった。しかし、今になってはフリーとは言え仕事にまでなるとは思わず。


 晁斗も晁斗で、両親が海外組なので必然的に祖父の跡を継ぎ、今では万屋の新所長。タメだからまだ二十五歳なのに立派なものだ。そんな奴に彼女。


 まだ情報屋の規定で調べていないが、記憶喪失者であり、守護無しで癒し手の能力保持者。


 今も、リスのように食べ続けている美乃梨と同い年らしい少女にほの字になるとは。



(れん)ちゃーん! 次はこれとかどーう?」

「……!!」

「美乃梨、漣に食わせ過ぎ」

「だって、晁兄! 見てて可愛いもん!!」

「否定はしねーけど、限度ってもんがあんだろ?」



 漣の隣からぽんぽんと彼女の頭を撫でる手つきは。


 本当に、心から好いている証拠なのがうかがえた。でなければ、日常的に誰かに触れるなんてなかったから。冗談混じりで殴られた記憶は、祈里にはあるが。



「せやかて、全部は無理やろ? 俺テイクアウト用の袋とかもらってくるわ」



 と言って、戻って来たのだが。帰ってきたら、漣の守護にいる次代狗神がほとんど食べてしまったのだ。


 あと数個残った程度だったので、ちょうどいい箱に入れたら晁斗に渡しておいた。



「ねーねー! 今度ウィンタージュに行くから、漣ちゃんのウェイトレス姿みーせーてー?」

「い、いですけど……」

「やったー! 祈里もね?」

「俺もかい?」



 拒否権はあるようでないに等しいが。


 自分も惚れ抜いた女の頼み事には弱いものだ。


 とりあえず、今日晁斗達は初デートなので祈里達はこれで退散することにして。


 二人の守護と守護精が宿ってから、二人は仲良く手を繋いで帰って行った。



「初々しいねぇ〜〜?」



 美乃梨がまだ少しカフェラテが残っているので、もう少し小休憩を取ることになったのだ。



「依頼はされてへんが……どーするよ、美乃梨?」



 和むのもいいが、あれだけ未知数の少女を野放ししておくのもよくはない。


 ましてや、晁斗の彼女になった相手なのだから。


 情報屋としてのルールはもちろんだが、一個人としては気になるのだ。もしかしたら、裏からの刺客ではないかと。



「ん〜……調べていいかもしれないけど。晁兄には内緒にする?」

「結果次第やけど。何があってから遅いじゃあかんからなあ?」

「じゃ、帰ってから調べよ?」



 数年前のあの時のように、後悔しまくるのだけはもうごめんだから。


 だから、祈里は久しぶりに自分に課したルールを破ったのだった。

次回は木曜日〜

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