Boy's Side 14 ~タネを明かそう~
「あんないい加減なことしてたら、そりゃ誰だって不愉快に思うよ。況してやあの八十島さんだよ?怒られるって分かりきってるでしょ?」
竜田川邸に着くまでお説教タイムだ。竜田川(父)の前で(正確には、後ろだけれど)っていうのは少し卑怯な気もしたけれど、お昼休みの時の話といい、悪ふざけが過ぎる。いくら温厚で通っている僕だって、切れる堪忍袋の緒は持ち合わせている。
「どれだけ圧倒的大差になってたかは知らないが、そんな風に勝負を投げられては真面目にやってきた方は馬鹿にされた気分だったろうね。それは栄二が悪い。それに、どうせろくに練習もしていなかったのだろう?」
「いや、それは、それなりに努力してみたつもりなんだけど……」
「ん?」
言い訳がましいことを言っているけれど、父親の手前、下手な嘘を吐くエージではない筈だ。八十島さんに同じことを言われた時は黙って聞いていたのに、この違いは何だ?
「いっや、ぜんっぜん勝てる気がしなかったなー。あははは……」
「……最後にオチが付いたおかげで多少和んだから良かったようなものの……って、まさか……?」
嘘くさい笑いを浮かべていたエージの目が急に輝く。
そうだ、これまで散々騙されて、からかわれてきたのに何で忘れてたんだろう?
コイツとカードで勝負しちゃいけない。そういう特技の持ち主なんだ。
「見事なモンだったろう?」
「すっかり忘れていたよ、お前の手癖の悪さを」
「流石にトランプなんかよりかはサイズもデカくて厚みもある。おまけにしならないものだから上手くいくかハラハラものだったぜ?」
恐らく対戦終了後、読み札をめくって眺めていた時点で仕込みがなされていたのだろう。いや、それ自体が布石だ。確か直接口にして坊主捲りを提案したのは大江山さんだったと思うけれど、傍らで絵札をめくってる奴がいれば誰だってそれを頭に描いただろう。後で気が付けばあからさますぎる誘導だけれど、現場では何の違和感もなかった。
仕込みとしては、オチを付けるだけなら坊主を一枚抜いて隠し持っておくだけでいい。終盤でそれを今まさに引いたかのように演じればそれで済む。
「最後までトップだったのは偶々。元々適当な口上で盛り上げてから散るつもりだったし、順位はあんまり関係なかったんだけどな」
嬉々として種を明かすエージに竜田川(父)もほぉ、と小さく呻いた。
やってしまったことは兎も角、身を挺して後始末をつけに行ってるのだから、これ以上叱ることもできない。
「そんな手間をかけて繕わなきゃいけないんだったら、最初からそうならないようにすれば……」
「何言ってんだ和泉?あんなのわざとに決まってるだろ?対戦カード組んだのだって、俺なんだし」
「はぁあ?」
「俺、不真面目、好感度ダウン。和泉、部長としてガツンと言う、好感度アップ」
「僕の好感度上げてどうすんのさ!?エージの好感度を上げなきゃって言ってるのに!」
「えっ?昼にも言ったじゃん?和泉が八十島さんと付き合えばいいじゃん、って」
コイツ、本末転倒してやがる……
頭を抱える僕がおかしいのだろうか?
運転席では竜田川(父)が声を上げて笑っていた。




