Girl's Side 11 ~三角~
ビルの最上階のカフェからは、八分咲きといったところだろうか?白に近い薄桃色に彩られた庭園が眺められた。その隙間を縫って、人の流れは絶えることがない。
八十島さんが現れたのは、待ち合わせの時間ギリギリのことだった。あの人の波をくぐり抜けるのはボクにも一苦労だったから、その辺りは察するけれど、流石に文句の一つも言いたかった。
他の面子はとっくに集まっていた。 他の面子、すなわち、真木さんと、村雨先輩と、仁木先輩。ボクがどんな心地でこの三角形の傍らに座していたか、察して欲しい。ボクまで遅れていたら、一体どうなっていたんだろう?
村雨先輩は真木さんが来ることを知らされていなかったらしく、驚きながらも普通に真木さんに話かけていた。
真木さんは少し戸惑いながら、受け答えしていたけれど、その心が仁木先輩に向いているのは傍目にも明らかだった。
その仁木先輩はと言えば、恋人が親しげに談笑する相手を前にして、睨みこそしないものの快く思っていないのがハッキリと顔に出ていた。そんな風に眉間に皺を寄せていなければけっこう、可愛いのだろうに。
一触即発という雰囲気ではないけれど、そこは女心。水面下でどんな波が立っているやら。油断していると大嵐に巻き込まれるんじゃないかと、気が気じゃなかった。
この場の空気を読めているのか、いないのか。八十島さんは手短に遅れてしまったことを詫びて席に着くなり、ボクに向かって
「先に始めてくれていても良かったのに」
「何でボクの仕切りなの!?」
あまりにもしれっと言われたものだから、素でつっこんでしまったけれど、ここは怒ってしかるべきところだった。八十島さんはもっと自分が相談を受けたのだという認識を強く持つべきだ。
ボクだって先日の話で方針は理解しているつもりだ。むしろ方針を知っているだけ、というのが正確なところ。だからボクに司会進行を任されてもそんなに上手く話を運べるとは、とても思えない。
そんなやり取りに挟まれて真木さんは肩を縮めた。
「それで、話って?八十島さんの言う通りニッキーも連れて来たけれど、そもそも二人はどういったお知り合いなのかな?」
村雨先輩の切り出しに、八十島さんは落ち着いて答える。
「先日、少しお話を聞かせて頂きまして。それで、今日はお話したいことがあると言ってお呼び立てしましたが、実は村雨先輩にお話があるのはこちらの真木さんなのです」
「へ?マッキーが?何でまた改まって?」
どうやら渦中の人、村雨先輩は何が起こっているのか、まるで把握出来ていないみたいだった。この状況下でそれは流石に鈍すぎる。わざわざ指摘することでもないけれど、一波乱ありそうな気がしてならなかった。




