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Girl's Side 13 ~裏話~

真木さんが去った後で、素朴な疑問をぶつけてみた。


「それにしても八十島さん、事情通なんだね。入学したばっかりなのに先輩方のことよく知っていたし」


最初に部室で相談を受けた時には、何でそうまで村雨先輩のことがスラスラと出てくるのかと驚いた。まさか八十島さんが村雨先輩のストーカーか何かだとは思わないけれど、一応、秘密ということになっているらしい人間関係はおろか、好きな食べ物まで把握しているというのは尋常じゃない。そう言えば、真木さんも八十島さんと村雨先輩の仲を勘ぐっていた節がなくはない。

八十島さんが村雨先輩のことを的確に見抜いていた、いや、知っていたから。村雨先輩が仁木先輩以外を選ぶはずがないと知っていたから、今日の場を設けて、あのような決着に導けたのだと、今なら確信できる。だからこそ、ほとんど会って間もないような、まともに会話すらしたこともない風なのに、どうして八十島さんはそんなに村雨先輩のことについて詳しかったのか?

なるべく平静を装って訊ねるボクに、八十島さんはさも当然と言わんばかりの顔でアールグレイを啜ると、平然と言ってのけた。


「当然よ」


曰く。仁木先輩から相談を受けていたのだと。真木さんよりも前に。

自分の恋人が新入生ととても仲良くしているみたいだ。恋人を取られないために協力してほしい、と。

入学早々、見ず知らずの先輩から頼られるって、どうなんだ?


「そのライバルがこの春合格した子、つまり今年の新入生ってことしか分からなかったからでしょうね。村雨先輩に直接聞くのが一番確実で手っ取り早いって言ったのに、その案は受け入れられなかったしね。あれだけ惚気話を聞かされて、ちょっと調べたら簡単に裏も取れたのに、それなのに当人が自分たちの関係に確固たる自信が持てないなんて。どうかしてるわね」


「それが、恋してるってことなのかな?」


「あら、うまいこと言うじゃない?」


鼻先で笑われたような気がしたけれど、それも仕方ないと自分でも思う。小さくレアチーズを口に運ぶと八十島さんは窓の外に目をやった。つられて見ると、変わらず広がる桜の海と、人の波。

桜色。桃色。薄紅色。あるいは、春色、初恋色。同じソメイヨシノだと思うけれど、八重、九重どころでなく、一九重にも重なるそれは、個々で異なる。人も同じ。

外の景色から視線を戻した八十島さんに、一つだけ、小言を漏らす。小言と言いつつ、中身は大事なのだけれども。


「一つだけ言わせてもらうと、村雨先輩について結構重要な情報が伏せられていたよね?それが分かっていたらもっと違うアプローチもあったかと、ボクとしては思うんだけれど?それって、フェアじゃないよね?」


一瞬、悪戯っぽく口元が歪むと、しかし、すぐに取り繕って澄ました顔で八十島さんは答えるのだった。


「あら、私、最初に言ったわよね?」

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