Girl's Side 12 ~覚悟~
事は意外なくらいにあっさりと決着がついた。玉砕覚悟どころか、端から玉砕する方針だったのだから当たり前か。
真木さんの幾つかの質問に、村雨先輩は最初こそ驚きまごついたけれど、仁木先輩との関係を認めてからは淀みなく答えた。真っ直ぐに真木さんを見据え、でもその心は真っ直ぐ仁木先輩に向いていると告げる姿に揺らぎはなかった。
時間にすれば10分足らずでカタがついた。まるっきり八十島さんが引いた図面の通りの展開で、出来レースかと疑ってしまう。
「公然の事実みたいになってるけど、このことはなるべく秘密にしておいてもらえるか?あくまで、同じ部活の先輩後輩ってことで通してるんだ」
最後にそう頼んで村雨先輩は店を出た。もちろん、仁木先輩を伴って。去り際に八十島さんに向けて下げた頭を村雨先輩に撫でられてようやく、仁木先輩の可愛さがその真価を発揮していた。
弓道部の内部でもただの先輩後輩で通っているのか、ちょっと気になった。店を出るなり指を絡めて歩く二人の姿を見る限り、言い逃れのしようがないと思うんだけれど。
二人が去って席替えとなったテーブルで、真木さんはつい今しがた失恋したばかりだというのに、晴々とした表情でいた。
「何時までも棄てられずに未練がましく抱えていたって、腐るだけよ。モノも、心も。そして何だって腐ってしまったら毒にしかならないわ。だから無理だと思うなら、それこそちゃんと向き合って、キチンと失恋するべき。カタを付けるべきなのよ」
先日の部室でも八十島さんは同じようなことを言っていた。その言葉を噛み締める様に、真木さんが頷く。
「でも、私は向き合っていなかった」
「どうしたらいいか分からない、なんて、よなったいことを言っているのが、何よりの証拠ね。覚悟が足りないというのは少し酷かもしれないけれど、そうやってウジウジしている時点で、それは恋でも何でもないわ。仮に恋心が芽吹いていたのだとしても、それはとっくに流産していたようなものよ。その埋葬に立ち合ってくれた先輩方に感謝しなさい。優しい先輩で良かったわね」
八十島さんがカップに口を付けている間は、会話が途切れる。暫くの間、流れるのはカモミールの香りと沈黙だけ。ボクの方は元々、挟む口なんて持ち合わせていないけれど、真木さんの方はどうなのだろう?
カップを置いて八十島さんが付け加える様に言った。
「まぁ、あんな真っ直ぐで優しい先輩に愛されたいというのは、分からないでもなかったわ」




