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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
新たなカップル
117/164

24-6.デートの終わり

お待たせ致しましたー







 *・*・*








 美乃梨(みのり)達と別れ、空呀(くうが)達には宿ってもらってからまた二人きりになった晁斗(あさと)(れん)


 胃袋が結構膨れたので、軽く散歩しようかと車にはすぐに戻らずに近くの大きめの公園を歩くことにした。


 もちろん、手は繋いで。


 漣ははじめもこもこの手袋をしていたのだが、片方だけ外して晁斗と繋いでいる。そのいじらしさが本当に可愛くて仕方がない。


 記憶は未だに戻らないが、漣の本当の名前は。


 どんな性格で、どんな風に過ごしていたのか。職業持ちなのか、学生だったか。


 本音を言えば知りたい。けど、実際は無理だ。


 熊谷(くまがい)の家に引き取ってからもうすぐ二ヶ月くらい経つが、まるでそんな兆候がない。


 だから晁斗は、もう一方でこのままでもいいんじゃないかとも思っている。


 だから、その気持ちを誤魔化すのに、少しかがんで漣の髪にキスをした。



「!? ど、どうしたんですか??」

「んー? したくなっただけ」



 そう言うことにしておいて欲しい。今はまだ話せないから。


 しかし、腕を組んだり手を繋ぐことには抵抗感がなくなっても。キスはなかなか慣れないようだ。


 実は、口には告白した後にした以外でしていない。同じ家に住んでいるのになんで、と悠耶(ゆうや)辺りにはからかわれるだろうが無理がある。


 自分達の祖父母が同居しているのだから、節度は弁えたい。と言うか、克己(かつき)達にからかわれるのが嫌だからだ。特に、暁美(あけみ)の方に。


 変わったことと言えば、寝る直前まで漣の使ってる部屋で話すようになったくらい。そのタイミングでキスくらい出来るだろうに。


 晁斗は気恥ずかしさからなかなか出来ないでいた。告白の時は勢いで出来たのに、いざ付き合うと歯止めが利かなくなりそうで出来なかった。


 今さっき、髪とかになら平気なのに何故口には出来ないのか。こんなにも自分が臆病者だと自覚せざるを得ない。


 それだけ、本気なのだ。



「……むー」



 したところを撫でてやったら、漣はむくれたような表情になった。



「どーした?」

「……僕もしたいです。けど、晁斗さん背が高いから無理で」

「あー…………。あっちなら出来るぞ?」



 人気のない公園の、さらに奥の林道。


 そこなら、人もいないので出来そうだろう。


 ベンチに漣を連れて行き、晁斗だけ座るとほらっと手を離して両手を広げた。



「!」

「これならお前の身長でもいけんだろ?」

「いい……ですか?」

「漣なら大歓迎」



 来い来いと、さらに手招きしたら。漣はあたりを見渡してから晁斗の腕の中に飛び込んできて。


 自分の目の前にある、晁斗の頭にまで顔をあげて。迷わずキスをしてくれた。


 可愛らしいキスだったので、少しくすぐったかった。



「……あの。晁斗さん」



 頭から顔を離すと、彼女は顔を真っ赤にさせながら晁斗に聞いてきた。



「うん?」

「……にもしちゃ、ダメですか?」

「え?」

「く、口!……にもしちゃダメですか?」



 いくら、記憶を失っていても。


 いくら、常識がまだまだ欠如しても。


 彼女とて、ただの女だ。欲求が多少なりともあっておかしくはない。


 だから、晁斗は勢いよく彼女を抱きしめた。



「……飽きねーけど。しばらく止まんねーぞ?」

「……はい」



 顎をすくい、すぐに顔を寄せた。


 可愛らしい口づけだけにとどめたが、しばらくは止まらず。


 少しあたりが暗くなるまで続き。夕飯は自宅に戻るので、キスで疲れた体力をそれぞれ渡したバレンタインプレゼントで癒すのだった。


次回は三日の日曜日〜


今年も一年ありがとうございました!

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