Boy's Side 6 ~お説教をしよう~
普段僕からエージに彼是と言うことはあんまりない。でも今回ばかりは全部言い切っておかないと、事はかるた部の命運を握っているともいえる。だから多少は指摘が辛口で、例え傷口に塩を塗り込めるようであっても、それは言わなければならない。
エージが何か言いたげだったけれど、構わずに続ける。
「僕はまだエージのことを知っているし、エージから直接話を聞くこともあるから、好意的に解釈出来る。けれど他の人、特にエージと付き合ってた子やその子の友達なんかからしたらそうはいかないんじゃないかな?だから、色々と悪い噂も立つ。八十島さんがそういう噂に踊らされているとは思いたくないけれど……でも、八十島さんから見たエージは、そういうことになってるんだろうね」
「そういう風に見られても仕方がないってだけの前科がある、ってことか?」
「んー、前科って言うと大袈裟だけれど、その実績っていうか……今の八十島さんの見方の根拠がそこにある以上、それを覆さないことには二人の関係は改善しないだろうね」
エージのことだ、美人な類いの八十島さんとは親しい関係を築きたいはず。しかし、現実は逆に傾いている。そしてエージだってそれを何とかしたいはずなんだ。少なくとも八十島さんに棘を刺されて平気ではなかったのだから。そこまで踏まえた上で、ボクの率直な意見を述べる。
「そして僕としては、二人がこのまま険悪なままなのは非常に困る」
「ん……まぁ、お前の言いたいことは分かったよ。努力してみるさ。和泉部長」
手をヒラヒラと振ってヘラヘラと笑うエージは、僕の気苦労を一体どれだけ理解しているって言うんだろうか?
いや、それ以前に。そういう軽いところが八十島さんに嫌われているって、本当に分かっているんだろうか?
結局今夜も、晩御飯は竜田川家でご馳走になった。竜田川(父)に部活が発足した件を報告すると激励された。
「ただ、部員の女の子の一人がエージの軽薄なところを毛嫌いしている様子で……」
そう告げると流石の竜田川(父)も苦笑いを浮かべた。
「早速栄二が迷惑をかけているようだね。栄二ももう少し齢をくえば落ち着くかと思ったが……誰に似たのやら。本気で手に余るようなら遠慮なく言ってくれたまえ」
「今日は昔のことまで掘り返してきて、散々説教されたぜ?」
エージがぼやくと竜田川(父)はお猪口を置いて、柏手を打って笑ったのだった。
気付けば随分と遅くまでお邪魔してしまったのに、結局最後の最後まで訊けず終いになってしまったことが一つあった。あんまり訊くべきじゃない気もするけれど。
エージの奴、努力してみるって、何をどうするつもりなんだろう?




