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Boy's Side 8 ~食堂へ行こう~

高校生活も2週間も経てば色んなことが分かってきた。

一番の問題は、勉強に関して。まだ2週間、という言い方もできるかもしれないけれど、既に置いて行かれている感が拭えない。流石は県下随一の進学校。要点がコンパクトにまとめられているのだろう。驚異的、というよりも脅威的な勢いで授業が進んでいく。それはつまり一つ取りこぼせばあっという間に取り残されてしまうということ。

ドロップアウトというのは、こぼれて落ちることかと思っていたけれど、そうとも限らないみたいだ。定期入れを探しているうちにバスを逃してしまった、みたいなドロップアウトもあるのだと。

回らない頭で下らない事を考えているうちに休み時間は終わってしまった。突っ伏した顔を机から上げれば丁度先生が教室に入ってくるところだった。思考回路が切り替わる。如何にしてここを切り抜けるか。


「起立、礼」


誰かの号令に、何も考えずに皆が皆倣う。また一つ、憂鬱な授業の始まりだ。



それでも過ちを繰り返す人の愚かさを説く愚かしい時間も終わりを告げ、ランチタイム。エージが早々に弁当箱を引っ提げていつもの調子でやって来た。


「和泉ー。食堂でメシ食おうぜー」


「あ、うん」


「あら?お弁当があるのに、食堂なの?」


後ろから八十島さんが差し挟んだ疑問にエージが答える。


「昼休みまでずっと教室にいたら、頭痛くならね?」


「そうかしら?」


優等生にはそんな感覚があるわけがなく、小首を傾げていた。


「和泉部長とお昼をご一緒しようと思ったのだけれど」


「またぞろかるた部親睦会?」


皮肉っぽいエージに、八十島さんの視線が険しくなる。その眼が「貴方との親睦会はないわ」とはっきりと告げていた。


「だったらさ。八十島さんも一緒にどう?」


自然とそんな言葉が出てしまった自分に驚く。遅れて、この3人でとる昼食は下手をすれば重苦しいものになるかもしれないのに気が付いて、身が震える。三角関係とは言わないけれど、板挟みは十分あり得る。


「嬉しいお誘いだけれど、遠慮しておくわ。今日のところは大江山さんとガールズ・トークでも楽しんでくるわ」


弁当箱の包みを提げて教室を出る八十島さんに、行ってらっしゃいと小さく手を振る。エージは兎も角、僕はガールズ・トークに押し掛ける様な野暮な男ではない。

エージを忌避したのか、それとも二人の板挟みになるであろう僕を慮ってくれたのか。後者であることを祈って僕らも食堂へと向かった。

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