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ウィンタージュに憩いの羽音を  作者: 櫛田こころ
バレンタインデートの続き
106/164

23-2.回転寿司で食事①

お待たせ致しましたー







 *・*・*








 自分だけの携帯。


 それを、万屋の経費とは言え自分にプレゼントしてくれた晁斗(あさと)には感謝しか浮かばない。


 設定や細かい部分は大変だったが、約二ヶ月の間、彼の祖父母である克己(かつき)暁美(あけみ)のお陰で慣れてはいた。


 喫茶ウィンタージュの方でも、レジでの会計にはタブレットで専用アプリを導入するくらい。


 まだまだその業務は新人の(れん)には任せてもらえないが、咲乃(さくの)菜幸(なゆき)にも休憩時間などに練習はさせてもらえているのだ。


 拾われて、衣食住を与えられて、記憶がないのに優しくしてもらえて。あと、恋人も。


 晁斗に拾われる以前のことはなにも覚えていないのに、こんな充実した日々を送っていいのか。嬉しい悩みだらけだった。



「〜♪」

「気に入ったか?」

「! はい!」



 そして今は、昼食を食べるのにショッピングセンターから車で移動していた。


 乗車中にスマホや携帯機器を操作すると、乗り物酔いすると言うので。手に持って眺めているだけにしている。晁斗には、そのにやけた表情を見られたのだろう。



「昼飯は、和食って考えているんだが。いいか?」

「和食、ですか?」

「お前、食いたいって言ってただろ? 寿司」

「お寿司!!」



 箸使いはまだまだ怪しい部分はあるが、テレビのCMで流れるような回転寿司には憧れを抱いていた。


 くるくる回転していて、料理が流れている様子が可愛らしいとか。


 外食が、ウィンタージュの賄いがほとんどの漣には、そう言うものでも新鮮に写ったのだ。



「高級よか。ご希望通りの、回る寿司屋に行くぜ?」

「ど、どこですか?!」

「スシタロー二代目」

「わあ!?」



 安くて、たくさん種類があって。特に、漣が気になっていたネタを炙るメニューが多いと聞く。


 本当に、相手のことをよく見ている人だなと思えた。



「ほら、着いたぞ?」



 駐車場に止まってから降りれば、スシタローのキャラクターがデカデカと屋根に装着された可愛いらしいお店だった。



「ここがスシタロー!!」

「ま。バレンタインには不向きだろーが、俺達らしいだろ?」

「僕、ずっと来てみたかったんです!!」

「だな?……ここなら、守護精も同伴がいいから。小休止ついでに」



 晁斗は空呀(くうが)を、漣は璐羽(ろう)を顕現させて。それぞれさらに人化をさせたのだった。



【ほう? 面白い装いの店だな?】

「璐羽! 僕と一緒に見てたスシタローのお店だよ!?」

【……なんと】



 守護精も宿主同様の胃袋があるとされているが、璐羽は守護精ではなく次代の狗神。


 満腹まで食べれば、晁斗の懐も怪しくはなるが。彼がいなければケサランパサランの件も解決には近づけなかった。


 だから漣は、璐羽に注意することにした。



「璐羽? 今からご飯だけど、勢いよくいっぱい食べないでね?」

【ぬ。わかっておる】

「そう言いながら、この前の賄いカレー食べ尽くしかけたでしょ?」

【ぬ】



 いくら晁斗の奢りでも、きちんとしていなければいけない。彼の祖母である暁美にも昨日の晩に言われたからだ。



「回転寿司かー? 久しぶりだな? つか、デート中なのに俺達出てきてよかったのか?」

「いくら守護精が本来食事は必要ないからって。ずっと留まらせておくよかいいだろ?」

「さっすが、晁斗!」

「ほら、漣達も行くぞ?」

「! はーい!」

【応】



 店内に入った時に、漣は思った。


 これはまさに、テレビでも見たアミューズメントパークではないかと。そう思うくらいに、着席している人混みとくるくる回る寿司のレールにテンションが上がっていった。

次回は火曜日〜

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